あらすじ
……わたしの愛しい薔薇の姫
「顔を人に見せてはいけない」母の遺言を守り、人里離れた庵で孤独に暮らす名もなき姫。けれど、当世一の美男と名高い時充に顔を見られてしまい…
「顔を人に見せてはいけない」母の遺言を守り、人里離れた庵で孤独に暮らす名もなき姫。人前に出られぬ自分は、きっと獣のように醜いのだろう。そう思っていたある日、当世一の美男と名高い貴公子・時充に顔を見られてしまう。だが彼は恥じ入る姫に「あなたほど美しい女性を見たことがない」と告げてきて…。「薔薇(そうび)の姫」と甘く呼ばうその人の優しい人柄に、姫は求愛を受け入れる。蕩けるような口づけ、狂おしいほどに甘い初夜――時充がもたらすすべてに幸せを覚える姫だったが、事態は思わぬ方向へ転がり始め…。
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Posted by ブクログ
顔を人に見られてはいけないと育った姫は、それが自分が醜いからと思い込んでいましたが、偶然出会った公達の時充に顔を見られ、優しい態度にだんだん心を寄せる。
姫がなぜそのような境遇だったかは、後々語られますが、姫の出生の秘密は予想がつくものでした。
時充は優しい男ですが、姫が清斉に迫られたと聞いたあと、自分の屋敷が修繕中ということはあるかもしれないですが、姫を自分の屋敷にかくまったり、自分の家から従者を使わしたり守るということはせず、自分で自分の身を守れっていうのはちょっとどうかなって思いました。おかげで山を走って危なく死にそうになってます。
あと、ものすごく印象に残ったのが姫の女房の坂手。
最初は姫のためという態度だったのに、姫が時充に心を寄せていることを知ると、打算で時充を姫にあて、そのあと姫の美貌で公達が押し寄せるようになると、賄賂をもらって姫に公達をあてがろうとします。
姫の着物はお古のまま、自分がきれいな着物を着たり、最低です。
姫が幸せになったときには坂手はまったく出てこなくなりましたが、新居に彼女はいないのでしょうね。
彼女のその後も気になりました。