あらすじ
立ちはだかる世界最大の壁……。緊迫の山岳小説
ヒマラヤで“魔の山”と畏怖されるナンガ・パルバットで友を亡くした立原。決着を付けるべく、再び難攻不落のその頂に挑むが……。
解説・市毛良枝(俳優)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
標高8000メートルを超える山
ナンガ・パルバットの冬季登頂に挑むお話
いろんな人の思惑が絡み・・・
登山というよりもクライミングのようで
さらに高地で低酸素、天候の問題など
ちょっと想像しにくいですが楽しめました
どんな世界なんでしょうね標高8000メートルって
Posted by ブクログ
世界レベルの登山家が主人公。世界最高峰を目指しトライするが雪雪崩に遭い、友人を亡くし頂上達成できず。その後、死亡した友人の弟も登山グループとして再チャレンジ。頂上達成するが、最後は圧巻。
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世界第9位の高峰『ナンガ・パルバット』
主人公は5年前に挑戦し、友人を失くして敗退。
そして再び挑もうとする主人公の前に現れた失くなった友の弟。
新進気鋭のクライマーで一緒に登りたいと懇願するが、その胸の内に秘めているものは...
といった、山岳小説にサスペンスの要素も絡めた作品でした。
雪山、高所登山での描写の仕方はさすがに著者の手腕が光ります。
クライミングの専門的な知識は持っていなくてもグイグイと引き込まれる内容!
海外の山の知識が無くとも十分に楽しめる作品です(^-^)
そして私が笹本さんの作品でいつも注目してるのが、登場人物たちの山への考え方、姿勢、向き合いかたなどの言葉。
たくさんたくさん的を得ている素敵な言葉がありますが、今回も作品の中の素敵なセリフをひとつ♪
『登山というのは山との闘いじゃない。どんなに過酷な試練を与えられようと、それは俺たちクライマーが望んだもので、山がこちらに敵意を見せている訳でもなんでもない。その内懐で遊ばせてもらっているという謙虚さがないと、勝手に力負けしてメンタルな面で押し潰されてしまう』
私は普通に山登りをさせて頂いてるだけで、ロープを使ったクライミングなどは行いませんが、それでも山で危険な目、大変な場面に遭遇したこともありましたが、それらは人間側の都合なだけであり、山はそこにただ存在しているだけなんですよね。
だから私が山登りをしている中で耳にする言葉の中で一番キライなのは『リベンジ』!!
山はただそこに存在してるだけで、もし登れなかったとしてもそれは人間の勝手な都合。
その山に謙虚な気持ちも持たずにまた登ろうとして勝手に『リベンジ』って言ってるのを見かけると私とは絶対に考え方が合わないと思っております。
だって『復讐』ですよ!?
山へ『復讐』ってどういうことだよ?
逆に教えて欲しいよf(^_^;
いつでも山や私の周りの方々へ対する謙虚な姿勢を持っていたいですね(ノ´∀`*)
Posted by ブクログ
零下20度、8000メートル級への登攀物語で、猛暑をしばし忘れんと(笑)。
ナンガ・パルバットへの冬季登頂に失敗し、友人を失った主人公たちが、リベンジすべく再度”魔の山”へ挑む。
同行するのは、兄の雪辱に燃える、友人の弟。何やら、思惑ありげな彼のミステリアスな行動と、過酷な天候、さらにロシアパーティーの不穏な動き。
果たして、登頂に成功するのは、誰なのか。
キーとなるのは、「極限状態で、人としての正しい意志を貫くことができるのかどうか」。
書中、主人公たちが自分たちにことよせて話している。
「金にもならない。…そのうえ命まで失いかねない。そんなことに夢中になれる馬鹿がいるから、逆に世の中は正気を保っていられるんじゃないですか」
「合理主義の観点からは無駄でしかないことが、人類にとっては心の栄養になるわけだ」
読書についても言えることだなと、納得。
Posted by ブクログ
登攀小説(そんな分野があるかどうかわかりませんが)の中では、私にとってはベスト3に入ると思いました(ちなみにあとの2作品は「神々の山嶺」「氷壁」です)。専門用語が多いと言えば多いのでしょうが、それが臨場感を盛り上げます。また、他の言葉に置き換えられないのだから、必要最小限の使用だと思います。
登攀のシーンは迫力もあり、心理描写も巧みでページがどんどん進みました。これは「神々の山嶺」を読んだときは、登場人物の体力の消費、山のその時々の条件が響いて読んでいてとても肉体的に疲れたことを思い出すと、迫力を感じたとはいえ、ほどよくあっさりしていたのかな、という気がします。登場人物は極限状況にあると思うのですが、わりと極限の感じが軽めに感じました。
第三のクライマーの存在が面白いのですが、もう少し書き込んでくれたら、とか、日本に残っている家族の描写とか、でも、そんなことを言っていたら、上下二巻になってしまうなあ、と思い、このスピード感で読み終えるにはちょうど良いのだろうな、と思いました。
登山は生還して完結するもの(あるいは生還できなかったということがあきらかになって完結するもの、完結でよいのかな?自問しました)だと思いますので、その描写が……、でした。
Posted by ブクログ
笹本稜平『大岩壁』文春文庫。
山岳サスペンス小説。読んでいて身体が凍えるような迫力のある厳冬期登山の描写が際立ち、サスペンスの要素は少し邪魔のような気がした。その点で減点するものの、総じて面白い作品だった。
主人公の立原祐二は『魔の山』と畏怖されるヒマラヤの8,000メートル級のナンガ・パルバッド冬季登頂に失敗し、撤退する途中でパートナーの一人である倉本を失う。自らも凍傷により、手足の指を失った立原は5年後に倉本の弟と共に再びナンガ・パルバッドの登頂を目指すが……
本体価格740円
★★★★
Posted by ブクログ
笹本稜平さんの作品を読み重ねてくると、登場人物達の立ち位置やこの先の展開を序盤である程度類推できてしまう。それゆえ、その想像がどうひっくり返されるのか?という視点で読み進めることになり、ゼロベースで楽しめなくなって悲しい。
ただ、他作品と同様に山を巡る紹介な描写はこの作品でも第一級。私自身が昨年のヒマラヤでの事故やその後のドキュメンタリー映像などを追いかけているからか、山(壁)の登り方や風景など、リアルな映像を伴って脳内にイメージすることができ、そのために必要な情報を過不足なく筆一本で与えてくれる笹本さんは、なんと山への理解が深い作家さんだと心底唸らされる。