あらすじ
ものごとを考え、記憶し、日々の出来事に感情を揺さぶられる……謎めいていた脳のはたらきが、明らかになりつつある。グリア細胞とニューロン、進化と可塑性、場所細胞と空間記憶、情動と消去学習、海馬と扁桃体とエングラムセオリー――頭の中には、さまざまな「つながり」があった!?9つの最新研究から、心を生み出す脳に迫る!
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Posted by ブクログ
複数の専門家によって書かれた脳科学の最先端を説明した本.漠然としか知らなかった内容を素人にもわかりやすく書いてある.広い範囲にわたるので,全部理解するのはたいへんだが,じっくり読むと示唆に富んだ事実が伝わってくる.
AIの研究者としても興味深い内容であった.
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ブルーバックス「つながる脳科学」を読みました。
一般向けに書かれている書籍ですが、かなり専門的な言葉も使われていて、難しいと感じる部分もあったのですが、脳科学の広い分野について、実際に研究をされている方たちから見た研究の話は、とても興味深いものでした。
分野や方向性の違う研究の話を「つながる」というキーワードでまとめて1冊にしていて、9章分、それぞれ違う研究者の話。トータルとしての脳科学、ということではなく、脳科学のいろいろな研究話の詰め合わせ的な本でした。こういう、広い範囲のいろいろな詰め合わせ的な書籍も面白い。
ニューロンの反応や、それを観察するための技術についての話や、空間・記憶・嗅覚・感情・子育てなど、どの部位でどんなことが起こっているのかという話や、脳の病気・心の病気の治療法を探す道筋についての話など。
なんとなく表面から見た「脳の研究」で思い浮かべることができるレベルから、ふか〜〜〜い技術的なレベルまで、どの話も驚きの連続でした。
2016年に出版された本とのこと。
それからまた何年も経っているので、さらに進んでいる研究もあるのでしょう。
また新しい本を探して読んでみようと思いました。
どれも興味深い話だったのですが、いちばん興味深かったのは、精神疾患の研究の話。精神疾患に関しては、「メカニズムがわかったから創薬に繋げる」ではなく、「この薬が効くってことは、こういうメカニズムなのではないか?」というふうに研究が進んでいるのだと書かれていたこと。科学が進んでいる現代だけれど、本当に脳という機関は、まだわからない部分が多いのだな、ということがよくわかりました。
メモ:章立てと著者
第1章:記憶をつなげる脳/利根川進
第2章:脳と時空間のつながり/藤澤茂義
第3章:ニューロンをつなぐ情報伝達:合田裕紀子
第4章:外界とつながる脳/風間北斗
第5章:数理モデルでつなげる脳の仕組み/豊泉太郎
第6章:脳と感情をつなげる神経回路/Joshua Johansen
第7章:脳研究をつなげる最新技術/宮脇敦史
第8章:脳の病の治療につなげる/加藤忠史
第9章:親子のつながりを作る脳/黒田公美
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脳科学のテーマは幅広く、幾層にもまたがり、そして様々な分野と繋がっている科学であることがわかる。
海馬や扁桃体などよく目にする部位から内側視索前野や分界条、室傍核などのややマイナーな部位の機能の一部が示されていて神経解剖の理解も深まった。
また、オプトジェネディクスなどを駆使した研究手法を知れたのも勉強になった。
丁寧に例を用いて説明されているので読みやすく、幅広い脳科学研究の一部を知るのに丁度よい書籍だった。
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脳科学の最先端の研究を複数の分野で説明している。時間と空間とのつながり、外界とのつながり、感情と記憶のつながり、ニューロンのつながり、記憶と脳のつながり、親子のつながり、理論と脳のつながり、脳の病と治療のつながり、最新技術と脳研究のつながり。脳に関するさまざまなつながりの研究の最前線がわかる。
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第1章 記憶をつなげる脳
「記憶」は脳のどこにどのように蓄えられ、どのようにして思い出されるのか?そのメカニズムが明らかになりつつある。なんと、記憶を人為的に想起させたり、経験していない記憶を作ることまで可能になってきている。
第2章 脳と時空間のつながり
いま自分がどこにいるのか、時間がどれくらい経ったのか、私たちはどうやって認識していると思うか?じつは頭の中には、地図や時計のような役割をする神経細胞があって、それらがあって、それらがじつに巧妙な働きをしている。
第3章 ニューロンをつなぐ情報伝達
脳には1000億もの神経細胞が詰まっていて、複雑につながりあって情報を伝えている。この章では、脳のいちばん基本的な構造「シナプス」に注目してみよう。ミクロな世界から、脳のどんな働きが分かってくるのか?
