【感想・ネタバレ】私鉄3.0 - 沿線人気NO.1・東急電鉄の戦略的ブランディング -のレビュー

あらすじ

「お金」「経済」「働き方」…今までの定説、常識が通用しない時代がやってきた。
従来からの「更新」「刷新」を意味する“2.0現象”は、さまざまな業界で起きている。
「電鉄」業界もその例を漏れない。
まさしく、時代の転換を迎えようとしている。

『電車に乗らなくても儲かる未来、それが私鉄3.0!』

そんな中、私鉄が目指すべきさらなる「未来=3.0」を提言しているのが、東浦亮典氏だ。
「顧客との決済やポイントを基盤とした新たなサービス」「鉄道、バスの次に来る新しいモビリティ」「ベンチャー企業支援」など、会社の未来、私鉄の未来、首都圏のまちづくりの未来を、東急電鉄の現役の執行役員という視点から大いに語る。

さらに、社名に「電鉄」の名を冠しているが、そもそも電車だけの会社ではない東急は、
なぜ、どうやって住みたい路線、駅などで常に上位にランクインされるようになったのか?
なぜ、100年にわたり、高いブランドイメージを保つことができているのか?
東急の歴史を振り返りつつ、路線図には載っていない、新しい私鉄のカタチを大提言!!

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Posted by ブクログ

池上エリアリノベーションで、東急の主催者として
登場していた。少し面白そうな発言をしていたので
本を取り寄せ、読んでみた。

東京に住み始めて、1年半。
蒲田に住んでいるので、京急とJRについては、
やっとわかったところで、時より迷子になる。
とにかく、私鉄がたくさんあって、どうなっているのか
よくわからなかった。東急の池上線も、最近乗ったばかりだ。

東急の始まりは、渋沢栄一が、目黒蒲田電鉄を1922年に創立したことから始まる。
渋沢栄一は、田園都市株式会社を作り、洗足田園調布などの開発に力を入れ
五島慶太、五島昇によって、発展した。
その時のモデルは、小林一三で、娯楽施設を作り、都市の結びつけ、
沿線を開発するという 私鉄1.0 のビジネスモデルで、
多くの私鉄は そのビジネスモデルに基づいて開発された。
沿線の価値を高める、ブランドイメージを向上させる方法だった。
私鉄1.0は、沿線密着ビジネスによって成り立つ。
五島は、広大な土地を確保して、開発して、田園調布のブランドを確立させた。
それは、線ではなく、面としての開発によって発展した。
東急は、ワンランク上、一歩先を目指して、西武の若者路線と対抗した。

五島昇が、死ぬことで、東急の求心力がなくなり、
バブル崩壊による負の資産を整理するのが精一杯であった。
そういう中で、私鉄2.0とは、どのようなモデルになるのか?
二子玉川の発展が、大きな変化を生み出し、
住む場所から、学び、集い、働くという逆輸送が始まる。
農耕型デベロッパーから、林業型デベロッパーへの発展。
1年から数年で収穫を得る農業ではなく、孫の代を見据えて収穫を得る
長い視点での開発が必要となる。
また、街自体が 老齢化していく。
横浜などは約370万人いるが、高齢者人口が114万人で、高齢化率も30%を超えている。
伸び盛りでない、新しい取り組みも必要となる。
私鉄2.0とは、郊外は再生ステージに入り、中間エリアを中心に、
職住近接のワーク&ライフを進めていく、「通勤鉄道から交流鉄道」へ
発展させていくことにある。

私鉄3.0は ICTプラットフォームによって、
Mobility as a Service(MaaS)
オンデマンドバス、パーソナルモビリティ、カーシェアなどの
Mobilityサービスを進めていく。

面白い概括的な私鉄のまちづくりデベロッパーのあり方の
説明は、今後のまちづくりに関して、大きなヒントとなった。

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2019年06月11日

Posted by ブクログ

東急の執行役員である東浦亮典氏による著書。
東急の戦略を中心に、大手私鉄(JRは除く)の経営に関して述べた本です。
私鉄に関する本であるのはもちろん、いろんなビジネスに通用する考えが述べられていると思います。

