あらすじ
もはや財務省に最強官庁と謳われた面影はない。官邸に遠ざけられながら、悲願の消費税増税をめざす舞台裏で何が起こっているのか。落日のリアルを鋭く描きだす。
プロローグ 不世出の官僚
第一章 最強の失墜
第二章 鈍る政略
第三章 OB勢力の凋落
第四章 「人財」生かせるか
第五章 歳出要求のマグマ
第六章 通貨外交の舞台裏
第七章 論争の現場
第八章 消費増税の宿願
第九章 JGBの素顔
第一〇章 第二の予算
第一一章 減税並んだ大綱
第一二章 一〇一兆円予算
エピローグ 姿勢すら示さなくなった財務省
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
かつては「最強官庁」と呼ばれるも、現在、森友学園問題やそれに起因する公文書改竄問題で信用失墜の底にある財務省。本書は、その実像に迫る読売新聞の連載「インサイド財務省」をまとめたものである。
財務省の花形である予算編成や税制改正だけでなく、通貨外交、国債管理、財政投融資といった比較的マイナーな分野も含め多岐にわたる財務省の業務に関するトピックを取り上げるとともに、OB勢力の凋落や採用活動での苦戦など、組織としての財務省が直面する現実についてもスポットライトを当てている。
本書(厳密にはもとになった連載)は、「政策を担う官僚個人に焦点をあててストーリーを展開させるという手法を採用」しており、緻密な取材に基づく、非常に臨場感のある内容となっている。読み物として非常に面白かった。
Posted by ブクログ
財政再建を求める財務省が、安倍元首相や経産省を中心とした上げ潮派(経済を上向けにして結果的に財政を再建する)の勢いに押されている状況を新聞記者の目で描いている
財務省と経産省それぞれに2〜3人とはいえ知り合いがいる身としては、経産省の人間はよくいえば親しみやすい、悪くいえば非常に軽薄(商社マンとかに通じる感じ)なので、日本の財政状況も加味するとまだ財務省の方が信頼できる(ただし、とんでもなくエリート意識が強い人も結構いるので、友達になりたくはない)が、ここまで影響力が下がると難しいか。また、財務省が力を持つ≒増税、なので一般人としてはありがたくない。今まで財政を担ってきて、その結果の財政状況なので、増税の場合は国民への説明責任と謝罪が伴うと思っているのだが、我は富士山と豪語する連中にはそういう意識はなさそうだ(個々人ではいい人もいるのだが)。
Posted by ブクログ
この組織では働きたくない、そう思いました。
一人しか勝ち残れない構造。それに伴う外部の受け皿の必要性
政治家との正当性の違いによるジレンマ
長時間労働を前提とした仕事
やる仕事は財政健全化=緊縮
成長により健全化を目指す経産省との対立
ヤリガイで労働を搾取する時代は終わってますよ。これじゃあ優秀な人は集まらない。ヤリガイもないし。