【感想・ネタバレ】宿六・色川武大のレビュー

あらすじ

阿佐田哲也=色川武大のいとこにして生涯連れ添った愛妻。
鬼才と呼ばれた作家との風変わりな夫婦生活を活写した名エッセイ。

15歳も年上でデブでハゲで、大の風呂嫌いで、おまけに難病ナルコレプシーの従兄との結婚生活は、1日6食の食事作りに、絶え間ない来客への対応をして、20年間に10回も引越しの片付けをする毎日……。
天才・鬼才と謳われ、ギャンブラーにして作家であった夫とのいささか風変わりな夫婦生活を愛憎をもって追想したエッセイ。

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Posted by ブクログ

阿佐田哲也と色川武大の名前で創作活動をつづけてきた夫の思い出を、従妹であり妻である著者がつづった本です。

一日六回の食事、くり返される引っ越しの準備、著名人やヤクザなどの来客への対応など、世間並みの夫婦生活とはかけ離れた暮らしぶりがしるされていて、色川武大ファンの読者にはたのしんで読める内容だと思います。

直木賞を受賞した『離婚』は、登場人物のすみ子が著者自身とかさねられたため、つらい思いをすることもあったことが明かされていますが、そのことを度外視しても壮絶な生活というほかありません。もっとも、「君が先にいくに決まっているじゃないか」という夫のことばを真に受けて、夫を受取人にする生命保険に加入したというエピソードは、川上宗薫ならずとも笑いを禁じえず、すくなくともこの件にかぎっては著者と『離婚』のすみ子のあいだに懸隔は感じられません。

本書はエッセイとなっていますが、幸田露伴の娘の文や、武田泰淳夫人の百合子の作品とは異なり、あくまで阿佐田哲也・色川武大の身近な人物による回想記という性格の本であり、それ以上の期待にこたえる作品とみなすことはむずかしいかもしれません。

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2025年01月03日

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