あらすじ
科学的な手法の発達によって、近年、考古学の成果が多数挙がり、考古学の年表は全面的に書き換えられつつある。旧石器捏造事件で考古学の危うさが指摘されて以来、科学的な確からしさが常に問われている。そこで実証的な考古学の最新成果を一般の読者にわかりやすく伝えるとともに、通説をそのままなぞるような水準にとどまらない、挑戦的な研究を紹介。旧石器時代から古墳時代までの全貌がわかるだけでなく、考古学ファンの批判に耐え、知的好奇心を満たす最前線の研究案内。
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Posted by ブクログ
学生時代の知識をブラッシュアップするために購読。本書は14章から成り、縄文〜古墳時代までを、通史ではなく、トピックにより概観している。かつて考古学を学んでいても、自分と違う専門分野を読むのは正直しんどい。このため、一部は半ば斜め読みしてしまった。
考古学は基本的に物を扱う学問だけど、最近はそこから認知の世界にまで広がっている。銅鐸から垂直的な世界観なるものが認められるという。なんとドラマチックな!
弥生時代は前3世紀からと習った世代だが、あの歴博の発表以来遡り、今では前8世紀というのが主流らしい。懐かしの騎馬民族論文にも触れられているのは興味深い。
個人的には、海民の章と、最終章の「前方後円墳はなぜ巨大化したのか」が面白かった。前方後円墳を作った理由は通説通りだが、巨大化の理由は逆転の発想だった。
はじめにで語られる旧石器捏造事件のとき、まさに僕は考古学を学んでいた。当時、先生とも議論したことを思い出す。あれからも考古学は進歩し続けていたんだなあ。
Posted by ブクログ
<目次>
第1部 旧石器・縄文時代
第1章 旧石器文化からみた現生人類の交流
第2章 縄文時代に農耕はあったのか
第3章 土偶とは何か
第4章 アイヌ文化と縄文文化に関係はあるか
第2部 弥生時代
第5章 弥生文化はいつ始まったのか
第6章 弥生時代の世界観
第7章 青銅器の祭りとは何か
第8章 玉から弥生・古墳時代を考える
第9章 鉄から弥生・古墳時代を考える
第3部 古墳時代
第10章 鏡から古墳時代社会を考える
第11章 海をめぐる世界/船と港
第12章 出雲と日本海交流
第13章 騎馬民族論のゆくえ
第14章 前方後円墳はなぜ巨大化したのか
<内容>
最先端の研究者による、最新の考古時代の論文集。ちくまの歴史シリーズ。なかなか魅力的なラインナップで、授業でも取り上げることが多いものが載っている。特に最終章の前方後円墳の話は斬新。巨大化と富の放出による統治(民を食べさせる)話は面白かった。また第12章の日本海ルートは筋の通る話だった。