【感想・ネタバレ】地銀波乱のレビュー

あらすじ

◆不良債権問題や金融ビッグバンにより都銀・長信銀が再編されたときも抜本的な対策が取られず温存された日本の地方銀行。融資案件不足や長期にわたる低金利で収益が細り存在意義が問われるなか、金融庁から事業性融資の拡大を求められたこともあり、質の悪い融資、アパートローン、ノンバンク業務などで焦げ付きが起き、いま問題が噴出している。

◆本書は、全国の日経記者が連携し、地方銀行の実態を深掘り取材した成果をまとめるもの。設立20年をむかえた金融庁による行政が適切だったのかについても問うことになる。スルガ銀行のシェアハウス向け個人融資は問題の一端に過ぎず、程度の差こそあれ、多くの地方銀行で同じような問題が起きつつある。地域金融の関係者の必読書となる一冊。

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Posted by ブクログ

1.銀行が今までどのような経営をしてきたのか、簡単に歴史を振り返りたかったので購入しました。

2.本書は日経新聞で取り上げられた地銀についての施策や不祥事、地銀の現状について書かれています。かつてはエリート企業と言われていた地銀が、今となっては就職したくない企業の上位5位に入っています。なぜこのようなことになったのか、そして地銀の問題点はなんなのかを取材された本です。

3.地銀だけではなく、銀行業界は今まで楽をしてきたのだと思いました。昔は外に出れば契約が取れる時代でした。そのため、どれだけ働かせても結果が比例して出てきたのが昔の構図です。その名残が今でも残っており、スルガのようなパワハラ文化が根強く残ってしまったのだと思います。
かつてビルゲイツが「銀行の機能は必須だが企業として形を残す必要はない」と言ったことをふと思い出しました。それを実現するかのように大手企業が参入してきたことにより、銀行の淘汰が激しくなってきてます。銀行はどのように活路を見出していくのか、しっかり考えていかなくては生きていけないとおもいました。

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2019年07月23日

Posted by ブクログ

日経新聞で連載されてた記事をまとめた本。地方銀行の現状と危機を描いている。
実際に地方銀行で働いている身としてはあまりにリアルでゾッとするような内容。
・個人融資への新たなビジネスモデルとして賞賛されていたスルガ銀行の凋落。
・公正取引委員会とケンカしてでも生き残りのために合併を進める十八銀行とFFG。
・モラトリアム法でゾンビ化した中小企業と育ってない銀行員の目利き力。
・マイナス金利で稼ぎ口を見つけられない地銀が手を出してしまうよくわからない金融商品のリスク。
・就職したくない業種なので優秀な若手が入らない。行員レベルの低下。
などなどがデータに基づいてリアルに書かれている。怖い。
地方銀行の生き残りとしての方策としては、企業と一緒になって地方を発展させ、利息を払える事業体力をつけさせること。
わかっちゃいるけど、それをじっくりやる時間も人手も足りない。次第に疲弊していく。

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2019年06月16日

Posted by ブクログ

金融知識がないと専門用語に詰まる部分があったり、主語が省略されていて理解するのに時間がかかる部分があった。
ただ、読み終わる頃には少し金融業界の知識が身に付いたように思う。

金融業界が抱える課題は多いことが理解できた。
本書では課題のみが描かれているが、実際は、そうした状況に立ち向かおうと地銀も試行錯誤していると思う。
他の地銀との業務提携や、フィンテックの導入など、金融業界も変わりつつある。
ただ、それらに乗り遅れる銀行は、今後の先行きは厳しいものとなるだろう。

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2020年04月18日

Posted by ブクログ

日本全国に存在する地銀の直面する問題と課題、具体的な地銀の名称も挙げながら、その現状と金融庁や財務省の本音も併せて解説している。都銀がメガバンクに編成され、次なる編成の波は地銀か?

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2019年12月22日

Posted by ブクログ

良く言われていることだけど、今の地銀のビジネスモデルは限界なんだなーと実感。

スルガの件は、最初は崇高な理念に燃えていたにもかかわらず、数字を追うことで暴走していく様が生々しかった。これは、どの組織でも大なり小なりある事象ではないだろうか。

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2019年11月09日

Posted by ブクログ

地方銀行の実情はかなり厳しいようです。
銀行を辞めた身からすれば彼らには是非頑張ってほしいところです。

銀行の外で5、6年頑張ってスキルや気概を身につけた後、銀行に戻るようなキャリアパスが増えてくれば、顧客網やネットワークをもっと活用できるようになり、収益性改善にも繋がるかもしれないですね。

