あらすじ
妻子と別居中の男は、宗子という女と暮らしている。女は海に憑かれた元海軍少尉の父親から、精神的に独立できないでいる。男・女・父親――各々の微妙で危うい関係は7篇の短篇に鮮やかに描出され、時間の経過とともに揺れやがて一つの長篇に固着する。画期的連環小説の手法で家族の崩壊、愛の変容、人生の内面を浮彫りにする読売文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
時々、無性に古い小説を読みたくなる。1960年代から70年代にかけての「政治」の時代にイデオロギーから離れて小説を書いた人たちを「内向の世代」と呼ぶそうだ。今は文学史的な仕分けをしなくなったが、20世紀の日本の純文学は戦後派とか第三の新人とか、さまざまに仕分けされた。
村上龍と村上春樹が出てきた時には「青の世代」と名付けようとした人がいたが、あまり定着しなかった。文学史的な位置付けをする人もいなくなってきたせいかもしれない。
元海軍将校の父親と娘、そのパートナーのことを描いた七篇の連作短編。解説を読んでこの作品を評する言葉として「連環小説」という言葉をはじめて知った。