【感想・ネタバレ】宅地崩壊 なぜ都市で土砂災害が起こるのかのレビュー

あらすじ

地震や豪雨による都市部での宅地災害は、天災なのか──
想定外の豪雨や地震で起こる、地すべりや土砂崩れなどによる都市域での宅地被害を、私たちは防ぎようのない自然災害だと思いがちだ。しかし、「持ち家政策」を推進してきた、戦後日本の宅地開発に伴う社会・経済史的背景とその開発工法をたどると、隠れていた真実が見えてくる─。「他人事」と看過できない現代日本の宅地の危機を、斜面防災の第一人者が解き明かす、括目すべき一冊!

第1章 宅地崩壊の時代
第2章 遅れてきた公害
第3章 盛土のミカタ──異常気象と崩壊のメカニズム
第4章 ゆらぐ「持ち家社会」──宅地崩壊の背景
第5章 わが家の生存戦略

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Posted by ブクログ

能登半島地震を機に再読。戦前の全否定、持ち家政策、高度成長期のミスリード、土地偏重等々が絡み合って生まれた谷埋め盛土の造成。地学の軽視による危機管理の欠如が相まって現在の重大なリスクとなり、来るべき首都直下地震でさらに顕在化するとします。このようななかでどう生存戦略するか、とても考えさせられます。身近な危機に気付かせてくれる良書でした。

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2024年02月04日

Posted by ブクログ

近年多発している宅地造成地における地滑り災害は、天災や異常気象が原因だと一括りに語られることが多いが、筆者はこの災害の持つ他の側面、すなわち過去の無理な宅地造成事業によりもたらされた人災であり、持ち家政策、土地バブルを生み出した社会政策の歪みが顕在化した一現象であるとも論じている。豊富な事例と解説でその論拠を示しつつ、結論として、官民の宅地開発関係者だけでなく一人一人が地学的教養を身につけることの必要性を説いている。
最後に引用されていたセリフ、「良いコンクリートを作るには(中略;材料に加えて)、知識と正直親切を加えなければならない」、これはまさしく街づくりに関わるソフト、ハード両面に活かされなければならないことだと感じた。

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2019年08月11日

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