あらすじ
人間は「考えない葦」である!?──長大な『パンセ』から気になる一節を取り上げ、意外なエピソードをまじえながら読み解く楽しみ。それぞれ読み切りで書かれた40章から成る本書は、1日1章、40日で『パンセ』を完全制覇できる手軽なガイドブックです。ヨーロッパ最高の知性とともに生きる豊かな毎日を手に入れよう!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読みやすい。そしてまだまだ自分が傲慢で愚かであることに気づかされた。親切な気持ちでさえ、誰かに褒められたい・見せつけたいという邪な心の表れである。優しく懇切丁寧に説教してもらったような気分です。
以下、お気に入りの言葉を抜粋。
自我は憎むべきものである
"私が自我を憎んでいるのは、それがすべてのものの中心になるのが不正だからなのだ。"
s494-l597-b455
16の章はかなりアツい議題。
s480-l577-b234
人が明日のため、不確実なもののために努力するとき、それは正しいのである。人生における冒険のすすめ。不確実なものを得るための行動に従事していても、またその行動がいつ不意に-たとえば死によって-中断させられたとしても、確実にその正当な報酬を与えられる。これを賭けから見つけ出したパスカルやばすぎる笑
人間を研究するすべを知らないからこそ、人はそれ以外のものを研究するのだ。幸せになるためには、おのれを知らないほうがよいのだろうか。
s60-l26-b330
王たちの権力は、民衆の理性と愚かさによって成り立っているが、愚かさのほうにずっと大きく依存している。
s653-l802-b122
時間は苦しみや争いを癒やす。人は変わるからだ。誰もがもはや同じ人間ではない。
人間という集団に共通の資質はおろか、時間を通じた各人の同一性も見いだしがたい。
24の章
よいものほど、どこにでもあるものはない。それを識別することこそが大事なのだ。よいものはすべて自然で、われわれの手の届くところにあり、すべての人に知られてさえいることは確かだ。だが、それらを識別できないのである。
s563-l652-b14
自然な弁論がある情念や現象を描くとき、人は自分自身で、いま聞いていることが現実であると悟る。それは、自分の中にあるとは知らなかった真実である。そうして人は、そのような真実を感じさせてくれた相手を愛するようになる。
25の章
オネットム:17世紀のフランスにおいて理想視され、教養と審美眼に長け、礼節をわきまえ、機知のある会話で人を楽しませる紳士、控えめで、社会秩序を守り、何ごとにおいても中庸を逸脱しない常識人のこと、? 幅広い知識と関心をもちながらも、何かの専門家であってはいけない。
しかし結局この人たちもみんなから愛され気に入られたいという自己愛を満たしている 自分をひそかに誇っている 結局みんな褒められたい パスカル自身もそうだった
27の章
人間の尊厳は、いずれは死んでしまうというおのれの悲惨な境遇を正面から見つめることにある 人間はその義務を怠る考えない葦である そればかりか人間は、みずからの悲惨さから積極的に目をそらすために、さまざまな活動に身をやつしている これがパスカルの考える"気晴らし"の状態である
40の章
疑いの状態にありながらも来世の存在の可能性を探究すること
倨傲ではなく謙遜を、強欲ではなく無欲を、自己愛ではなく慈愛を、より幸福な状態だとみなすようになる変化のこと
人への親切はときに、親切な自分を見せびらかしたいという醜い自我の表れである