あらすじ
竪岡清太郎一家は続発する怪事件にまき込まれ、恐慌を来していた。長男・清嗣は睡眠中にガス栓を抜かれ、次男・冬樹は暴漢に襲われ、末娘・このみを誘拐するという脅迫状までが舞い込んだ。事件解明の依頼を受けた探偵・三影潤が謎に挑むが、やがて第一の殺人が起こり悲劇の幕があく。呪われた一家を待ち受ける運命は……。江戸川乱歩賞作家による傑作長編ミステリー。
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Posted by ブクログ
あのですね…これ最高じゃないですか?
もろに好みすぎる作品なのですが…本当に辛いこの読後感…
本格ミステリとしてもハードボイルドとしても一流。
探偵三影のセリフが頭から離れない。切ない…
捜査の進捗と加速度がほんとに心地いいくらい理想的で、最後に『冷えきった街』というタイトルが胸に刺さるスピードがえげつなすぎて暫し呆然。
三影シリーズってまだあるのかしら…読もう。
Posted by ブクログ
娘ののぞみを誘拐すると脅迫の手紙を受け取った堅岡清太郎。脅迫の手紙の前から起きる事件。長男・清嗣のガス事故、次男は冬彦の暴行事件。警護を依頼された三影潤。清太郎の誕生パーティで毒殺された清嗣。三影潤の捜査。清太郎の前妻で冬彦の母親・志保子の死の真相。清嗣が殺害したと考えた清太郎の隠蔽工作。殺害された清太郎の妻・玉代。冬彦の事故。冬彦が隠していた真実。
Posted by ブクログ
仁木悦子の中ではマイナーかもしれませんが、私の一番好きな作品です。犯人を知りたいあまり一気に読んでしまった挙句犯人を知ったときの衝撃。もう一度読み直したときに改めて心を傾けられる家族関係や探偵の過去、若い恋人たちの愛情。
いわゆる推理小説ではあるけれど、読み継がれていってほしい作品です。
Posted by ブクログ
所謂「名探偵」ではない、職業私立探偵が視点人物を務める「三影潤」シリーズの長編。ハードボイルドと呼ばれるのはロス・マクドナルドのおかげという感じで、格闘シーンもあったりするのだが、腕っ節の弱さを自認している三影が、一方的にのされているだけで、タフガイ小説ではない。脅迫事件の調査を依頼された三影が、丹念にインタビューを繰り返しながら、富豪一家の過去に潜む事件の謎を暴いていく展開は、まさにロス・マク。とはいえ、一家の孤独な少年と三影の交流の描き方とかはこの作者ならでは。それだけにラストの哀感が一層強まる。