あらすじ
ティグリス川・ユーフラテス川流域の豊かな地に生まれた古代文明の人々の生活とは、どんなものだったのだろうか。楔形文字と世界最初の国際共通語シュメール語、都市と農業と牧畜、書記学校の生徒たち、王国での帝王学、ハンムラビ法典、そして豊かな神話と文学の世界など、テーマに沿って4大文明の一つを解説。
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Posted by ブクログ
古代メソポタミア文明についてを初学者向けに解説した書。文字・教育・法律など、メソポタミア文明の特徴を各テーマに沿って平易に概説する。
本書は、古代メソポタミア文明を(主にウルク期から古バビロニア時代までを中心に)紹介したものである。内容はメソポタミアの地理と通史から始まり、都市・文字・教育・法律・家族制度・文学といった各テーマに沿ってメソポタミア文明を解説する。それぞれの章では出土品や楔型文書など当時の資料を例にとって解説を進めており、文字資料が豊富なメソポタミア文明の特色も相まって当時の社会の様子がよく分かる内容となっている。特に法律や家族制度の章ではかの有名な"ハンムラビ「法典」"から当時の社会を読み取るという形になっており、今日の社会制度にも通じる古バビロニア時代の社会制度を概説している。個人的に驚きであったのは、"ハンムラビ「法典」"が厳密な意味での「法典(=法律の集大成)」ではなく「判例集」ではないか、そしてその地位も法的拘束力を伴うものというよりかは判決の手引書のようなものであったのではないか、ということであった。
中高生向けの岩波ジュニア新書から出ているというだけあって、初めてメソポタミア文明について学ぶという人にもお勧めの一冊と言えよう。