【感想・ネタバレ】過労死 その仕事、命より大切ですかのレビュー

あらすじ

朝日新聞で掲載された過労死特集「追いつめられて」をもとに追加取材を重ねて一冊にまとめました。過労死をなくすには、法制度だけではなく、働く人のほうこそが他人事と思わず、問題を直視し、働き方や生き方を見直すしかないという考えから、不幸にして亡くなった方や遺族の声を集めて、その現実を伝えます。

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Posted by ブクログ

一ヶ月につき80時間の残業。
これが、いわゆる「過労死ライン」である。

もしこのラインを超えていて、かつ改善されないような職場なら、早く辞めたほうがいい。
自身の安全と健康が何より大切だ。
日本人は逃げることを嫌うが、こんなの大した問題ではない。早く逃げるに限る。

「自分が辞めたら周りに迷惑がかかる」なんて責任を感じる必要はない。
大丈夫、あなたが辞めてもきっと誰かが代わりを務めてくれるだろう。
組織とはそういうものだ。
もし1人がやめて回らなくなるのなら、元々駄目な組織だったということだ

もし辞めることに抵抗があるなら、まずは休職してみるのが良いだろう。
たっぷり休んで健康を取り戻してから、ゆっくり次の行動を考えればいい。

何よりも、人生は一度きりだ。
逃げずに我慢し続けるのは、リスクが多すぎる。


逆に、周りの人から「死にたい」と相談を受けたらどうすればいいか。
なりふり構ってはいけない。
半ば強制的にでも医療機関を受診させ、職場から離すことを検討しなければならない。

間違っても「どうせ本当に死ぬわけがない」と決めつけてはない。
その判断が、取り返しがつかない結果を生むこともある。

また、そういった人を「自己責任」で片付けてはいけない。
「死ぬくらいなら辞めればよかったじゃん」なんてもっての外だ。

追い詰められた人の判断力なんて、簡単に壊れてしまう。
周りの人の助けが絶対に必要なのだ。


本書は、実際に起きた過労死を紹介する本です。
遺族へのインタビューも載っています。
非常に重いです。読んでいて辛くなります。

実は自分も最近、仕事が非常に忙しくなり、
「もしかして、このままだと本当に死ぬんじゃないか?」
と真剣に思っていました。
それが本書を手にとったきっかけです。

結論としては、読んでよかったです。
様々なことを考えさせられます。

これまでの死を無駄にしないように、なんて偉そうなことが言えるような人間ではないですが、
自分は自分なりに生きていこうと思います。

本当に大事なことは、タイトルの通りです。
生きるより大切な仕事なんて、たぶん無いのだと思いたいです。

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2020年12月25日

Posted by ブクログ

過労自殺した方々の記録。
冒頭のまーくんのタイムマシンを作る理由を読むと嗚咽しそうになる。
2章に出てくる悪辣なパワハラ糞野郎はともかく悪意無くても過労にもっていってしまう会社という営利集団のサガが感じられる。
それぞれの方のご冥福をお祈りいたします。

0
2020年10月25日

Posted by ブクログ

過労死のルポ。

11の具体的な過労死について丁寧に関係者へ取材している。
それぞれの記事を読むことで、過労死と一言にいっても個々に事情が異なるということがよく分かる。

共通しているのは、仕事を、自分の体や心の限界以上に重視してしまい、死に至ってしまったということ。

熱心すぎて体を壊してしまった方、職場の理不尽なパワハラに追いつめられ、精神を病み、視野が狭くなり亡くなった方。それぞれ、切実で胸が痛む。

また、残された家族にも大きな影響が。
本書で引用されていた以下の言葉が心に刺さる。

配偶者を失うと、共に生きていくべき現在を失う
親を失うと、人は過去を失う
友を失うと、人は自分の一部を失う
子どもを失うと、親は人生の希望を失う
(『愛する人を亡くした時』E・A・グロルマン著、日野原重明監訳、松田敬一訳)


自分自身も過労死ラインを何倍も超えるような残業をして、職場の上司や同僚からの叱責などにより、思考能力が著しく低下し、仕事もミスしがちになり、自信がなくなり、体の調子もおかしくなるという悪循環を経験したことがあるからこそ、この本に書いてあることは他人事ではないと思う。(私はそれに耐えられなく、すぐに短い休暇をとってなんとかしたが。)

この本に書いてあった、「仕事至上主義」という言葉が心にのこった。

自分が追いつめられたときの自分の心の中では仕事の存在がどんどん肥大化し、その仕事ができないことに押しつぶされる。

本来、仕事と自分だったら、自分のことの方が大切なのはよくわかっているのだけど、そうは考えられなくなる。

自分の限界をわかっていないからこそ、もう少しやろう、もうすこし頑張れると思ってしまい、いつの間にか超えてはいけない線を越えてしまっている。

仕事=生活の為のライフライン+アイデンティティ
がダメなのは → 自分という存在自体がダメということ。
という考えに執着してしまう。

時間制限をすることは、この「仕事至上主義」の閉塞した世界を作らないという意味で重要だと思った。

「仕事至上主義」は、自分よりも仕事を大切にすること、それが当然という考え方(それが周りの場合もあるし、本人自身の場合もある)。
その考え方は仕事の現場では違和感がない。
でも、それって本当はおかしいよねという考え方を、誰かが発言できる職場の雰囲気があること、が重要だと思った。

この本を読むと、今の働き方変革、ワークライフバランスという流れは正しいのだと思う。

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2019年09月15日

Posted by ブクログ

亡くなられた方の当時の状況や職場環境だけでなく、性格や生育歴まで書かれていて、丁寧に取材されたんだろうなと思いました。
遺族の方が、大切な人を失った哀しみのなかで会社や企業と裁判で闘ったり、労災認定されるよう動かなければならないのは本当に大変だと思います。

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2021年03月02日

Posted by ブクログ

いろんなエピソードが胸に響く。章の長さがちょうど良く読みやすい。端々で泣けるので電車では読まない方が良い(読んだけど)。

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2019年06月20日

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