【感想・ネタバレ】22歳からの社会人になる教室2 齋藤孝が読む カーネギー『道は開ける』のレビュー

あらすじ

デール・カーネギーの古典的名著を、教育学者の齋藤孝が自身の知見と実践技法を加えながらわかりやすく解説する「22歳からの社会人になる教室」シリーズの第二弾。カーネギーの『道は開ける』には、人が生きていく上で誰もが直面する悩みやストレスを取り除く方法が、具体的かつ実践的に説明されている。老若男女の別なく悩みの渦中にあるすべての人を心の闇から救い出し、新しい人生を切り開くための座右の書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

1、まず状況を率直に分析し、その失敗の結果、起こりうる最悪の事態を予測する。
2、最悪の事態を予測したら、やむをえない場合は、その結果に従う覚悟をする。3、覚悟ができたら、最悪の事態を少しでも好転させるように、冷静に自分の時間とエネルギーを集中させる。

最悪を受け入れれば、こわいものは何もない最悪の事態を受け入れる覚悟という意味でいうと、『葉隠』という本が、大変参考になります。この本は江戸時代、佐賀藩の山本常朝という武士が語ったもので、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉が有名です。これは、何も死ぬことをすすめているのではありません。つねに死を覚悟することで、心安らかに生きられると言っているのです。


カーネギーのアドバイス次の4つの問いに答えれば、悩みは解消できる。 ❶問題点は何か? ❷問題の原因は何か? ❸いくとおりの解決策があって、それらはどんなものか? ❹望ましい解決策はどれか?

悩みの習慣を断つプラクティス ●過去から教訓が引き出せれば、嫌な過去を廃棄処分できる。 ●「覆水盆に返らず」ということわざを大事にしよう。 ●過去のくよくよから逃れるには新しいことを始めるに限る。 ●過去にこだわるときは、アスファルトにこぼれたペットボトルの水を拾おうとしている自分の姿を想像して、笑ってみよう。

今日の気分を整えることが幸福になる秘訣考え方次第で、人生は変わります。たとえばナチスのアウシュビッツに入れられた精神科医のヴィクトール・フランクルは著書の『夜と霧』で、収容所では希望を失った人から順番に死んでいったと書いています。アウシュビッツではクリスマスの前、「クリスマスには解放されるだろう」とみんなが期待していました。ところが、解放はないことがわかります。するとみな絶望して、お正月までの間にバタバタとたくさんの人が亡くなったというのです。

生き残ったのは、「いつかは解放される」と信じている人たちでした。アウシュビッツは地獄ですが、その地獄にいても希望を失わない人が生き残ったのです。そう考えると、いかに心の持ち方が重要かがわかります

カーネギーのアドバイス厄介事を数え上げるな、恵まれているものを数えてみよう。幸せな精神状態を養うためのプラクティス ●自分が持っているものにフォーカスする。 ●目が小さくても「ごみが入らなくてちょうどいい」と考えよう。体の弱点もプラスにできる。モネやベートーベンのように。
カーネギーのアドバイス運命がレモンをくれたら、それでレモネードをつくる努力をしよう。幸せな精神状態を養うためのプラクティス ●不愉快なリクエストでも「へえ~、こんなことを言ってくるのだ」と面白がろう。 ●貧乏くじを引いたからこそ活躍しているたくさんの偉人を思い出そう。

本当の幸福感とは、自分がほかの人にエネルギーを使い、その人が喜んでくれたときに感じられるものなのではないか、と思います。

得られるのです。自分の仕事におけるミュージシャンのコンサート的なものは何だろう、と考えてみるといいと思います。

他人に興味を持つことによって自分自身を忘れよう。毎日、誰かの顔に喜びの微笑みが浮かぶような善行を心がけよう。幸せな精神状態を養うためのプラクティス ●店員さんに「いつも笑顔が感じいいですね」、シェフに「ここの味はスぺシャルですね」などと話しかけてみよう。 ●今日は何人、人を微笑ますことができたか考えよう。できていなかったら、すぐにそれをやろう。 ●自分にとっての〝コンサート会場〟は何かを考えてみよう。

ありませんな。何事も神が支配しておられるし、神は私の意見を必要とされない。神が責任を持ってくださる限り、万事が結局は理想的に処理されると信じます。何を悩むことがありましょう」さすがヘンリー・フォードです。世の中のことはみな「神のみぞ知る」ですから、自分がやれるだけのことをやったら、あとは悩まない。悩んでもしかたないことにエネルギーを取られないので、悩みと無縁なのです。

社長はカーネギーの質問にこう答えています。「『人の上に立つ限り、非難を免れることは不可能だ。気にしないようにするしか手はない』と。この考えは驚くほど効果があった。その時以来、私は

どんなに非難されようと、やるだけのことやったら、あとは傘をさして非難の雨に濡れないようにしていればいいのです。ことわざでいえば馬耳東風でいる、といったところでしょうか

社会は人間関係で成り立っていますから、引き立ててもらわなければ、チャンスは回ってきません。そういう意味では可愛げを見せることはとても大切です。「私はここが至りません」とか、場合によっては「自分はもうバカなんで」と〝おバカスタート〟でやるとハードルが低くなります。「あれ?それほどバカじゃないじゃないか」と思ってもらえれば、こっちのものです。若いみなさんはどうか私の轍を踏まずに、可愛げのある人生を送っていただきたいと思います。 

ただし、話しかけるのは前向きな言葉に限ります。「ほんとにおまえはダメな奴だな」と自分を否定するような言葉を言っていると、本当にダメになってしまいますので、気をつけてください。テニスコーチのガルウェイが書いた『インナーゲーム』という本があります。これは、テニスにヨガや瞑想の手法を応用したような本です。心の中にはセルフ1とセルフ2の2人の自分がいて、セルフ1はセルフ2に対して、ずっと文句を言っています。それが私たちのふつうの状態です。そのセルフ1を黙らせる手法がインナーゲームです。たとえば飛んでくるボールの縫い目が見えるくらいボールを見つめたり、打つときに声を出すなど、何か別なことに集中することによって、自分を罵倒するセルフ1の妨害を阻止するのです。自分を励ます習慣を身につけると、自分の中に味方を持つことになります。他人は自分を否定しても、自分は自分を否定しない。「人は何と言っても、でも大丈夫」と言い続けると、必要以上に疲れることはなくなると思います。

そうした言葉をくり返し見ていると、その言葉があたりまえになって思考の習慣になっていきます。すると行動が変わり、行動が変わると自分を取り巻く環境も変わるからです。『道は開ける』には心理学者のウイリアム・ジェイムズの言葉がよく引用されています。思考が変われば、行動が変わり、行動が変われば環境が変わるというのは、有名な彼の考え方です

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2022年10月01日

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