第4章 外界とつながる脳
見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触る……私たちは五感を使って外界を認識している。ですが、そもそも知覚は脳の中でどうやって生み出されるのか?ここでは、嗅覚のメカニズムに迫る。研究に貢献するのは、なんと「ハエ」。
第5章 数理モデルでつなげる脳の仕組み
脳を知るための研究は、実験だけではない。数理モデルなど「理論」で追究することも重要である。脳の学習はどのように進むのか?AIのディープラーニングとは何が違うのか?理論から脳を眺めると、新たなつながりが見えてくる。
第6章 脳と感情をつなげる神経回路
すごく楽しかったことや怖かったことなど、感情が大きく揺さぶられた経験は、何年経っても忘れがたいもの。それはいったい、なぜなのか?感情の動きである「情動」と記憶の関係を、神経回路から解き明かしていこう。
第7章 脳研究をつなげる最新技術
脳を観察する技術の進歩によって、複雑な脳の働きが少しずつ明らかになってきている。
より細かく、より深く、より広く、より速く、より長く「見る」ために、どのような技術があるのか?テクノロジーの世界を少し覗いてみよう。
第8章 脳の病の治療につなげる
「心の病」といわれるうつ病なども、本当は脳に原因がある「脳の病」。認知症や双極性障害などさまざまな脳疾患があるが、現在の薬は根本治療薬とは言えない。だが、脳の仕組みを解明することで、脳の病の克服に一歩ずつ近づいている。
第9章 親子のつながりを作る脳
親が子を育て、子どもが親を慕う「親子関係」に、脳はどう関わっているのか?最終章では、脳から見た親子のつながりに迫るとともに、脳研究が今後どう役に立っていくのか、「社会とのつながり」も皆さんと考えたいと思う。
この著書は2016年第1刷だが、最近のAIを使った脳研究の最前線で分かって来ていることは、さらに多くの最先端の分野を含むことになっているのではないか。しかも、加速度的につながるだろう。信じられないほどの発表があって、人類の足枷が無くなればといいと感じる。
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私は、脳と呼ばれる物質から意識や心が生じるメカニズムを知りたい。それも、専門家の言葉ではなく、日常生活の言葉による解説、太い線で描いたラフ・スケッチのようなものが欲しい。安易ではあるが、本当にそう思っている。
本書は、いろいろな話題をカバーしている。9つの章には、それぞれの面白さがある。特に「第3章 ニューロンをつなぐ情報伝達」、「第5章 数理モデルでつなげる脳の仕組み」、「第6章 脳と感情をつなげる神経回路」などが関心を惹く。一度ではわからないから読み直す必要がある。
それはそれでよいのだが、一方、不安も生じてくる。脳科学の研究が進むほど、研究領域が多岐にわたって細分化され、その一つの細分化された領域の研究のために人生の時間を多く費やす研究者もいるかもしれない。
これでは、偏りなく脳科学の全体を語れる研究者は生れ難くなりそうだ。それと共に「脳と呼ばれる物質から意識や心が生じるメカニズム」を大雑把に知りたいという私の「虫のよい望み」も遠ざかっていくようだ。
半導体LSIプロセス技術の世界でも、同様なことが起って久しい。すでにプロセス技術の全体がわかるエンジニアはいないと思う。
Posted by ブクログ
「つながる」をキーワードに、九つの視点から脳の仕組みを知ったり考えたりする本です。難しいところはありますが、おもしろいです。エキサイティング。ディープラーニングがニューロンネットワークを元にした、脳をモチーフにしてそこから発展した仕組みであることも述べられています。でも、作っておきながらディープラーングがどうしてこれほど上手くいくのかという仕組みはよくわかってないそう。
さて、シナプスやニューロンが情報を扱う仕組みからはじまり、空間や時間の認識がどう行われているか、嗅覚のメカニズムはどうなっているのかなどを、どのような仕組みの実験を用いてそれらを解き明かしていったか、その創意工夫の面から始めて述べられていくものが多いです。なかには理論先行の研究分野もあり、その分野での手法や姿勢も語られています。
では、ざっとですが、二点ほどとくに惹きつけられた部分について、読みながら考えたことを書いていきます。まず一つ目は恐怖記憶です。怖い体験をしたのち、それと同じシチュエーションに出くわすと、脈拍が上がったり身体が強張ったりしてしまうものですが、その源の記憶です。
恐怖記憶は扁桃体でつくられ、それを消去する作用を持つ消去記憶は前頭前皮質(前頭葉の前部分の領域)で作られる。しかし、消去記憶が作成されたからと言って恐怖記憶は無くならないのだけれど、消去記憶がそれをカバーしてくれる役割であるらしいのでした。恐怖記憶は不安障害やうつにつながる恐れがあるものだということです。そういう面でも、前頭前皮質が大事だなというところへと、読みながらの考えは繋がっていきます。