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2019年06月29日

Posted by ブクログ

地銀の支店は次々と閉店となり、有能な若手行員の多くが公務員の社会人枠採用で転職していく。将来性のある企業、個人は資金調達をクラウドファンディングにシフトしている。困窮している中小零細企業への融資は、銀行はもっぱら国や地方自治体の支援制度に乗っかったリスク回避によるお付き合いだ。事業者に寄り添うのは商工会議所任せで、ただ事務的にカネを動かすのみ。心底、地銀ってどうなるのと心配になる。この本で、地元の2行が取り上げられ、その実情を知るに不安は高まるばかり。完全民営化が震災で遠のいたとはいえ、民間金融になることに悩む商工中金までもが不正融資を行って日が浅い。存続できないものはしなくてもいいが、我がまちに鎮座するあのデカい2棟の地銀本店、あれも一種の自転車操業のシンボルなのだろうか。

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2019年06月13日

Posted by ブクログ

地銀の生き残りにかけ、いろんな工夫をしている優良地銀の取り組みを紹介した本。
ここに紹介している地銀は現状では比較的安心なのかもしれない。

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2020年03月24日

Posted by ブクログ

「金融機能強化法」
・早期是正措置…自己資本比率4%割れの銀行に対し事後的に決算内容を検査し資本注入(現行)
・早期警戒制度…4%割れの危険性ある地銀に対し予防的に資本注入(2019〜)
・16行に資本注入、完済は3行(仙台銀行:公的資金除く実質自己資本比率3.3%。8%超えは東和と北都のみ)

固定資産の減損処理…地銀本業が慢性的に赤字→地銀本店が減損対象となり、一括償却
(島根銀行:自己資本120億、本店60億)

スルガ
・「かぼちゃの馬車」シェアハウス投資家へ2,000億融資
・投資用不動産への融資2,000B(全融資額3,150B)
・アパロン金利3〜4%、借り換えに脆弱

法人スキーム「一法人一銀行・一法人一物件」
・法人への連帯保証の有無は個人信用情報に登録されない
・建物への消費税還付も

・西京銀行→TATERU(預金水増し)案件60件に平均1億融資

実抜計画による正常化
・日本アイコム、弘文堂(広島BK)

銀行にとっての収益(利息)は企業にとっての営業外費用
→企業収益が上昇しないと銀行収益の源泉がない

2019/03償還の地銀保有国債は約4,300B→200Bの利息収入減少

不良「債券」
国内外で金利上昇0.5% → 1/4超、1% → 1/2超の地銀で本業収益を上回る含み損
元本保証だが、外債は外貨調達コストを含めると逆ザヤの可能性
私募投信 → B/S上「その他有価証券」=期中価格変動を簿価に反映する必要なし
P/L上「コア業務純益」=本業のもうけ、見栄えよし

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2019年09月24日

Posted by ブクログ

本書は、昨今の地銀に関するニュースと行政側のこれまでの施策をまとめたレポート。改めて言えるのは、やはり多くの地銀の収益力は低く、国債などの運用に頼っていたこと。これからは目利き力(事業性評価)を高め、積極的にリスクを取って稼がなければならない。担保を取って当たり前などという姿勢は改めるべき。今後のキーワードは、「融資ターゲット先の拡大」と「AIとデータの活用」と「地域の特徴を生かした商品開発」などか。

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2019年07月14日

Posted by ブクログ

 日本経済新聞の記事を再構成したものなので、日経を日頃読んでいる人にとって特別な新鮮味はない。ただ、その総括としてのものである。
 足下、地銀が置かれている状況の報告である。スルガ銀行から見える苦しさは普く地銀に共通するものだと言えるだろう。
 以前、地銀に籍を置いていたものとして、現在の苦境がこれほどのところにまで至るとは驚きと心配の思いがある。個人的には、地銀と信金の業務、マーケットが統合されていくことが今後の地域金融の生きる道だと考えている。地銀は行き場を失ったが、コミュニティ金融は必ず必要である。上場会社である必要があるのだろうか。
 銀行の組織能力と信金の草の根営業力を統合して、新しいマーケットへ移るのである。地銀にとっては、給与水準が下がるとか銀行ではなくなるとか、確かに大きな痛みがイニシャルコストとしてのっかかってくるだろう。しかし、日本のコミュニティ金融を底上げして、地域の中に溶け込んだ金融市場を創っていけるのではないだろうか。
 地銀は信金になって生まれ変わってほしい。

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2019年04月29日

Posted by ブクログ

前半はやや煽り過ぎで、地銀を責め過ぎの感が否めないが、程度の差こそあれ、その辺りを割り引いて読めば、地銀が置かれている苦境をおさらいするには役立つ本。

最終章などの事例が面白かった。

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2019年04月22日

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