【感想・ネタバレ】岡倉天心「茶の本」をよむのレビュー

あらすじ

茶道を通じて、日本文化の真髄と日本人の美意識を西洋に広めるために、岡倉天心が英語で著し、1906年にニューヨークで刊行された『茶の本』を、大日本茶道学会の新会長である著者が、新たに日本語訳し、わかりやすく解説。難解な名著をやさしく読み解く工夫として、本書は 『茶の本』を最終章からさかのぼって読んでいく。西洋文明に対峙し続けた天心の「日本」への想いは、世界と向き合う現代の日本人へのエールでもある。

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Posted by ブクログ

岡倉天心の茶の本を逆さまから読みつつ、解説を加えていく。この本がアメリカで1906年に出版されたという背景を大切にしているので、事実とか一般的な認識からズレた記述もその観点から説明される。訳者の茶家としての豊富な知識に加え、その他の思想や哲学にも詳しいので学ぶところ大。わからないことにも正直だし。

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2024年03月21日

Posted by ブクログ

「茶の本」は様々な視点(茶道の実践だけでなく、禅の精神、自然観、生活の美、ものの見方)を広く解説しており、岡倉天心は「和様(日本的な美意識)」と「洋風化の時代」に直面する日本人の感性を踏まえ、茶を通じて「心の在り方」を探っている。茶の本質は道具ではなく心、侘び寂びと自然の美、心の静寂と集中力、和の美は、人と人の調和、空気を読む微妙な距離感、礼儀と素直さのバランスに宿ると説き、茶の儀礼の深さを教えている。茶室での茶の場では古来から師弟や客人との対話を生む場であり、知恵・感性・倫理観を伝える場でもあり、非言語的な理解、共鳴、気配りが重視される、と言う。また、茶の本質は「心の清浄さ・自然体・他者への思いやりといった内面的美徳」にある、と言う。中でも利休の理念である「侘び寂び」にある「静寂・潔白・心の自由」、「侘び」とは茶道や花道にある質素でシンプルであること、「寂び」とは古いものや使い込まれた物にはその美しさがあること、それを理解することが大切だと言う。

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2025年12月29日

Posted by ブクログ

固めの内容で飛ばし飛ばし読んだが、それでも読んでよかったと思える一冊。
岡倉天心は、「茶の本」を1904年に英語で出版している。今のように日本が世界で認められておらず、野蛮な国とされていた中で、西洋人顔負けの西洋的な教養も隠に陽に使いながら、日本人が文化的で精神的な営みができること、その精神を伝えようとしている。その教養深さたるや、想像もつかない。

以下の岡倉天心の言葉が非常に素朴であるものの、まさに自分が茶道に求めていることであると感じた。これが茶道の本質なのであれば、やはり私は茶道を学んでいきたい。不完全「imperfect」
以下転載----
「茶道」は、毎日の生活でぱっとしない出来事に囲まれながらも、せめて美しいものを見つけようと憧れる心が作り出した祭式である。「茶道」が説くのは、己の純粋さを保ちながらも他と調和すること、互いが慈しみ合って神秘的な力を生み出すこと、夢が社会に秩序をもたらすことである。
「茶道」は、人生というままならぬ営みを通じて、せめて何事かを成し遂げようとするはかない試みであるから、「茶道」の本質は不完全なものの崇拝なのである。

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2021年02月08日

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