【感想・ネタバレ】江戸近郊道しるべ 現代語訳のレビュー

あらすじ

文化・文政・天保の頃、徳川家御三卿のひとつ清水家に仕えた武士が、多忙な勤務の合間に楽しんだ日帰り散策紀行。大都市・江戸も一歩郊外に出れば、豊かな自然に囲まれていた。起伏に富む地形、田畑と湿地、深い森に佇む社寺旧跡と素朴な人々。ささやかな名所・絶景を求めて歩く喜びに満ちた、時空を超える江戸東京お散歩ガイド。(解説・田中優子)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

”桶川から浅間山が見える”、”松戸郊外では馬が放牧されている”といった人から聞いた話や書物で読んだ知識を確かめるために。また、昨日まで忙しかった仕事がひと段落して気分転換に。そしてまた特にこれといった理由もなくぶらぶらと著者は散歩(というより遠足、時には日帰りの小旅行)に出かける。それは現代の自分が散歩に出かけるのと何ら変わらない。
 しかし、著者の歩く距離(時間)は、自分のそれ(最高で35kmくらい)よりもはるかに長い。江戸時代なのだから歩いて当然とはいえ、それが著者47歳から74歳の間というのだからその健脚には驚かざるを得ない。
 行く先々で読んだ漢詩、和歌、俳諧。自筆のイラスト(地図、寺社の伽藍配置図、石碑、草・樹木)・スケッチ(土地の風景やそこから見える山々などの遠景)【本書では大部分が省略。平凡社・東洋文庫参照】には武士の教養や著者の多彩な才能を感じる。
 また、感じるままに記された感のある文章に親しみを覚える。
 特に、”東郊 綾瀬・千住・花又村鷲明神の記”は地元の、”南郊 千束の道しるべ”は現住地の昔の姿が描かれている。読みながら「ああ、これはあの辺だな。」などと想像したり、読後に、その場所を地図で確認したりとと面白かった。

朝倉治彦編注「江戸近郊道しるべ」東洋文庫・平凡社(1985)補読。

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2014年12月16日

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