前頭葉は、理性、認知、意欲などの分野を受け持ちます。認知力が弱まっているだとか理性的にふるまわず感情的になりやすくなっているだとか、そういうのは前頭葉の衰えなんだと考えられるところです。で、前頭葉が弱まると消去記憶も弱まるのではないかという推測が出てくる。前頭葉が弱くなると、恐怖記憶の効力ばかりになってしまうのではないでしょうか。
恐怖記憶の効力ばかりになってしまえば、不安障害やうつになりやすくなるかもしれない。となれば、たとえば強迫症が酷くなるのも、前頭葉の衰えが理由のケースがあるんじゃないかなあと思うのです。強迫症で暴力が生じるなんていうのは、まるっきり前頭葉の衰えっていう感じがしてきます、あくまで素人の推論ですが。
そうなると、前頭葉を活性化させるために、読書をして読解力をつける、っていう手段が思いつきます。読書が、恐怖記憶と対抗するひとつの防具になるんじゃないだろうか。あと、不安定じゃない環境も大事だと経験的に思いはします。
次に強く惹かれたのは、脳の病の治療についての章です。これは精神疾患や神経疾患の章なのですが、それらの疾患は脳の器質的な病気だと捉えることができるという大意のもとで話が進んでいきます。今の技術では器質的な病的変化がわからない精神病も含めてです。そして、技術的に変化部分がわからない自閉症などは遺伝子異常をみていく、とあります。
この考えはまさに「医学」の考えだろうと思うのですが、前提として現在の社会の仕組みをゆるぎない「是」としていて、無批判にそこから立ち上った考え方でもあるしょう。でも別の視座として、社会の在り方や仕組みが病気を生んでいる、すなわち社会病とでも表現するようなものが精神疾患であるとする考え方もあるわけです。
もしかすると社会の在り方が精神疾患を生んでいるのではないか、という疑いから生まれる見方は「疫学」的見方でしょう。社会を主体として精神疾患を見てそれを直すのが「医学」で、人間を主体として精神疾患を生まないように考えて社会に働きかけていくのが「疫学」ではないでしょうか。
社会は揺るぎない「是」であるとして、その社会の影響で変化した脳の部位を直されて社会に適合する形にされるだとか、遺伝子すらその社会に適合する形に直される、だとか、社会に合うように人間を矯正する「医学」って、ちょっと怖く感じられるものがあります。
研究段階においては懸念材料として認識されはするのだろうけれど、倫理的議論は後回しにされがちなんだと思います。まずはそれでいいと僕は考える方なのだけれど、だからこそ、ある程度まとまった形の研究が本書のようにアウトリーチ活動として出てきたときに、受け止めた一般人があげた声がフィードバックになるのはありなのではないでしょうか。
と、考えていたら、本書の末尾にこうありました。引用します。
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脳と行動の関係については、その轍(対策が後手に回ること)を踏まないよう、今のうちから議論を開始したほうがよいと思っています。科学の進歩によって、私たちの心と行動を作る脳のメカニズムが明らかになることはとても素晴らしいですし、エキサイティングなことです。だからこそ、脳科学の発展を社会にとって有意義なものとして生かしていくためには、さまざまな分野、立場の人々の対話が必要です。今こそ、脳科学と社会との密接なつながりと、広い視野が必要になってきているのです。(p313)
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まったくそうですね。
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ちょっと前にブルーバックスの「理化学研究所 100年目の巨大研究機関」を読んでおり、脳の話の中で紹介されており、興味をそそられ読んでみた。
脳科学の最先端の9つの研究成果の紹介がされており、正直、素人には少し難しい内容や著者の主張に同意できるほど理解が追いつかない部分も多少あった。
ただし、1章の「記憶をつなげる脳」の内容やコラム(図解によるシナプスの説明など)は秀逸だと思う。
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久々に読んだ脳科学の本。最新の研究でここまで脳の仕組みは解明されているのかと驚嘆しながら楽しく読めた。心は脳にある。心の、人の仕組みが解き明かされようとする中、サイコパスの世界も遠くない気もして、怖くもあった。
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理化学研究所脳科学総合研究センターの最先端の執筆陣による脳に関する多面的なアプローチ。脳の謎に迫るプロセスは新たな謎の発見につながる。脳の仕組みを築き上げた生命体の不思議さは尽きない。現象分析的手法や生物学には珍しく理論構築からの検証。因果関係の縺れはほぐれていくが、進化的必然性といった本質的な謎は深まるばかり。意識を作り出す心の神秘性、無意識で働く体との連動。これをいま考えている頭の活動、脳はすごい。
