【感想・ネタバレ】捨てられる銀行2 非産運用のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

バブル期に証券会社に入り、その後、証券不祥事、金融ビッグバン、不良債権処理、ゼロ金利政策と渦中にいた私は、とても興味深く読ませて頂きました。


金融庁が自ら金融行政の失敗を認めた、という点。森長官率いる金融庁に期待をしています。


現在の銀行窓口で行われていることは、一昔前の証券会社の店頭と同じ。当時の証券会社では、投資信託の回転売買は監査部のチェックが入り、相応の理由を書面で残す、またはお客様から確認書を頂くなどの「検査対策」をしていました。

「銀行では、まだそんなレベルなのか!」

と思ったのが正直な感想です。


人々が、洋服や食料品を選ぶように、自分の考えを持って自分の好む金融商品を選べる時代が来るよう、ファイナンシャル・プランナーの端くれの私も頑張らなければいけないなと思いました。

一番響いたのは、最後に引用されていた、松下幸之助さんの言葉です。

「株式に投資をするのは国の産業に参画することであり、その発展に寄与奉仕することである」

株式投資をそのような意義のある行為だと、多くの人に伝えられるように努力したいと思います。

0
2017年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今日の書籍は「捨てられる銀行2 悲産運用」橋本卓典著。

前作もレビューしましたが、なかなかの力作でなんと12万部のベストセラーだったそうです。

では、今回はと言うと銀行の資産運用について述べた書籍です。

でお前、銀行の有価証券運用か?と言われそうですが、さにあらず銀行が顧客から資金を受け取って運用するという、金融商品について本書は書かれています。

前作でも登場した森信親・金融庁長官は、自らの職責として銀行の資産運用改革にも乗り出したのです。キーワードは「フィドュ―シャリー・ドューティー」日本語では「受託者責任」と訳されてきたのたが、金融庁は「真に顧客本位の業務運営」とあえて定義を見直したのだ。

つまり「時代の価値観が変わったのに、顧客本位のビジネスモデルを構築できない金融機関は生き残れなくなる」ということだ。

銀行が、近ごろ最も力を入れてきた代表的な保険商品は、貯蓄性保険商品として分類される「一時払い終身保険」であった。

保険料をまとめて(契約時に)「一時払い」する商品である。10年後の解約返戻金は、一時払いしたお金よりも増えているため、「貯蓄に有利」と顧客に説明して販売してきた。しかしたとえ9年でも、10年以内に解約すると損失が発生するのだ。つまり、10年間は事実上、解約させない商品とも言える。なぜ10年なのだろう。

銀行窓口では、「貯蓄機能と保険機能を組み合わせた0.5%程度の利回りの保険商品」との触れ込みで販売していた。しかし、2000年代に入って10年ものの日本国債が年1%程度の利回りだったように、より有利な貯蓄性の金融商品はいくらでもあったのだ。

このため、保険会社では利回り1%の国債などで安定的に10年間運用し、顧客には利回り0.5%分を返戻金に上乗せし、残り0.5%分を銀行への販売手数料や諸経費として、運用益から差し引いていたのだ。

銀行の窓口で保険を販売する仕組みは、こうだ。保険商品を銀行が販売する際、銀行と保険会社は、まず販売代理店契約を結ぶ。保険会社は銀行に手数料を支払う。つまり、銀行の窓口で保険契約を結ぶ我々は、この手数料が含まれた費用を支払っているのだ。

森金融庁長官は、上記の手数料が5~7%にも上るというオーストラリア豪ドル建ての貯蓄性保険商品を強く問題視していた。顧客はオーストラリア国債そのものを持った方が高い利回りを享受できるにもかかわらず、窓口販売では高い手数料を考慮した貯蓄性保険商品を買わされていたのである。

デフレで給料の上がらない家庭で、スマホ等の通信費の増額で真っ先に削られたのが、保険への支出だった。

一部の生保では、コンサルティングをしながら保証性商品を複数提案していく「顧客目線の商品」を販売したり、保険加入と支払時だけでなく、健康支援サービスで顧客接点を増やそうとしているところもある。

しかし、現状は、手数料の高い変額保険・外貨建て保険を取り扱う生保がほとんどだ。国内勢だけでなく外資系も含めて苦しい台所事情の生保が、地域の顧客に信頼されやすい銀行にひれ伏し、すり寄ったのだ。

