【感想・ネタバレ】デジタル経済と税 AI時代の富をめぐる攻防のレビュー

あらすじ

■20世紀の石油に取って代わるデジタル経済の新たな資源だといわれるビッグデータ。では、これらの無形資産が価値をもつ時代に、税の仕組みはどう変えればいいのか?
■2020年4月からグーグル、フェイスブック、アマゾンなど巨大IT企業に対して売上高2%の「デジタルサービス税」を導入――。英政府発表が衝撃をもって受け止められている。EUも同様に暫定的な措置として3%程度の課税を提案しています。ところが、GAFAの本拠地のある米国は猛反発、この問題をめぐって世界は大きく割れています。「米国vs欧州・その他の国」という構図が明確になる中で、日本企業も大きな影響を受けるこの問題に日本はどう対応すべきなのか? デジタル経済と税をめぐっては、さらに様々な問題が山積しています。
・シェアリングエコノミーが発達する中で、そこで働く人や遊休資産への課税、プラットフォーマーの責任をどう考えればよいのか?
・AI時代にベーシックインカムの導入が必要だといわれるが、それは現実的なのか? 財源は確保できるのか? 広がるといわれる所得格差の是正に本当に有効なのか?
・ロボットが人間に取って代わる時代には、ロボットに課税すればよいではないか、ともいわれる。それを可能にするには何が必要なのか?――などなど。
■本書は、税制論議の第一人者が、デジタル経済と税の関わりをめぐる問題の論点を整理し、「公平・中立・簡素」という原則のもとで、どのような税の仕組みが必要なのかを提言するもの。欧州では、デジタル課税や多国籍企業への課税をめぐって一般市民も立ち上がるなど、急速に関心が高まっている。経済格差、所得分配など、デジタル経済の重要な側面を理解できます。

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Posted by ブクログ

専門的な内容のわりに、文章が平易で読みやすかったです。2019年から状況も変わっていると思うので、最新の情報を知りたくなりました。
グローバルなデジタル企業の租税回避問題、一般的にはあまり知られていないと思いますが、なかなか重大ですね。

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2023年07月05日

Posted by ブクログ

税金は素人の身ながら、タイトルを見て面白そうだと思い本書購入しました。結論から言うと、初心者の人間にもわかりやすく解説されていると思います。またGAFAなどの大手デジタル・プラットフォーム企業が大規模な租税回避をしている、というのは新聞等で知ってはいましたが、改めて各社違うスキームを用いているというのがわかり勉強になりました。本書から学んだのは、経済のデジタル化は税制の在り方を根幹から覆そうとしているということです。音楽業界ではデジタル・ディスラプション(デジタルによる破壊的な影響)が起きていると言われていますが、税制の分野にもデジタル・ディスラプションの波が押し寄せているということです。

税に関して現状何が起こっているのか、についての分析編は大変勉強になったのですが、一点気になったのは、著者が描く未来像がかなり悲観的だということでしょうか。もちろん、そういう悲観的な未来像を描かない限り、ドラスティックな税制改革を提案する意味はないわけですが、恐ろしい未来像を国民に想像させたうえで税金のプレゼンスを今以上に高めようとしているかに見えて、あまり良い気がしませんでした。また本書の最後では、国がロボットに対する直接持ち分を持ち収入を得る、というシナリオも描かれていますが、それこそ「1984年」的なディストピア社会ではないかという気もしました。ただいずれにせよ、こういう議論を国民がしていくことが大事なんだ、というメッセージと受け取りましたので、本書は啓発的であったと思います。

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2023年05月04日

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