あらすじ
1975年12月4日にニューヨークの自宅で急逝したハンナ・アーレント。その机の上に置かれたタイプライターには数行が印字された1枚の紙が残されていた。ライフワークとなる三部作『精神の生活』の掉尾を飾るはずだった本のタイトルに続いて二つの銘が引用されて途絶えたアーレント最後の言葉は何を意味しているのか? わずかな手がかりを頼りに挑む探索の旅は、アーレントの出自と絡み合いながら、謎の真相に迫っていく。
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Posted by ブクログ
アーレントは、最後の著作「精神の生活」の3部作の3作目となるはずだった「判断」のタイトルと銘をタイプで打ったところで、心臓発作で他界する。
その2つの銘について、アーレントの他の著作での引用のされ方を検討することを通じて、「判断」がどういう本になろうとしていたかをかなり突っ込んだ文献の精読を通じて、迫って行こうという本。
一種、推理小説的な面白さがあるが、やはりある程度アーレントの著作と格闘した人でないと分からないとこもあって、こうした本が成立すること自体、アーレントの思想がある程度、関心をもって読まれていることの反映なんだろうな。
わたしも、今のアーレント関係図書の出版ブームみたいなものがなければ、この本は意味が分からなかったかな?
ある程度の前提条件は必要ではあるが、基本的には、楽しく読める。
アーレントのそれまでの著作の読み直しみたいなところはスリリングだし、最後の思想にかなり肉薄している感じ。
う〜ん、やはり「精神の生活」読みたいな〜。