あらすじ
なぜ心にこれほど深い慰めをもたらすのか。人生への力強い肯定を語るのか。「神の秩序の似姿」に血肉をかよわせるオルガン曲。聖の中の俗、俗の中の聖を歌い上げるカンタータ。胸いっぱいに慈愛しみ渡る≪マタイ受難曲≫……。300年の時を超え人々の魂に福音を与え続ける楽聖の生涯をたどり、その音楽の本質と魅力を解き明かした名著、待望の新版。
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Posted by ブクログ
小学生の頃からバッハの音楽に親しんできましたが、彼の伝記を読んだのはこの本が初めてでした。(1989年単行本版)バッハの人生を大変判りやすく解説されていて、自分の愛読書のひとつになりました。
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バッハの碩学、磯山雅「バッハ=魂のエヴァンゲリスト」(講談社学術文庫2010)は、バッハ生誕300周年を記念して1985年に上梓された著作の改訂版である。その後の研究成果も盛り込んだ文庫版であるが、バッハの生い立ちから作品紹介まで平易な言葉で読めるので、これからバッハの音楽を聴いてみよう、あるいは聴きこんだ人にとっても、指南書的な存在となるだろう。著者のバッハに寄せる思いも充分に汲み取れる福音書でもある。
Posted by ブクログ
ここのところよくバッハを聴くようになった。
もちろんこれまでもトッカータとフーガ二短調等小学校の音楽の授業で扱う極めて有名な曲や、ジャズ風にアレンジされたものはそれなりにふれていた。そういえば、トッカータ…は高2のとき吹奏楽部で、家にあった父のコントラファゴットを持ち出して演奏した。譜面は自分でアレンジした。同じく大学1年のとき、吹奏楽の授業でパッサカリアとフーガハ短調もホルンで演奏した。何れも10代ことで、他の作曲家の作品とは全く次元が違う何かを感じながら、目の前の譜面と向き合っていたように思う。ただその後は、特に積極的に聴くことは少なく、多少聴いたとしてもストコフスキーによるオケへの編曲物等いわば亜流の作品ばかりを聴いていた。最近では勤務先の中学生が吹奏楽でシャコンヌを演奏した。生徒たちの純粋な心で解釈し作り上げた演奏には聴く人の誰もが感動した。
私がバッハを聴き始めたきっかけは、「大学院の課題をやりながらBGMにバッハをかけると、なんとなく効率が上がるかも」と思い始めたことだ。一曲の中でテンポが一定で、音の刻みも様々な意味で規則的であり、著者の言葉を借りれば「幾何学的」・「数学的」秩序がある。また転調もそうなく、抒情的・世俗的・ロマンチックでないので、自分と一定距離があると思えた。こうしたことが、多分“集中”に向かわせたのだと感じている。この聴き方を続けているうちに、徐々にバッハの世界観をもう少し知りたくなり、オルガン曲、ピアノ曲、室内楽曲等のCDを購入し、さらに本書のページを読み進めた。
序章から著者のバッハへの思いに共感した。「現代のわれわれがこんなにもバッハ惹かれる理由のひとつは、富裕な社会にいきて刹那の満足ばかりを求めるわれわれに、彼の音楽が、精神にとっての本質的な問題を想起させるところにあると思う。」「いわば魂の福音を与えてくれる人である。人間の小ささ、人生の虚しさをバッハはわれわれ以上によく知っているが、だからといってバッハは人間に絶望するのではなく、現実を超えてより良いものをめざそうとする人間の可能性への信頼を、音楽に盛り込んだ。その意味でバッハの音楽は切実であると同時に、きわめて楽天的でもある。」なるほど、やはりそういうことだったか!随分遠回りしたかもしれないが、人生を通じて聴くべき音楽だと思った。本書はバッハの一生と作品を時代と生活の区切りごとに紹介している。書かれているエピソードを踏まえて聴き直すと、また新たな気持ちで作品を味わうことができる。末永く傍らに置いておきたい文庫本だ。
Posted by ブクログ
講談社新書の『J.S.バッハ』と同様の評伝だが、新書はバッハ初心者を意識して読みやすく分かりやすい内容。こちらはさらに詳しい作品解説があって、しかも2010年に随分加筆されている。ってことは、バッハファンには明らかにこっちがいいのよ。新書を買ってしまったのでちょっとショック。
どちらもは必要ありません。これから買う方は気をつけて・・・。