あらすじ
地味リケジョの律を夕食に迎えたのは、和服イケメンの竜弥とほんわか老女の文絵。謎めいた話を聞き出す竜弥と五十年前から時が止まっている文絵が交わす会話はまるで夫婦!? 見つめるだけで料理をおいしくする不思議な黒猫・フミエも怪しい。おいしさと切なさに溢れるほっこり系ミステリ。
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Posted by ブクログ
【収録作品】黒猫の魔法料理/黒猫邸のクリスマス/黒猫と花見/黒猫、海を渡る
律は返還不要の奨学金を受けて大学院まで進み、就職。その奨学金をくれた相手に夕食に招待される。そこにいたのは、20代の「竜弥」と名乗る男性で、律に奨学金をくれた財団の理事である老女・文絵の夫だという。そして、文絵は自分も20代で、二人は新婚だと思いこんでいた。
謎解きが好きな夫に話してくれと、文絵に促されて、律は中学時代、いじめに仕返しした話と、親友の不思議な行動について話す。
しばらくして再び招かれ、もう一人の客の話を聞く。彼の恩人がある画家の画集を息子から贈られた。一緒に見た夫は嫌ったが、自分は気に入って飽かず眺めていた。しかし、展覧会に行ったことで一転嫌いになったという。
それぞれの謎にはもう答えが出ていて、それを竜弥が当てるという趣向なのだが、その先に謎がある。
なぜ文絵は二人を招いたのか。彼らの話を竜弥に聞かせることで、何を伝えたかったのか。
主人公の律のキャラがいい。いじめに対するスタンスや仕返しの仕方、そして両親に対する考え方も実に合理的。もうちょっと律の話を読みたいものだ。