東急は、鉄道部門をもつ会社ではありますが、東急の沿線を中心とした都市開発にも力を入れている会社です。
しかも、鉄道部門も都市開発部門も、短期的な利益を追うのではなく、長期的な利益を大切にし、都市開発における長期的な視点、都市の利用者・居住者の利便性などを重視しており、非常に大きな視点で、より多くの人々の生活の向上を考えている印象を受けました。
また、東急だけよければいい、という考えではなく、他の私鉄や他業種との連携、自治体や地域コミュニティとの連携も丁寧に行っていて、非常に好感の持てる業務の進め方をしている会社だと思いました。

自分も一度だけ、東急の方と仕事をしたことがありますが、本書を読んで、一緒に仕事をした東急の方たちの姿勢を思い出し、納得しました。
いつかまた、東急の方と一緒に仕事してみたい、そんなことを思いながら読み終えた一冊です。

0
2023年11月10日

Posted by ブクログ

東急グループはサービス産業中心で労働集約型の企業が多い。
IoTやAIなどを活用し効果的にサービスを提供していきたい。
MaaSにより移動する自由が保証される。
「3.0」では各種サービスがTPOに合わせてスマートに提供される。

0
2022年01月04日

Posted by ブクログ

東急電鉄の社員による、東急線やその周辺地域の歴史について。

東急線を生まれた時から使っているものとしては、東急線の沿革が知れて非常に勉強になった。

0
2021年11月28日

Posted by ブクログ

東急沿線は独特の雰囲気を醸し出しているが、単なる鉄道会社に留まらず、ディベロッパーとしての側面が強いのだなと改めて実感した。
本書では私鉄3.0と形容されているが、人を運んで終わりではなく、ユーザーの生活そのものをトータルサポートしなければ未来はないというのは、人口減少が必至の日本における鉄道会社にとっては、共通の課題認識なのだと感じた。

0
2021年07月02日

Posted by ブクログ

私鉄のビジネスモデルと言えば、かつて阪急
の創始者である小林一三氏が真っ先に挙げら
れます。

小林氏は沿線の宅地開発と並行して、商業施設
や娯楽施設を開発し、全てを沿線で消費させる
サイクルを確立しました。

しかもこのスタイルは今でも継承されています。

しかし現代では住民の高齢化、都心回帰に
よってこのビジネスモデルは限界に近づき
つつあるとも考えられています。

東急はいち早くこの問題に対処し、地域住民
との連携を図り、どのような街づくりを目指す
べきか一緒に考える取り組みに着手しています。

この本ではそれはステージ2.0ととらえています。

では3.0とは何か。

IT技術の活用は欠かせず、ビッグデータを駆使
して鉄道、バス以外の移動手段の確立や、その
他生活の全てをサポートするパートナーとなる
こと、だそうです。

これは国が考えているスマートシティとも一致
する気がします。また昨今よく言われるMaaS
とも共通しています。

東急の今後の動きから目が離せなくなる一冊
です。

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2020年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東急の歴史と今後の戦略について。
オフィスを都心に立てて通勤客の需要で成り立つビジネスは終わりがある。
二子玉川のように働くところ、住むところ、遊ぶところが一体になった街が必要。
さらに高齢化が進むと、Maasが重要になってくる。
オフィスで稼げなくなることをすでに予想していたのが先見の明があると感じた。

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2020年05月20日

Posted by ブクログ

東急の約100年の歴史を振り返りながら今後のビジネスプランまで記した書籍。他の鉄道会社と一線を画している東急の成り立ちがよくわかる一冊。東急線沿線に住んでいるとよりイメージが湧くかも。ただ東急の役員が発行してて「沿線人気No.1」とか出すのは、混雑率やら遅延の多さやら文句も多い中で反感を買うのでは…という印象もあり。

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2020年03月29日

Posted by ブクログ

東急電鉄。
私鉄売上高全国2位。関東1位。
小田急箱根、東武日光、京王高尾山。
東急出口駅観光が無しです。
書籍でさ、五島親子経営から現在までを網羅しています。
五反田目黒大井町 未来投資にも触れています。

東急電鉄のポジショニングが明確に理解できる書籍です。
現役執行役員東浦氏書き下ろしであることも見どころです。
執筆に感謝です。
電鉄好きな方、東急電鉄近隣の方、是非ご覧ください。

