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Posted by ブクログ
「#楽天IR戦記 (「株を買ってもらえる会社」のつくり方)」日経BP、市川祐子著
ちょうど今日の日経でプロ野球の楽天創立話が載っていたが、「ITベンチャー」時代(若い人は実感ないかも?)から押しも押されぬ「優良企業」となった楽天の「裏方変遷記」。三谷幸喜さんあたりが映画化したらひじょうに面白そう!
IR情報は、企業が市場と対話する手段…ファイナンスを学んで、頭では理解していたつもりだが、「中の人」の実体験はこころに響く。
自分の仕事でも、もっともっと分かりやすい語りを実践したい。
著者は、本当に、市場にわかりやすく語りかけることを意識して来られたのだろう。とにかく文章がわかりやすく、さらにライブ感が半端でない。特に後半200ページあたりから気になった記述を幾つか。
IRのゴールは何か?をチームで議論する。時価総額の最大化…流動性、理論株価との乖離、長期保有株主比率、意見噴出。
それを支えるKPI(プロセス目標と言い換えて良いだろう)はIRミーティング件数、株主数、投資家評価の3点に絞ることで結論。
買収による成長戦略を進めるためのエクイティファイナンス、しかし日本の証券業界の慣行では僅か1年半の具体的な案件が見えているものでないと首を縦に振ってもらえない。緊迫する準備を経て公募増資を発表、あるアナリストから「キレイなファイナンス」との賛辞、図らずも前回の増資から9年、年間期待収益率8%を上回ったタイミングとの指摘。
いよいよ本番、三木谷氏がニューヨークに渡り、1日7件の「ロードショー」、1回のミーティングで最大20名を超えるプロの投資家達と英語で丁々発止やりあう様、ランチミーティング後の「食べ残し」の量にプレゼンの手応えを感じる。
山田CFOの締めの言葉、「俺たちが今までやってきた事は、表面上のROEやROAを上げることではなくて、リスク資産と資本と負債とのバランスをとりながら資金調達コストを最小化し、利益を最大化させることなんじゃないの?」