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全体像がわかるわけじゃないけど、どういう研究が今行われているのか、それがどんなに気の遠くなるようなものであっても真実を追究していこうという思いが伝わってくる良書。研究というものの凄さの一面を見られた気がして意外な収穫。
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ノーベル賞の利根川進さんをはじめ、第一線の脳科学者たちが、わかりやすく、脳の中でなにがおこなわれているか、研究の最前線を説く。とくにおもしろかったのは、どのような実験をしてどのような結果があり、それをどのように解釈して次に進むかという過程が書かれていて、発想の豊かさや、苦労が見られる。日経の書評で見て面白そうだったので購入。
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日本にはブルーバックスがある。本書は、日本における脳科学の研究施設である理科学研究所の脳科学総合研究センター(BSI: Brain Science Institute)の研究者が、創立20周年を機にその研究成果をまとめたものだ。こういうものを一般人に届く新書で出せるのはブルーバックスさんしかいない。研究者の人にとって自分の研究を一般の人に届ける手段があることは励みになることではないかと思う。複数の研究者の方々によって書かれたこの本はその限界もあり、とても素晴らしいという程ではないが、偉そうに言うことではなく、熱意も感じられるそれなりな本に仕上がっている。
「アルツハイマー病」が少なくともその初期段階では「記憶が失われた」のではなく「脳のどこかにある記憶をうまく思い出せなくなった」と言うのがちょっと怖い今日この頃。その話も含めて第一章の記憶の話は面白かった。記憶の研究は「New Era」に入ったという。記憶だけではなく、脳を調査するツールが大きく進歩したこともあって、新しいことがこれから次々とわかるようになるのではと思った。
とにかく、日本のブルーバックスって出版の中で特異な位置を占めているな、と強く思った次第。
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理化学研究所の脳科学総合研究センターの研究成果をまとめた本です。細胞レベルから社会脳まで、幅広い内容が詰め込まれています。分かりやすいように適度に省きながらも、研究者が1つ1つ物事を詰めていく様子が分かります。今までfMRIやTMSなどで大きな脳組織の脳機能への影響しか見られなかったが、オプトジェネティクスなどの最先端の技術を使用して、細胞レベルで脳機能を明らかにしようとしているのが印象的でした。
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脳について様々なことが明らかになっていて驚く。脳の本は何年も読んでなかったので、革新的な研究手法と緻密な研究成果には驚かされるし、この方面の研究の面白さも強く感じる。
〇〇が分かりました、と同等以上の重さで、どのような方法により何を調べ、なぜその知見に至ったか、が書かれており、科学の本としてとてもまっとうな作り。
それでも脳という未知の領域にちょっと踏み込んだぐらいのことしか明らかにされていないのだが、明らかになったことを応用することで世界がよりよくなりそうな希望も見える。
心は脳の機能であるのは間違いないが、脳を解明することで心がこんなにも明らかになるのか、というのは今更ながら感じ入った。もちろん脳の全ても心の全ても人が理解することは不可能ではあろうけれど。
☆一つ減ったのは、科学の入門書に慣れてないと読みにくいかもしれないということと、電子書籍版が出るということを知らずに紙の本を買ってしまったことのため。
Posted by ブクログ
本書は、理化学研究所脳科学総合研究センターの利根川進センター長をはじめとする、メンバー9名による共著。
同センターは脳科学に関する学際的な研究の必要性の高まりを受けて1997年に設立され、本書は、センター設立20周年を機に、現在までの脳研究でどこまでのことが分かり、或いはまだ分かっていないことについて、「つながり」をキーワードに明らかにしたものである。
1.記憶と脳のつながり~記憶はどのように作られ、どのように脳に蓄えられ、どのように思い出されるかのメカニズムが、今や明らかになりつつある。
2.時間と空間のつながり~脳の中には、時計や地図のような役割を果たす神経細胞(ニューロン)があり、それによって時間と空間を認識している。
3.ニューロンのつながり~脳には1000億のニューロンがあり、かつそれぞれのニューロンには数万のシナプス結合がある。そうした天文学的な数のシナプス結合により、情報がやり取りされている。
4.外界とのつながり~我々は五感(視角、聴覚、臭覚、味覚、触覚)を使ってどのように外界を認識しているのか。知覚が生み出される脳のメカニズムは、未だによくわかっていない。
5.理論と脳のつながり~脳の研究は、実験だけではなく、数理モデルなどの理論によっても行われている。脳の学習メカニズムは、AIのディープラーニングとは異なり、生命の進化と似たものなのではないか。