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2019年09月24日

Posted by ブクログ

東急電鉄の街づくりの歴史。これを現役役員の方が出せる事が素晴らしい。東急ファンとしては出会うべきして出会った作品。新規事業という考え方だけでなく、鉄道会社のあり方、オープンイノベーションの意義にも触れられている。そうそう、五反田バレーにも。

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2019年02月20日

Posted by ブクログ

東急電鉄叩き上げで都市開発に携わり続けてきた著者が、東急の街づくり約100年の歴史を振り返り、今後の方向性を示している書籍。著者は2024年4月現在では東急(株)の常務執行役員を務めている。

首都圏の街づくりは、都心の本拠地を中心に開発を行うデベロッパーと、都心と郊外を鉄道で結び郊外で宅地開発を行ってきた私鉄に大きく二分されてきた。
東急が他の私鉄と異なる点は、他私鉄が終点付近に観光地を有しレジャー輸送も柱となっているのに対し、東急には観光地が無いことから、沿線を「面」として宅地造成し、住宅地としての魅力を高める方向で特化したことにある。計画的な都市設計と生活サービス施設の充実による高い利便性により、沿線に住む住民の満足度が高まり、結果として高いブランドイメージを持つに至った。

今後、高齢化と人口減少を迎える中、郊外の住宅地から都心のオフィスへの通勤旅客輸送で稼ぐ従来型のビジネスモデルが苦しくなることから、私鉄各社は大きな方針転換を余儀なくされている。
本書では東急の今後の方針として、渋谷エリアへの積極投資を続けつつ、高齢化・老朽化した沿線地域はコンパクトシティとして再生を図る計画を示している。他私鉄も同様に都心部での不動産ストックビジネスへの依存度を高めつつあり、今後どのように差別化していくつもりなのか、今ひとつ差異が見出せないように感じた。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

これまでまとめられていなかった日本の私鉄の歴史と、現在の東急の取り組みについて分かりやすくまとまっていた。

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2019年11月03日

Posted by ブクログ

目新しいことはあまりないが、現役執行役員が書くことに価値がある。

東急という会社自体には、
・鉄道は手段で、メインは都市開発であるという立場を明確にしていること
・人口減少と多様な働き方へのシフトという時代の要請をくみ取り、しっかりと自社の沿線に将来のビジョンとして落とし込めていること
・マンションデベロッパーとは違い、これまでもこれからも沿線にコミットしていく姿勢を示していること
から、ポジティブな印象を受けた。

私は生まれてから24歳で一人暮らしをするまで田園都市線沿線に暮らしていて、独特の閉鎖感、「すべてが東急ブランド」という環境に耐えられなかった。肌に合わなかったという、それだけのことかもしれないが、社会的なステータスを重んじる人にとってはそれが目指す先なんだろう。そういう地位を築き上げたということ自体はこの会社のアベレージであり、他社への優位性であるのは間違いない。

だが、本書の中では「沿線住民は社会的ステータスの高い人が多い」というような、沿線住民をヨイショする書きぶりが随所にあるのが鼻についた。だがこれも、東急沿線住民が読んだらくすぐられるのだろう。そして、東急の優位性を示すために他の私鉄をこき下ろしたりするのは止めたほうがいい。優位性はユーザーや世間が決めることだ。

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2019年07月28日

Posted by ブクログ

2019.01 東急電鉄の歴史と未来。私鉄3.0ということなら、もう少し他社線についても触れるとよかったと思うが、お立場上厳しかったのかなと思う。

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2019年01月13日

Posted by ブクログ

タイトルは私鉄の未来を示唆するようなものだが、
ほぼ東急の歴史を追った内容。
しかし、こと日本における東急の役割というのは大きなものなので非常に読み応えがある。
グランベリーモールのくだりなどは驚きが大きかった。

致し方ないが、いかんせん東急バイアスがかかっているなという点は否めない。
しかしいわゆるMaaSの文脈で考えたときに、実は東急という会社は、それこそ田園都市を構築したときからMaaS的ビジョンを持っていたのかもと思わされた。
武蔵小杉の現状に対する自省も感じられ、今後の東急に期待が持てる一冊だった。

なので、結局本のタイトルと内容はけっこう乖離。そこは残念。

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2018年12月19日

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