【感想・ネタバレ】天井のない監獄 ガザの声を聴け!のレビュー

あらすじ

約550万人のパレスチナ難民を支援するUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)。医療・教育・社会福祉をおこない、活動範囲はヨルダン・レバノン・シリア、さらに東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザのパレスチナ暫定自治区に及ぶ。2018年、米国が在イスラエル大使館をエルサレムに移転、その後のUNRWAへの拠出金を打ち切ったというニュースは記憶に新しいが、ガザはこの10年で三度の戦争を経験しており、現在も「天井のない監獄」と世界で評される。UNRWA保健局長としての日々の活動から、そこに生きる市井の人々の声を届ける。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今、まさに戦闘状態に陥ってしまっているパレスチナとイスラエル。
その発端と状況を知りたいと思って、あれこれ調べている中で出会った本。戦闘が始まるよりも前の国連の支援組織(保健省)UNRWAの医師のルポだが、それだけに、その切り口でしかわからないさまざまなことが語られている。
パレスチナ人の多くが「尊厳」が欲しいと口にする、ということに、この紛争の大きな理由があるように思う。
難民キャンプに生まれ、難民キャンプで生きている(出ることができない)閉塞感、自分と民族への肯定を欲する言葉のように思う。パレスチナを離れる時、自宅から逃げ出す時、家のカギをかけて出て、今もカギを持っているということが、故郷への渇望を表している。

イスラエル建国について、国を取り戻すという考えの裏には、ナチスとその時代の欧米の多くの国の中にあった「ユダヤ人」への迫害があったように思う。だからと言って、アラブ人(パレスチナ人)を家と国から追い出し、迫害し返して良いというものでもあるまいが、それくらい、ユダヤ人の歴史の中で何かが捻じ曲がってしまっているようにも感じられる。ほどき方がわからない、と思ってきたが、イスラエル人自身も、よくわからないのかもしれない。

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2023年11月19日

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