6.感情と記憶のつながり~不快な出来事がどのように記憶され、その不快な記憶が脳の中でどのように抑えられているのかを解明することにより、感情がどのように記憶されるのかの研究が進められている。
7.最新技術と脳研究のつながり~脳の構造と機能の解明のために、新しい測定法やイメージング技術の開発が進んでいる。
8.脳の病と治療のつながり~「心の病」と言われるうつ病や、認知症などの脳疾患は、現在の薬による治療では根治しないが、脳の仕組みを解明することで、その克服に一歩ずつ近づいている。
9.親子のつながり~子育てや愛着は本能的欲求に基づく行動ではあるが、脳のどのような機能が関わっているのかを解明することによって、親子関係の問題の解決につなげることができる。
脳科学は、現代科学の中でも最も幅広い領域につながる究極のテーマと言えようが、それぞれの分野の専門家が最前線での取り組みを分かり易く語っており、脳科学の面白さを改めて感じることができる一冊である。
(2016年11月了)
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脳科学の研究者が各研究を紹介。改めて多岐にわたる分野を対象としていることを学ぶ。
Newspicksに触発されて読み始めたが、オプトジェネティクスを学べた点は収穫。
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脳科学研究者の成果の現状を初心者向けに解説した本。9名の脳科学者が「自分はこんな研究をやってます。わかりやすく説明するとこんな感じです」と紹介した書籍。
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現時点での最新の脳科学(の一部)を理化学研究所脳科学総合研究センター(所長は利根川進氏で第一章を担当)の方々が各分野について紹介している。
内容は学術的な突っ込んだ内容も記載されているので、全てを理解することはできないが、現時点で脳のことがどの程度分かってきているのかを知ることが出来るので、一読の価値はある。
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優しく書かれた脳科学の最先端…と云う感想を書きたいのですが、いやあそれでも難しかった(笑)理解が落ちてくるまで読み返して時間がかかってしまったけれど、とても面白かったです。ハエの嗅覚は凄いなあとか。
知りたかったのは8章と9章、そしてこの一冊の総括もこの2章に纏められている様な気がします。
土と空気と水、人間も自然の産物でありながら、その中に倫理とか個性とかどうして芽生えるのだろうか。そしてそれを治療や改善する事は人として道を外れる事なのだろうかとかとか。ううむ。
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「つながる脳科学」
理化学研究所の脳科学総合研究センターの研究員による脳科学研究の紹介である。
9人の研究員により、記憶、時空間の認識、シナプスによる情報伝達、嗅覚のメカニズム、数理モデルと脳、感情と神経回路、脳研究のテクノロジー、脳と心の病気、親子関係と脳についての研究内容がそれぞれ紹介されている。
そんなことまでわかるのかという反面、脳全体の研究という意味ではまだまだだという感じがする。
とはいえ驚いたのはその実験方法の一つである。
遺伝子改変マウスで特殊なタンパク質をニューロンに発現させ、そのニューロンに光を当てるだけで好きなタイミングでニューロンを興奮させたり抑制させたりする技術である。
そういえば、テレビで頭に電線がつながっているマウスを見たことがあるがあれがそうだったのかと今さらながら思い出してびっくりした。もっともとても人間には適用できないが。
マウスを使っていろいろ研究が進み、基本的な脳の機能は次第にわかってくるかも知れないが、果たしてどこまでわかるのだろうか。そして、それは人間にどこまで適用できるのだろうか。最終的には認識や思考まで解明することができるのだろうか。
結局のところ医療分野での応用を除けば、人間もただの有機物による機械と同じだと言うことがわかるだけのような気がする。
Posted by ブクログ
相当難しいことを、かなり分かりやすく書いてある印象。それでも自分にはちょっと難しいところもあったけど。脳ってまだまだ未知の世界なんですね。長い時間をかけて進化してきた生物の神秘。流行りのAIとは別物なんだなぁって思いました。またいつか再読して理解を深めたい一冊です。
Posted by ブクログ
最新の脳科学の状況が、ある程度理解できたと思う。
このまま脳科学が進んで行った先にある、倫理的問題についても今から議論しておく事が大事だと思う。
不妊治療のように、技術が先に進んでしまって、倫理規制が後追いになるようでは困る。
それにしても、輸送反応は使えるかもしれない。
Posted by ブクログ
理化学研究所脳科学総合研究センターの研究者による最新の脳科学研究を分かりやすく解説したもの。
難解な内容ではあるが、分かりやすく記載されており、読みやすい。