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エッセイ「台風」が良い。いじめっ子論も面白い。また、非行の低年齢化に関して、「低年齢の男の子の恐ろしさは、簡単にそこに生命を張ってしまうところにある。自分しか見ていないからだ」とした後、「ここを抜け出るにはいわば男の美学の進化しかない。もっと高度のダンディーズムニ移行するしかない。ある日、自分の鏡に映った姿が見にくいと感じた瞬間に、非行は終わるのである。」とある。蓋し達見。また、「昭和初年のはやり歌は、歌詞といい曲といい退廃そのものである。その退廃しきった唄を、くすんだ軍服のむさい男たちが、飯盒の中子で酒を飲みながら合唱する切なさは今も私の胸底にある。」この文章も著者の資質を鮮やかに示す。
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エッセイ集。
織田信長の評論なども確かに面白いんですが、それ以上に、「救急車をタクシーと思うべし」や「教える罪」など、作者本人の語りの方が、隆慶一郎作品っぽくて良かった。
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随筆。
一夢庵風流記の主人公を作った人は、どんな方だったのか興味を惹かれたので。
読んでみて、自分の中にある理想像に時代小説の皮を被せていたのだろうと思った。
ご本人もさぞかしさっぱりした方だったのだろう。
あとがきの内容が、この文章集の中で一番気に入った。
P206
「どうして時代小説ばかり書くんですか」
この頃よくそう問われる。
私の答はきまっている。
「死人の方が、生きてる人間より確かだからでしょうね」