この現状に対して森長官は苦言を呈した。
「(前略)株式の安定保有により保険販売を増やそうと相手にプレッシャーをかけるより、顧客ニーズに応えた真に良質な商品の組成に傾注すること、また運用においては、投資先企業の価値向上のための建設的なエンゲージメント(参加)を含めた運用判断を行い、保険料を支払っている顧客への責任を果たすことが、経営の王道であると考えます。(後略)」

この森の苦言は、大手地銀にはすり寄るが、立場の弱い地銀には優越的な地位を使って迫る生保に対する痛烈な批判だ。

一方長引く低金利で、顧客の見えないところで、銀行と生保が結託し、高い手数料を顧客の見えないところでやり取りするという、持ちつ持たれつの関係を構築してきたのだ。失われたのは顧客の信頼、そして顧客のカネだ。

森は2016年作成したペーパーで、こう問うた。
・目先の利益にこだわり、顧客本位が言葉だけになってないか?
・顧客に良いサービスを提供し、満足できる企業が生き残ることは金融機関に限らずすべての企業に共通
・それができる金融機関は急な環境変化の中でも生き残れる
・金融機関が質の高い商品・サービスを提供し、顧客企業の価値や生産性を向上できること、個人顧客の資産形成に役立っていくことは、経済の発展につながるとともに、ひいては金融機関の収益の安定性に寄与する。

森金融行政が何を目指しているのか、その輪郭は分かった。では金融行政はそれをどう実現していくのか。森のメモにはこれについても方向性が書かれている。
・当局が金融機関をマイクロネージ(細部に至るまでの監督)して指図することは非効率的
・むしろ、金融機関のやっていることを個人顧客や企業に見える化する。素晴らしい取り組みを行っている金融機関は、顧客に正当に評価されるべき
そのための手段として...
・金融機関が顧客のために行っている取り組みを開示することを奨励
・我々が検査・監督で得た知見を発表
・金融商品やサービスの販売で顧客の情報の少なさを悪用できないように、手数料など商品特性の開示を強化

これらを言い換えれば、「パブリックプレッシャーを機能させる」ということに他ならない。つまり「自己都合の企業」は見捨てられ、退場を迫られるような市場機能を働かせようとする意図だ。

とここまで、本著を紹介してきたが、紙幅と著作権の都合この辺で止めておく。森長官の「日本を良くしたい、金融行政を通じて」という熱い想いを知りたい方は、ぜひ本著を手に取って欲しい。また銀行関係者はぜひ前著も読んで欲しい。元銀行マンからのお願い。

0
2017年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秀作。力作。
銀行も商売。行員の言うことを鵜呑みにしてはいけない。投資は自己責任。勉強しなければ。
だけど、そうならないように政府が仕組みを変えなければいけない。日本は遅れている。欧米のように、もっと投資が一般化するようになるんだろう。でないと、年金が持たない。
株式は値上がりしそう。

0
2017年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

顧客の成長と資金需要の創造に責任を持たない銀行、顧客の資産形成に責任を持とうとしない普通の銀行、証券、保険、資産運用会社は人工知能が人間以上の役割を果たそうとしている近未来に置いて必要とされなくなるだろう 戦争は気分でできるものでは無い。軍事組織体制の整備、幹部将校の訓練、軍事兵器の開発から量産化などに必要な技術者の育成、物資、資源、生産拠点の確保には、相当の時間を要する。
231pファイナンシャルスタンダードの福田社長: IFA(独立した投資アドバイザー)の仕事は相場を予測することではない。投資家の目標に応じた商品の組み合わせ戦略の提案こそ、その真髄だと言う
相場など読まない。取れるリスク、期待リターンを数値化して、世界に分散したポートフォリオを組むことが最重要だと知った

0
2017年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み物としては面白いが、内容は今さら感がある。
金融機関は民間企業だから、顧客の意にそぐわなければ、いずれ淘汰される。行政がようやく追い付いてきたのではないか。
フィデュシャリー・デューティーも、目新しい言葉ではない。ただ、求められる概念の適用範囲が広がっているのは、その通りだろう。

0
2017年05月28日

「ビジネス・経済」ランキング