【感想・ネタバレ】危機の現場に立つのレビュー

あらすじ

クローズアップ現代+に著者出演で話題!国連軍縮担当事務次長であり、二人の女の子の母親である中満泉さんは、世界中の紛争地で平和活動に奮闘しています。本書は、その生々しい交渉現場から、目の当たりにした不正義への憤りと国連で働く意義、グローバルに子育てと両立して働く方法まで、これから国際協力の現場を目指す人に有意義なメッセ―ジが詰まった1冊です!

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Posted by ブクログ

目の前にあるとても解決し難い状況を、どうすれば少しでもより良い状態にできるのか。それに向き合い続けている著者の、一般的には得難い経験を共有してもらえる本。
緒方貞子さんの本にも共通するが、お二人とも熱い自身の想いを基に、でも決して理想主義でなく、どこまでも合理的に・現実的に、今何をすべきか、とれる行動は何か、を冷静に考え具体化する、を繰り返し続ける強い意志とリーダーシップが伝わってくる。
長い歴史の中で人間は争い続け、また、争いをなくそうという努力をし続け、世界はなんとか続いてきた。

仕事を通して自分は社会に何が出来るのかを考える時、自分へのエネルギーをくれる本。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一貫して、抜擢の連続のキャリアであるということが分かりました。

国連に勤め始めて早々にも重大な役割をこなされて、実力を認められ、次から次へと重大な役職に引き抜かれ、そうして普通では得られないような経験を積み、実力をつけ、出会うべき人に出会い、
2017年に出版されていますが、その時には現職の軍縮堪能事務次長・上級代表に就任した年でした。

お話は大学時代のアメリカ交換留学とそこでの貴重な経験から始まっていますが、

きっとそれまでにもとても優秀な活動ぶりがあったのだろうと思いながら、

国連組織の中でも本流キャリアで一貫され、国連職員のイメージの王道感がありました。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

中満泉(1963年~)氏は、東京都生まれ、早大法学部卒、ジョージタウン大学外交大学院修士課程(国際関係論)修了。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、トルコ、イラク、旧ユーゴスラビア、ジュネーブ、ニューヨークで勤務した後、1998年、スウェーデン人外交官との結婚を機にスウェーデンに移り、国際機関IDEAに勤務。2003年、家族とともに日本に移り、一橋大学大学院教授。2008年に国連復帰以降、国連PKO局政策部長、同局アジア・中東部長、国連開発計画(UNDP)危機対応局長を経て、2017年より国連軍縮担当事務次長・上級代表。2018年、米「フォーチュン」誌の「世界で最も偉大なリーダー50人」に選出。2女の母。
本書は、中満氏が、大学3年のときに大学の交換留学プログラムで1年間米国で暮らしたときから、その半分以上を海外で暮らしてきた半生を、仕事・プライベート両面から、ほぼ時系列に振り返ったもので、主にジュニア世代に向けて書かれたものである。
私はTVで国際ニュースをほぼ毎日見ているが、2022年のロシアのウクライナ侵攻や、2023年のイスラエルのガザ侵攻以降(と記憶するが)に、中満氏が度々ニュースに映るようになり、その経歴に関心を持っていたところ、たまたま本書を書店で目にし、手に取った。
国連機関で活躍した(する)日本人女性というと、真っ先に緒方貞子元国連難民高等弁務官が思い浮かぶが(本書には、1991年にトルコに駐在していた中満氏が、クルド難民キャンプを訪れた緒方氏を迎える場面も出てくる)、緒方氏が、国連の活動とほぼ無縁のところから高等弁務官に就いたのに対し、中満氏は、大学院修了直後にUNHCRのキャリアとして入職し、国連事務次長(国連では、事務総長、副事務総長に次ぐポストで、数は30~40程度あるという)に上り詰めている。
そして、それ故に、本書を読んで最も驚いたことも、中満氏が若い頃に駐在した地域での経験(特に、わずか30歳前後で駐在した内戦下のユーゴスラビアでの各勢力高官たちとの丁々発止のやり取りは凄い)なのだが、近年TVに映る、中満氏の揺るぎない信念を感じさせる姿は、そうした修羅場を潜り抜けてきた経験に裏打ちされていることを、改めて認識した。
本書は、上記の通りジュニア向けであることから、記述はとてもわかりやすく(全ての漢字にルビも振ってあるが、逆に目について読みにくく、難しい漢字だけでもよかったのではないかと思う)、また、女性としての公私の両立の視点からも諸々書かれており、若いうちに読みたい良書であることは間違いないが、国際情勢・国際政治に興味のある大人にとっても、十分に読み応えのある一冊と思う。
(2025年5月了)

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

NHKアカデミアに出演されていて、彼女が語るこれからの世界について興味を持って本書を手に取った。こんな仕事があるのか、と驚きと感心と尊敬を同時に抱いた。私ももっとしゃんとして日々を過ごしたいと思ったし、「世界は変えられる」という強いメッセージを受け取れたと思う。彼女が国連で働いていることに日本人として誇りに思う。

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2025年03月21日

Posted by ブクログ

学生時代から国連に興味があり、国連の上級職で働く中満さんのキャリア変遷を知りたくて手に取った本。

国連職員には帰国子女が多いイメージだけれど、大学まで国内だったというから驚き。
ただ、その後大学院でアメリカに行き、UNHCRに入ってから、タイトル通り「危機の現場に立つ」日々が始まる。
こんな若手でこんな前線で働くのかと衝撃を受ける。

