あらすじ
天皇像は変わらないものを守るためにこそ、時代に応じて変化しなくてはならない。約200年ぶりの譲位実現に道をひらいた天皇の「おことば」は、単なる高齢化に伴う公務負担軽減の問題でも、ましてや一部保守派が言うような「弱音」や「わがまま」でもなく、女系・女性天皇容認や女性宮家創設も含めたこれからの象徴天皇制のあり方をめぐる国民への問いかけだった。戦没者慰霊や被災地慰問の旅を平成の象徴のスタイルとして生み出した天皇が、退位表明に込めたメッセージとは何か?
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匿名
平成生まれとしては天皇皇后両陛下(現在の上皇と上皇后)が被災地に行き、膝を地面につけ被災者と同じ目線で言葉を交わされるその姿を、当たり前のものとして見てきた。そういう姿に代表される国民と天皇との情緒的な繋がりが象徴天皇という戦後日本の新たな天皇像を不断に成立させていく上で必要なのだのいうことを、現在の上皇陛下は考えてらしたのでしょう。それとは相容れない「伝統」(といっても明治以降の伝統ですが)を強調する日本会議的右翼勢力にとっては天皇という存在自体が必要なのであって、自身をナショナリズムの道具としてしか天皇陛下を考えていないことがよく分かります。
Posted by ブクログ
国民に対して、会釈をするにとどめた昭和天皇と
手を振り、対応する上皇陛下。
だ、である体を使い続けた昭和天皇と
です、ます体に変えた上皇陛下。
何となく世相というか時代というか、
それぞれのカラーが出てて
おもしろいなあと。
そして、やっぱり
平成に生まれて、育ってきた
私の感覚としては
上皇陛下のビリーフと通ずるものがあって
今後とも推していきたい気持ちでいっぱい。
おことばの中でも出てきてたけど、
自分の人生を「旅」って表現するところとか
式典の挨拶のたびに毎年、推敲して
表現変えたり、修飾語句増やしたりしてるところ、
言葉を大事にしてるのがすごい伝わってくるし、
控えめに言って推せる。
ほんわかしてる雰囲気とかも
あいまって、大和言葉が似合うなあって
ぼんやり思ってただけやったけど、
この本が多角的に言語化してくれてて
おもしろかった。
個人的には
「おことば」分析の章が
自分の専門とも重なってて好き。