【感想・ネタバレ】氏神さまと鎮守さま 神社の民俗史のレビュー

あらすじ

日ごろ意識することは少なくとも、初詣や秋祭り、七五三のお宮参りと、私たちの日常に神社は寄りそっている。我々にとって、神とは、そして日本とはなにか? 民俗調査の成果をふまえ、ごくふつうの村や町の一画に祭られる「氏神」や「鎮守」をキーワードに、つねに人びとの生活とともにあった土地や氏と不可分の神々や祭礼を精緻に探究。日本人の神観念や信心のかたちとしての神や神社の姿と変容のさまを、いきいきと描き出す。

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Posted by ブクログ

日本各地で氏神として地域の人びとに信仰されている神社を主題にとりあげ、そうした信仰のありかたがどのようなしかたで形成されてきたのかということを、民俗学と歴史学の双方の観点から考察している本です。

日本固有の宗教とされる神道は、明治時代において近代国家が確立されるなかで、天皇と皇室を中心とする制度のもとに統合されることになりました。これに対して、地域の人びとが「鎮守の森」と呼んで親しんできた、各地の神社を中心とする信仰には、国家神道によってすくいとることのできない内実がふくまれていたという議論が、主に民俗学者によって展開されてきました。しかし、柳田國男が見抜いていたように、民間の神祇信仰や神祇祭祀は古代から変わることなく継承されてきたものではなく、現代にいたるまでの変遷の過程を経てきたものです。本書では、こうした変遷過程を歴史学の観点から明らかにするとともに、民俗学の観点から現代の祭祀のありかたにまでその信仰が受け継がれていることを具体的に示しています。

著者はまず、「氏神」や「鎮守」ということばでなにが意味されていたのかということを明らかにしています。ここでは、藤原氏の氏神である香取神や源氏の守護神である八幡神などがとりあげられます。つづいて、和歌山県の隅田八幡宮、滋賀県の苗村神社など、地域の神社を中心とする人びとの信仰のありかたの変遷を、具体的な事例を紹介しながら考察がなされています。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

想像してたのと違って、ゴリゴリの歴史学の本だった。氏神とか鎮守というものが、中世・近世の人々にとってどんなものでどんな信仰を集めていたか、ライトに説明してるのかと思ってたのだが、初っ端から文献・古文書の奔流でなかなかに歯ごたえのある内容。
も少し硬派なタイトルつけてくれれば、、、と思いつつ、読んだら読んだで面白い。

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2018年07月18日

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