あらすじ
茶道を通じて、日本文化の真髄と日本人の美意識を西洋に広めるために、岡倉天心が英語で著し、1906年にニューヨークで刊行された『茶の本』を、大日本茶道学会の新会長である著者が、新たに日本語訳し、わかりやすく解説。難解な名著をやさしく読み解く工夫として、本書は 『茶の本』を最終章からさかのぼって読んでいく。西洋文明に対峙し続けた天心の「日本」への想いは、世界と向き合う現代の日本人へのエールでもある。
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Posted by ブクログ
岡倉天心の茶の本を逆さまから読みつつ、解説を加えていく。この本がアメリカで1906年に出版されたという背景を大切にしているので、事実とか一般的な認識からズレた記述もその観点から説明される。訳者の茶家としての豊富な知識に加え、その他の思想や哲学にも詳しいので学ぶところ大。わからないことにも正直だし。
Posted by ブクログ
固めの内容で飛ばし飛ばし読んだが、それでも読んでよかったと思える一冊。
岡倉天心は、「茶の本」を1904年に英語で出版している。今のように日本が世界で認められておらず、野蛮な国とされていた中で、西洋人顔負けの西洋的な教養も隠に陽に使いながら、日本人が文化的で精神的な営みができること、その精神を伝えようとしている。その教養深さたるや、想像もつかない。
以下の岡倉天心の言葉が非常に素朴であるものの、まさに自分が茶道に求めていることであると感じた。これが茶道の本質なのであれば、やはり私は茶道を学んでいきたい。不完全「imperfect」
以下転載----
「茶道」は、毎日の生活でぱっとしない出来事に囲まれながらも、せめて美しいものを見つけようと憧れる心が作り出した祭式である。「茶道」が説くのは、己の純粋さを保ちながらも他と調和すること、互いが慈しみ合って神秘的な力を生み出すこと、夢が社会に秩序をもたらすことである。
「茶道」は、人生というままならぬ営みを通じて、せめて何事かを成し遂げようとするはかない試みであるから、「茶道」の本質は不完全なものの崇拝なのである。