あらすじ
生物多様性という言葉を聞く機会が増えてきた。「生物多様性の危機」が叫ばれる今、市民や企業、科学者や研究機関、行政、さらには国際機関に至るまで、さまざまな場面で生物多様性を保全し、将来へ残そうとする試みが見受けられる。それでは、生物多様性とは何だろうか? いったい何を守ろうとしているのだろうか? 生物多様性を保全することの意味や意義は? 本書は、これらの問いに答えることを目的としている。
生物多様性の評価方法、保全の意義などは一義的に定義できるものではない。自然からの目線、社会からの目線を踏まえつつ、多様に評価でき、多様な意味を持つ「生物多様性」について、本書では幅広く解説する。
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Posted by ブクログ
こちらは自分が修士課程にいた頃に読んだ本。これから就活が始まるぞ、というタイミング。なんだか環境の賢い利用に携わりたいと思っていた頃に読んだ本だった。
内容も専門寄りで、想定する読者も生態学分野の研究者や大学院生なんじゃなかろうか。ただ、本書の発するテーゼ、多様性という考え方そのものが一意に定義できるものではないという点、これは広く一般化できる内容だと思う。
本書を読んで専門的な部分の記憶はだいぶ薄れてしまっていたけど、強く記憶に残っていたのは冒頭のハンティング活動の部分。環境を守るという事とは感情による直感的な議論だけでは何ともならない事を知った時は驚きがあった。この本は私自身に「環境と人」の関わり合いに対する意識を変えてくれたきっかけだったんだと実感する。そこから1~2年くらい模索しながらようやく自分にとって腑に落ちる環境を守る意義を見つけられた。
だいぶ薄れてしまっていた後続の専門的な部分だけど、博士課程に進学した今だからこそありがたい内容。森章先生という気鋭のトップバリバリの研究者(業績がすごい、もうほんとにすごい….)が概説する現代生態学を伺えるのはこれまたない機会だ。古典的な基礎生態学の課題を現代ではどのようにとらえられているのか。読みやすさと基礎的な部分のバランスが取れている。重要性や将来性とは異なった、生態学そのもののに内包される純粋なおもしろさ、というものを楽しめる本でした。
最後の参考文献一覧は本当にありがたい。研究室の人たちにも薦めたい一冊。