その後も次々と新たな任地で必要とされ、キャリアを重ねる。多少の運もあったかもしれないが、それでもこうしたキャリアを築けたのも中満さんの人間力、仕事力のなせる技だろう。むしろこういう人間になったご両親の子育てを聞いてみたい。

2人のお子さんがいるというのに親近感を覚えたが、2人とも高齢出産で、やはり若いうちは独身バリバリで現地を経験するのが良いんだろうなと思った。

中満さんには遠く及ばないけれど、自分も国際社会のために貢献していきたい。

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2021年08月29日

Posted by ブクログ

自分の決断が、それそのまま誰かの生命に関わる。
こんな恐ろしいことはない。

とんでもない仕事をしていると思った。

お子さんからの手紙には
かあちゃん、だいすき、世界を、たのむ。
彼女の仕事は全部ここに集約されてると思った。今を生き抜く全てのひとのために。これから生まれて来る、全ての子供たちのための仕事だ。

最初についた師がゴリゴリの共和党員だった、のも面白かった。

覚えておいて、女性は世の中を変えるために仕事しなくちゃいけないのよ。

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2019年02月12日

Posted by ブクログ

著者は国連軍縮担当事務次長である。本書は著者の難民支援、人道支援、PKOといった国連での経験をもとに書かれたものである。
 著者は本書を娘世代に向けたメッセージであるとしている。そのためか、そのためか、全ての漢字にフリガナを振られており、基礎的なことまで注で解説している。また、図書カードの送付先も「児童図書編集」行きとされている。
よって本書の対象は児童、生徒、学生であるといえる。
 しかし、本書に記述されている著者の紛争地帯での経験は、究極の危機の場での利害調整など、一般の公務員など、危機管理の現場や行政の現場において中立的立場で利害調整を行うものにとって参考すべきことが数多く見られた。
 その中で、特に私がポイントと感じたことを挙げてみると次のとおりである。

1 危機管理における人事の重要性
  著者は「主要ポストの適切な人の配置を決めた段階で私の高等弁務官としての職務の70%を果たしたことになる。」という緒方貞子氏の発言を引用し、紛争地帯の難民支援という危機の現場では、瞬時の判断力が要求されるので、これに対応できる人材の配置が重要であると述べている。
 効率的な職務の遂行を目指して、マニュアル標準化など、誰が担当しても同じレベルの業務遂行ができる体制の構築を目指している組織が多いが、マニュアルにない事象が起きる危機の場では、適切な人材の配置が重要である。
 紛争地帯など利害対立が先鋭化しクリティカルな判断力が試される危機の現場では経験がものをいう。ほとんどの官庁、自治体で危機管理担当者がローテーション人事で配置されている現状は見直されなければならないだろう。

2 ぶれない判断力
  危機の現場ではぶれない判断をしなければ説得力を持たない。そのためには、長いものに巻かれず、自らのモラルコンパス(倫理的行動指針)に従い勇気をもって行動することが要求される。

3 NPO、シンクタンクの利用
  人権問題など、内政干渉と捉えられてしまうような案件で、国連が直接コミットメントすることが難しい問題は、NPOやシンクタンクを利用する。
 (行政でも同様な手法をとることをがある。)

4 知的正直さ
  上位者に対して、知りたいことを言うのみではなく、知らなくてはならないことを言う。(ブラビニ アフガニスタン担当特別代表の言葉)

5 巻き込み
  アフガニスタン和平が成功しなかったのはボン合意において、対立組織であるタリバンを国内政治のプロセスに参加を呼び掛けなかったことである。対立しているからこそ巻き込まなければならない。
 本書の中には、どのように対立した組織同士をまとえるかなど、政策展開の参考となる事例が示されている。

6 パイロット組織
  大きな組織の文化や仕事のやり方を変えるのはとてつもなく難しい。
  組織内に柵のない新たな組織を作り改革を先導させる。

7 ノウハウの共有
  国連開発計画(UNDP)は現場主義で地域に適合した支援を行い成果をあげているが、地域同士で連携がなくノウハウが共有されていないために、各地域毎に一から事業を立ち上げなければならず、非常に非効率な組織になっている。

8  データに基づいた説得
   不偏不党の原則を守って、データに基づいて真実を億さず発表することにより信頼を勝ち取る。

9  ファーストトラック
   危機管理でのみ使う人事や調達に関する柔軟な規則を準備しておく=通常のプロセスでは災害時等に素早い対応ができない。

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2017年09月06日

Posted by ブクログ

授業の中で読んだ。中満さんの人生が知りたかった。内容は仕事中の苦悩がたくさん書かれていた。想像していたような話ではなかった。紛争などは生まれる以前のことも多く、分からないこともあった。中満さんは結婚、子育て、キャリアを全て叶えたすごくかっこいい人であることはわかった。上級代表として活躍されている今のことをまた本にして欲しい。

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2023年07月31日

Posted by ブクログ

さらっと一読。

まさに、平和を作る人。悲しむ人を減らす人。
といっても、聖人としてではなく、優れた実務者として。

リエゾンオフィサー=連絡調査官
米軍との調整、相補する関係性の構築。

その華々しく見える活躍に嫉妬する。しかし、数多くの修羅場から逃げずにきたのだろう。
わたしも、がんばらねば。

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2021年07月23日

Posted by ブクログ

中満さんのこれまでの仕事振りを辿る一冊。
全編通してルビが振ってあるが、個人的には逆にノイズになってしまった。
とても優秀で意義深い仕事をしているんだなーと思った。

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2017年10月12日

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