【感想・ネタバレ】美しい顔のレビュー

あらすじ

未曾有の災害に襲われた町。高校生のサナエは、幼い弟を連れて避難所に身を寄せていた。混乱の中、押し寄せるマスコミの取材にねじれた高揚感を抱くサナエ。だがいつまでも目を背け続けるわけにはいかない、いつか訪れなければならない場所があった。強く、脆く、そして激しく--喪失の悲しみと絶望の底からの、帰還の旅路。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あの日、3月11日に母は津波に飲まれて亡くなった。

自らも被災し、年の離れた弟と一緒に高台に逃れて生き残った高校生のサナエ。

避難所で絶え間なくやってくるマスコミに対して
生き別れた母を探す健気な悲劇のヒロインを演じて、
どうにか自分を保っていた。

遺体安置所で、母の亡骸と対面した日。
生前の母と交流のあった奥さんの言葉。
母の遺体を弟に対面させたこと。

東日本大震災で失ったもの。

涙が止まらなかった。

著者は震災経験者なのかと思うほどの強烈な当事者目線の話。
この本については色々あったみたいだけど、
私はこれを読んで泣いたよ。

大切な人を亡くしたとき、
絶望して絶望して、もうダメだって思うほど落ち込んで泣き叫んで
そうやって徐々に受け入れていくしかないっていう

私も悲しくてどうしようもなかったとき
Coccoがライブでこの本と同じようなことを言っていて
本当に、受け入れていくしかないんだって思った。

悲しかった。

どんな理由であれ大切な人を亡くすのは当然つらくて、
まして震災の津波という理不尽でどうにもならない事実が
途方もない悲しみを深くするだろうに。

それでも生きていなかいといけない。
しょうもないとかアホくさって思うかもしれないけど
サナエのように地に足踏ん張って、すべて受け止める生き方に感動した。

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2022年04月04日

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