【感想・ネタバレ】終末なにしてますか?異伝 リーリァ・アスプレイのレビュー

あらすじ

リーリァ・アスプレイ、13歳――亡国の姫にして人類を守護する勇者である少女の、烈しくも可憐な日々。アニメ化も果たした『終末なにしてますか』シリーズから紡がれる、もう一つの物語。

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孤独な正規勇者に、世界は残酷で

リーリァが十三歳の頃の物語。
正規勇者として既に何度も卑獣らとの戦いに大陸各地を赴いていた頃。
正規勇者は理不尽でデタラメな存在…、そして孤独な存在、巨視的に最重要目的は達成できても、守りたいものは守れず…

忘失物質(ハイイロ)を多く含んでいて、後の世界で浮遊大陸群の素材となるフィスティラス大山脈、その奥深くにある古い廃神殿。
吸血鬼との戦いにて受けた呪詛で不調となったセニオリス、帝都の工房でもどうにもならず、バゼルフィドルへ出向く事に…
修復を頼む相手アデライードは顔見知りのようだが、リーリァは会いたくない相手で…

偶然なのか必然なのか、少女エマに出会うが、翠銀色の瞳は流行病の後遺症、呪いの痕跡?
人間を別の何かに変容させようとした<獣>?
『人類の破滅を防げるかもしれない鍵』極位古聖剣ゼルメルフィオルの適合者候補?
歴史上確認できている使い手はたった一人、二代目の正規勇者リュシル・ザクソイドのみ。
それ以外は、試みた者が全て剣に喰われ、翠銀色の何かに成り果てる。
讃光教会の教えの一つ『終末の使者は緑色の汚泥』と何か関連が…。

多くの贄により翠銀の巨人となった災厄は人間の力の及ぶものではなく…
かつての正規勇者リュシルを模倣し続けようとするゼルメルフィオル。
相手が何者であっても、強制的に『死者』へと書き換えるセニオリス。

そんな猛威の中、リーリァが守りたかった者たちは…。


時は遡り、遠い昔の物語
聖剣が未だ一振りも存在しない時代
ある青年と神片精霊カイヤナイトとの出会い
ハルクステン始祖神像の右の瞳として埋められていた最後のひとかけら、願いの精霊カイヤナイト、願望成就系能力を持つとされ、藍晶石の形態をとり…
長い旅路を同行する事となり、青年だった”勇ある者”は老人となったが、人類の存亡を賭けて『赤銅竜ニルギネルゼン』を討伐する必要があった。しかし、武器を失い残ったのは『生活に便利なおまじない』の鋼片が四十一。
最後にそして初めて、神片精霊カイヤナイトへと要求した願いは…


ところで、
極位古聖剣の五振りとあるけど、名前が登場したのは
 セニオリス
 モウルネン
 スィーレン
 ゼルメルフィオル
の四振り。
残りの一振りは本編で、いつか登場してくるのだろうか?

あと、カイヤナイトが核となった聖剣は、護符が四十二で一揃いになる筈が、四十一しかない…。
極位古聖剣は未完成の剣、剣の一部となる者しか扱えない…?
他の聖剣はどうなんでしょう?

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2023年11月08日

購入済み

どこまでも哀しい

悲しいではなく哀しい。
すかすか、すかもかシリーズのかなしさは哀しいと書くのが正しい。
この作者は、その哀しみを儚き少女達に表現させるからズルい。
いや、彼女たちだからこそ伝わる哀しみとも言えるのかな?

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2022年08月01日

Posted by ブクログ

リーリァ・アスプレイ13歳。

人類最強戦力として怪物や災害に立ち向かう力があっても、救いたい人に手が届かない事もある。
そんなもどかしさに悩む少女の物語。

リーリァの手の届かない所は、まだまだ未熟だけど頼りになる兄弟子がカバー。

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2019年09月16日

Posted by ブクログ

正規勇者リーリァが主役の異伝。
今刊行されている「すかもか」では人間が居た500年前の時代に関係する人が居ないため、自然とリーリァや勇者関係の話が展開されなくなったんだよね。それを考えるとこの時代が描かれるのはかなり久しぶりか

この異伝で描かれるリーリァはまだ13歳。「すかすか」で描かれた頃より少し幼い……筈だけど、既に正規勇者として求められる在り方は完成されている印象。
むしろ同時に登場しているヴィレムの幼さの方が目立ってしまう
こういう書き方をしてしまうとリーリァが規格外に思えるけど、そもそも作中での各種描写がリーリァが持つ異端とも言える在り方をこれでもかと強調しているようにも思える
作中で言及されているように正規勇者って普通の人間の枠で捉えることがそもそも間違っているんだろうな。それは「人間としての努力をやりすぎると、せっかく『人間離れしてる部分が薄れてくる』とのセリフに表れている

今回登場するリーリァは不調のまま活動している。身体に約4万7千人を殺す呪詛を抱え、聖剣セニオリスも汚されている。そういった前提があれば普通は活動に制限が付きそうなものだけど、リーリァはそんな事お構いなしに正規勇者として求められる仕事をする
普通とか当然とか関係なしに救世の英雄として巨悪を討つ
どこまでも規格外な存在

ただ、そんな規格外なリーリァにも苦手なことが有るというのは面白い。まあ、苦手というか求められた役割ではないと言うか
人類の危機とか国の存亡などの事態には滅法に強い。その代わりに誰か一人や二人だけ守るみたいな行為は苦手とする。大勢を救うことは出来ても本当に守りたい人だけは守れない
それはとても悲劇的な在り方だけど、その在り方が正規勇者としてのリーリァを支えているというのは何とも皮肉なこと

でも、それはリーリァだけで事態に対処しようとした場合の話で、今回のようにシリルが居ればリーリァの足りない部分を補ってくれるし、ヴィレムだってリーリァが救えなかった人を救うことが出来る。
特に何度もリーリァが救えなかった少数を救ってきたヴィレムという存在はリーリァにとって、とても特別な存在であるというのも見えてくる。最終目標としてリーリァを救うことすらヴィレムは考えているし
ただ、それが逆にリーリァが正規勇者を辞められない理由にもなってしまうのは何とも言えなくなるけど


本作ではリーリァの物語の他に初代正規勇者と聖剣セニオリスの曰くについても描かれている
望んだものが手に入らず、守りたいとものを守れずそれでも前に進み続ける宿命を持つ勇者。そんな勇者にとって何も望まなければ傍に要てくれる存在というのはどれだけ有り難い存在だったのだろう。
そしてその身を使って尚勇者と共に歩むと決めた行為がどれだけ尊かったことか
このセニオリスが後々に様々な勇者たちと共に有り続けたことを考えると、これからはセニオリスの描写を読む時はまた違った心境で読むことになりそうだ


そういえば作者も後書きで触れてるけど、まだまだ500年前の時代について描かれてないことって幾らでもあるんだよね。ただ、先にも述べたけど「すかもか」ではこの時代に関係する人が居ないものだから本編中で描かれる可能性はほぼ無いわけで……
既に終わってしまった時代の話だから、本編を進める上では描く必要が無いのだろうけど、どうにも「一体何が有ったのか」という部分がどうにも気になってしまうことが多すぎますよ……

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2019年08月11日

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