【感想・ネタバレ】つよく結べ、ポニーテールのレビュー

あらすじ

「私、ただ野球がしたかっただけなんだよ……」鳥海真琴、23歳、サウスポー。史上初めて、プロ野球のマウンドに立った女子投手。3歳からバットを握った彼女は、中学で習得したシンカーを武器に、高校野球の世界に飛び込んだ。甲子園に出られなくてもいい。だって、私には野球しかないのだから。大好きな野球への想いを抱え、強豪校の野球部に入部した真琴だったが、待っていたのは、目を覆いたくなるような「現実」だった……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「日本プロ野球初の女子選手」を描いた小説。

 こどもの頃から野球に打ち込んでいた主人公・鳥海真琴は、中学の教師に勧められて進学した高校でも、男子に混じってひとりピッチングの腕を磨く。2年生ながら正捕手に選ばれた君澤龍也とは単なる同級生以上の関係になるが、とある事件をきっかけに野球部は春の選抜高校野球への推薦を辞退する羽目に陥り、真琴と龍也の心も離れてしまう。野球に対する熱意を失いかけた真琴に、祖父の道夫が女子のクラブチームを紹介する。

 やがて、日本でも女子プロ野球のリーグが発足(このあとは、登場人物たちが、現在休止中の日本女子プロ野球機構に実在したチームに所属したという設定だ)、2011年、高校を出た真琴や、クラブチームの選手もトライアウトを受けて入団。2014年に完全試合を達成した真琴は、その年のNPBドラフト会議で「琉球ブルーシーサーズ」に7位指名される。翌年の9月、一軍登録された真琴が、甲子園での阪神戦の9回、琉球がリードしている場面で起用され、高校時代の友人たちからのメールでそれを知らされた龍也が慌ててテレビをつける……。


「現在」である2015年9月と、真琴の成長記が交互に描かれ、真琴がなぜ甲子園のマウンドに立っているのか、同級生のはずの龍也がなぜ一歩離れた位置でそれを見ているのかが、ページが進むにつれて少しずつ明らかになっていく構成である。

 男子の野球チームに女子がひとり入ると起こる出来事については、おそらく実際に相当近いのだろう。それだけに、女子チームに出会ってから、本当に楽しく、張り合いを持って野球をする真琴の姿が、読んでいて気持ちよかった。また、「2004年の球界再編の結果、1リーグ10球団になったが、沖縄にも球団ができた」という設定には、筆者の思いがこもっているように感じる(「多少あちこちにチームができたけど、それも片一方のリーグだけ。もっと球界全体で、日本中にプロ野球を広げる気持ちがないと発展しないでしょ」……とか、ね)。

 ただ、上に書いた「事件」は、正直なぜその種のものでないとダメだったのかよくわからないのが正直なところだ。あまり気分のいい内容ではないのと、その結果真琴と龍也の気持ちが離れるという結末がよく理解できないのとがその理由だ。話の筋自体は面白いから、いま小5の孫がもうちょっと大きくなったら薦めようかと思ったが、この「事件」があるのでちょっとためらってしまう。

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

初恋の人と交わした約束を胸に、強豪高校野球部に入部した鳥海真琴。女子選手という世間の色眼鏡と闘いながら、ひたむきに志を遂げていく一途な少女を描く青春小説。
野球が好きという想いが、如何なる苦難からも彼女自身を支えて、そして救ってくれる。そこに『初恋』が加わるのだから、老若男女問わずキュンとならずにはいられない。

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2019年06月14日

Posted by ブクログ

高校時代までの話は面白くてドキドキしながら読んだけど、女子チームに入ってからプロ入りするまでが急すぎとも思った。でも初恋の彼に再会する場面はグッときた。いい読後感のいい作品。

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2018年03月25日

Posted by ブクログ

著者のプロフィールを見ずとも、この人絶対野球部経験者、それも高校野球経験者だな、と文章から伝わってくる。野球描写はもちろん、部活動の様子や練習のキツさなんかが細かく表現されていて、自分の思い出に重ねて懐かしさを感じたりしてました。
中盤からの展開で少し読み進める手が遅くなってしまった。それは「女子野球」というものを小説で書いていく上で、自分の期待していた方向性ではなく「そっちか…」と感じてしまったからかもしれない。

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2022年07月08日

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