あらすじ
『言葉の力』をテーマに高校生たちの青春模様をいきいきと描くYA小説シリーズ、二作目。付き合い始めたのに気持ちのすれ違うふたり。そして性同一性障害に苦しむ転校生。それぞれに、自分の気持ちを持て余しながらも「言葉」で想いを表現することによって、自分の内面を見つめなおしていく高3の夏。重くなりがちな内容を、作者らしい優しさと明るさで前向きに描いた意欲作です。
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「うたうとは小さないのちひろいあげ」の続編。
前作は友情がテーマで、うた部一年生部員の桃子と綾美が物語の中心となっていたが、今回は恋がテーマで、三年生となった清らと業平二人の恋模様と、転校生だが業平の中学時代の友人時宗らの存在が加わっており、また短歌甲子園も物語の中心をなす。
付き合い始めたものの、お互いの心の成長(特に清らの)が二人の距離を難しいものとしてしまう。人の懐にはすっと入っていける清らだが、自分のこととなると不器用で、自分に厳しい課題を設けて脱皮しようとする姿にも成長を感じられる。LGBTのことを作品に盛り込んだのも、まだまだ閉ざされている日本の教育への問いかけと感じた。2018.6
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短歌甲子園出場を目指す高校3年の業平は、うた部部長となった彼女、清らとの関係がうまくいかず悩んでいたところ、同じ中学だった時宗が転校してきて、様子がおかしいことに気づく。また、練習試合をしたライバル校の部長からは、LINEアドレスを交換したとたんに「今度会いたい」とメッセージが来て戸惑う。さらに、同じクラブの後輩彩美から、時宗がトランスジェンダーだと聞かされ、驚くのだった。
思春期の葛藤を恋愛、LGBT、短歌への情熱と絡めながら、業平の視線で描く。
*******ここからはネタバレ*******
結末がドタバタで尻すぼみ的にはなったが、短歌甲子園の様子は手に汗握るものだったし、トランスジェンダーの時宗の気持ちもよく分かった。
今回も短歌がとても良かった。
「うたうとは……」の続編ではあるが、ムリに笑いを取る場面が少なく、ストーリーもシンプルなせいか、私はこちらの方が好き。
男女交際の場面はあるけど、そこまで深くないので、中学生からでいいかも知れません。
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「歌」を詠むことの難しさ
「歌」を詠むことの素晴らしさ
「歌」を詠むことで昇華される気持ち
「歌」を詠むことで満たされる気持ち
「歌」を詠むことで高められる気持ち
「歌」を詠むことでつながる気持ち
登場する全ての若者たちが愛おしい
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『うたうとは小さないのちひろいあげ』の続編。
清ら部長率いる「うた部」と諏訪業平くん目線の物語。
純粋にうらやましいですよね。
題詠も連歌もその言葉を数分考えるだけで
こんなにも素敵な言葉を連ねることができることが。
うたうとは…があまりにも好きな作品だったので
ちょっと続編に期待しすぎて
トキのことも、もうちょっと深く読みたかったとか
思いましたけど…。
短歌甲子園の予選とか、緊張感バリバリで
ハラハラドキドキが止まらなかったです。
そのキャラクターに合った短歌は
どのように作られているんですかね?
清ら部長の歌、すごく好きです。
桃子たちが中心になったら、
どんなうた部になるんだろう。
続編が楽しみな一冊です。
私も自分のレビューについて一首。
ジューサーにかけても濃縮されません
意図しない味消せぬざらつき
数分どころか数日考えてこの出来ですからね。
…うた部の面々に添削をお願いしたい…
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前作の疾走感というか、短歌へのほとばしる愛が減り、高校生の恋愛事情が存在感を増したな、という印象です。
確かに、部活動を運営する学年で恋愛すると、仲が良いときもベタベタしすぎて周囲が辟易とさせられたり、破局が近づくとそれこそ部全体の雰囲気がぎすぎすしたりと、いろいろな問題があったな、と思い出します。
自分の気持ちに嘘をつかずに真正面からぶつかろうとする清らに対して、業平は「問題を大きくすまい」と考えて動く一つひとつが裏目に出ているような印象でした。
高校生の恋愛ですから、些細なことに一喜一憂したり、女子の(過剰な)連帯を見せつけられたりして、読んでいて疲労する部分もありました。30後半のオッサンが恋愛で乱高下するJKのメンタルに付き合うのはちょっと大変です。
ただ、感情の揺れを短歌に乗せて表現できる「うた部」のメンバーは幸せだなと思いますし、31文字という限られた枠の中で大人をうならせるような言葉選びができる「短歌甲子園」に出場する高校生のセンスには素直に敬意を表したいと思います。
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違和感があったことが2つ
他人のジェンダーに関する事をみんなの前で言ってしまう無自覚さの扱い。若さだから、で流せない違和感。
ラストの展開が、うわー青春、って思えなかったこと。これは自分がもう青春からかけ離れたからかもしれないけれど笑
そのしこりがあってなんかスッキリしなかったなぁ。
でも作中に出てくる短歌はすき。
2023.12.22
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『うたうとは小さないのちひろいあげ』の続きですが、今回は業平が視点人物。
うーん、いと先輩が卒業しちゃうとなあ…清らが部長かあ…。というぼんやりとした頼りなさと、業平ァ…もうちょっとこう!もうちょっとこう!というじれったさにもやもやしてしまいました。
1巻は友情、2巻は恋愛ということでしょうか。友情は、いいものだなあと気持ちよくなれるけど、恋愛はなかなか楽しいだけには終われないよなあ、青春は難しい…と思っていましたが……やはり短歌は……すごいな。うたに想いをこめることで、動き出すなあ…。
二戦目のあの展開は思わず笑い出してしまいましたが、同時にちょっと泣いてしまいました。うむ、恋愛も、よいものだ。
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出てくる短歌がみんな魅力的。これを読んだ結構な数の人が短歌を作りたくなるんじゃないかな。
それにしても主人公、なんちゅう充実した学生時代であろうか。あまりにうらやましすぎる。
Posted by ブクログ
トランスジェンダーと恋愛を前面に出した、青春小説。短歌でくるところが面白い。不器用で真剣な清らが微笑ましく、中途半端な業平がもどかしい。なにも○○しなくても……と大人の頭で思いつつ、ああこれが青春かとにやついてもみる。LGBTの子については、家族の理解があって何より。