あらすじ
両親を事故で亡くし、おばあちゃんの温泉旅館「春の屋」で暮らすことになった小学校6年生のおっこ(関織子)。旅館に住み着くユーレイ少年・ウリ坊や、7歳の少女のユーレイ・美陽、魔物の鈴鬼の力を借りて、若おかみ修業を頑張る日々。でも時々、両親が生きているような気がして……。累計300万部を誇る大人気シリーズの劇場版オリジナルストーリー。
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Posted by ブクログ
大絶賛の声を聞くアニメ映画のノベライズです。しかも原作者自身が書いているというなかなか面白い構成になっています。
長く続くシリーズ物をひとつの映画にしようとするとどうするのか。総集編のように抜き出して再構成するか、導入部のみに限定して描くか。どちらの場合も原作とは違うその映画としての魅力を求められるでしょう。
今作では原作のエッセンスを抜き出し再構成してひとつの流れを作り出し、ひとつの独立した物語として成り立たせています。主人公のおっこに焦点を合わせて各エピソードをおっこの感情に乗せて積み重ねる。原作から抜き出したエピソードを並べるのでなく重ねることによって、ひとつの物語の流れを作っているのです。
そのためおっこ以外の登場人物の(特にメイン側の)役割が限定されたものになっています。しかしだからこそひとつの物語として完成されているのでしょう。テーマをぶれさせずに、おっこの視点で出会いと別れを描く。この一連の流れがとても美しく、身を任せるのが心地好いのです。
またアニメ映画であるということで、絵として映えるシーンが多いですね。それを小説版で再現する面白さ。実は映画は未見なので、見た時にこの小説版の表現との相乗効果があるんじゃないかと楽しみにしています。