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Posted by ブクログ
芥川賞候補当時、ちょっとしたネガティブ話題に上っていたことは覚えていて、でもそのときには、実際読んでみたいとまでは思っていなかったもの。今回、ダヴィンチの豊崎・大森対談の中で取り上げられているのを読んで、俄然、内容にまで興味が沸いた。それなりにデリケートな3.11の話題に、結構大胆に切り込んでいて、読み始めはちょっとハラハラしちゃった。でも友人ママの叱咤激励から状況は急展開し、主人公自身の立ち位置を取り戻し始めてからは、強い言葉のオンパレードで、胸を打たれっぱなしだった。ピンとこない芥川賞受賞作を読むことが続いて、その全てに目を通すのは止めることにしたんだけど、『実は、候補作にこそ名作あり?』って、そんなことを考えさせられる力作でした。
Posted by ブクログ
本作は2018年の群像新人賞受賞作、そして芥川賞候補作にもなりました。ところが後に、東日本大震災を扱った複数のノンフィクション作品との類似点を指摘され、議論となりました。
『群像』に著者の謝罪文・参考文書が掲載され、本単行本の巻末にも異例のお詫び文が載り、改稿の上での発刊となっています。
そういえば…くらいで忘れてましたし、未読でした。今回、その問題点追及や私見を述べようなどと高尚な発想はさらさらなく、震災を背景にした未読の小説だった、という事実のみでの選書です。
主人公は、弟と避難所に身を寄せる女子高生。被災者の一人称で語られる心理描写に驚きました。メディア取材に心で毒を吐きながら、一方でけなげさを全面に出すという、痛々しい感情の吐露が緊迫感を生んでいます。リズムやテンポの良さ、勢いを感じさせながら切ないリアリティが伝わってきます。
後半、マスコミ取材に仮面を被り協力するのを女性に指摘され、初めて本音が爆発するように止めどなく出ます。母の死を受け止め、再び前を向いていく終末に救われた気になりました。
(以下、やっぱりちょこっと私見ですが…)
被災地を訪れておらず、傍観するだけのもどかしさ感じたという著者。自分なりの「震災観」を表現したかった? 未曾有の災害を描くとき、客観的事実から離れすぎてはいけないという思いもあった?
他作品の丸写しでの物語構成はアウトと思うものの、想像力でのフィクション構築の否定はいかがなものかと思います。つまりは創作の動機となる題材として作品に投影させるのは有りではないかと…。
私は素直に本作を好意的に受け止めました。しかしながら、議論が分かれるのも致し方ないかとも思えます。惜しむらくは、著者のデビュー作である本作以降、全く作品が刊行されていない点です。
Posted by ブクログ
あの日、3月11日に母は津波に飲まれて亡くなった。
自らも被災し、年の離れた弟と一緒に高台に逃れて生き残った高校生のサナエ。
避難所で絶え間なくやってくるマスコミに対して
生き別れた母を探す健気な悲劇のヒロインを演じて、
どうにか自分を保っていた。
遺体安置所で、母の亡骸と対面した日。
生前の母と交流のあった奥さんの言葉。
母の遺体を弟に対面させたこと。
東日本大震災で失ったもの。
涙が止まらなかった。
著者は震災経験者なのかと思うほどの強烈な当事者目線の話。
この本については色々あったみたいだけど、
私はこれを読んで泣いたよ。
大切な人を亡くしたとき、
絶望して絶望して、もうダメだって思うほど落ち込んで泣き叫んで
そうやって徐々に受け入れていくしかないっていう
私も悲しくてどうしようもなかったとき
Coccoがライブでこの本と同じようなことを言っていて
本当に、受け入れていくしかないんだって思った。
悲しかった。
どんな理由であれ大切な人を亡くすのは当然つらくて、
まして震災の津波という理不尽でどうにもならない事実が
途方もない悲しみを深くするだろうに。
それでも生きていなかいといけない。
しょうもないとかアホくさって思うかもしれないけど
サナエのように地に足踏ん張って、すべて受け止める生き方に感動した。
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