あらすじ
民族・言語・宗教が複雑に入り組み、多様な人々を包み込む中東・バルカン。その地を数世紀の長きにわたり統治したオスマン帝国の政治的アイデンティティ、社会統合、人々の共存システムとはどのようなものだったのか。帝国の形成と繁栄、解体の実像、そして文化世界としてのイスラム世界の伝統を世界史的視点から位置づけ、現代にまでつながる民族紛争の淵源を探る。
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Posted by ブクログ
イスラム教を母体とするオスマン帝国について学ぼうと手に取った。
著者によると、オスマン帝国時代、いわゆるイスラム世界は、他宗教を排他的に扱うのではなく、他宗教に課税等の義務を課しながら共存する社会を構築していたという。本著ではイスラム教の融和的な側面に焦点が当てられている。
人間というのは、宗教や民族、肌の色、言語、出自地域などで括ることができる何らかのまとまりに固執し、かつ政治の多数派になることにより、生活の安定若しくは優位性を確保しようとする。そして結局は多数派と少数派の間で諍いが生ずる。これは科学がいくら進歩しようと人類の根っこの部分に残る抗えない性なんだろうか。