あらすじ
『九十歳、何がめでたい』の原点。弱気な夫と、巨額な借金を背負い込んで奮闘する妻を、独特のユーモアとペーソスで描く直木賞受賞作。ほかに『ひとりぽっちの女史」「佐倉夫人の憂愁」「結婚夜曲」などの傑作短篇7篇、新装版あとがきを収録。
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Posted by ブクログ
なんか最近、佐藤愛子さんの本がやたら並んでますね。映画が公開されたから?100歳になられたから?どっちも?
講談社文庫フェアで、1冊買ったらよむーくのお出かけポーチがもらえたので購入。←すぐノベルティにつられる私。
短編が8つ入っています。表題作は50年も前の直木賞受賞作。いやー、すごいな。50年たってもみずみずしく、社会背景は50年前のままなのに、面白く読める。あとがきに書いてあったけど、実体験をもとにした小説らしい。そのあと更に2編、同じように「夫の会社が倒産した」っていうネタで別の短編が続く。どの主人公の女性も気が強くユーモアがあり、豪快で魅力的な女性だ。
私は最後の3編が好きだった。女を口説こうとする男たちの話。女風呂をのぞいたり、業界のプロデューサーだかなんだか、力を持っている男が女優をモノにしたり、逆に美容室経営の辣腕女性が若い男性を自分のモノにしたくて圧力をかけたり、現代なら「セクハラ」「パワハラ」いやいや「犯罪」ってなるようなことだけど、その時代はそんなものなんだろう。男ってこんなもの、年増オンナはこんなもの、っていうのを面白く描き、なぜか誰も不快にしない感じが良い。現在100歳の佐藤愛子さんが、当時から、男におもねるわけでもなく、かと言って極端なフェミニストでもなく、ただ自分の考えをしっかりともち、自分の足で歩いてきた自立した女性である所以かと思う。←えらそう。