あらすじ
『闇金ウシジマくん』の著者、待望の初作品集! 妄想癖のサラリーマンが遭遇する事件を描いた表題作をはじめ、ヤングマガジンにて集中連載された『暴力(バイオレンス)ポコペン』、アフタヌーン四季賞入賞作群(雑誌未掲載作含む)、そのほか文芸誌、同人誌などさまざまな媒体で発表された十四編を集成。著者による全作品コメントも収録。シリアスからギャグまで、希代の作家の真髄を味わえる圧倒的な一冊!
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Posted by ブクログ
中でも気にいった「星に願いを」と「かわりめ」について。
【星に願いを】
普段なんとなく仲良くやっているカップルが、些細な事で口論となる。
日ごろから溜まった鬱憤を小刻みに覇気出してこなかったので、いざ衝突すると、どちらも引き下がることを知らない。つまらない意地の張り合いになる。
その引き金になったのがお隣の家族。発達障害を持っているであろう子供が朝からドタバタ騒いでいる。親は何の対処もできずに念仏を唱えている。それを早朝から聞かされているカップル。ブチぎれるのも当然だ。
仲直りとなったきっかけが七夕の日、”息子のヒステリーが治りますように”と書かれた短冊だった。
彼氏の素直さに惚れ込んだ彼女の心理描写が良かった。あぁ、僕にもお茶をください。。。
【かわりめ】
これ去年の僕そのまんま。何をやっても中途半端。誰に見せるでもないブログを書いたり、自称写真家でもないのに毎日写真を撮る。しかもそれを持続することすらしない。三日坊主の典型のおっさんのお話。
このおっさんのたちが悪いところは、メタ認知ができているということだ。
自分はダメな奴だとか非リア充実だと卑下する人は自分の現状を理解できていない事が多い傾向にあると思う。
途中キャバクラでのシーン。よくある中高生でのグループの話がでてくる。
僕も経験があるから分かることなんだけど、必ずと言ってもいいほど孤立する人がでてくる。その人を嘲笑っていた当時を思い返し、どうでもいい連中と付き合っていた自分を顧みるところがある。
この点、無理に付き合う必要のない人と共同生活を送るのは苦痛だった僕には共感できる内容だった。ただこんな戯言を言ってられるのも学生のうちだけであって、社会に出ると嫌というほどそういう人らと折衝してく必要がでてくるのだが(自分もそうならないように戒めないとすぐにダークサイドに返り咲いてしまう;;;;)。
話を戻すと、このおっさんには優秀な弟【大学院に進学予定)がいる。
弟は兄貴の過去の事も全て知り尽くしているのだろうと推測するが、それを表情にも出さずに見守り続けた忍耐力には脱帽する。この弟のような寛容な心を持てていたのなら、僕の今は少しは変わっていたのかなと反省するところがある。