あらすじ
僕は、「佐藤さん」が怖い。ナイフを持っているわけではないし、不良でもない。ごく普通のクラスメイトの女の子を僕が怖がる理由は、彼女に憑いているアレのせい――。気弱な高校生の僕と、佐藤さんの不思議な関係は幽霊から始まった。青春時代のみずみずしさがあふれる第44回講談社児童文学新人賞入選作。
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Posted by ブクログ
すんごいおもしろかったです。
なんか、ラストはありきたりな感じがしないでもない…というか、ものすごくオーソドックスな青春小説、って感じなんだけど。
でも、すんごいおもしろかったです。
なんか、きれいな感じだし(スレてないって言うか…こういうのを「みずみずしい」?)。
些細なこと(←今思うと)でへこんだり、悩んだりした中学・高校のときが思い出されたり。
てか、この小説は、作者が中学3年生のときに書いたものだそうで…。
すげー…。
ぶっちゃけ、あたしより年上(あるいは同年代)なのに「子どもの作文かよっ!」っていうような作家もいるのに(そしてそんな作家がなぜか売れてたりもするけど)。
情報化は文章力の格差も拡大するのかしら…と考えてみたり。
…とまぁ、そんなことはどうでもよくて。
片川優子は、飛び抜けて文章力があるけど、その中でもとくに、どこか冷めた感じ…というか、冷静に物事を書ききるところがすごいな、と。
あたしが中学生や高校生、ましてや小学生のときには、たぶん、てか絶対、そんなオトナな部分なかったよ。
そして、そういう部分があるからこそ、大人でも抵抗なく読める、というか、抵抗がないどころか、むしろ好感をもって読めるんだろうなぁと。
前に読んだhanaeの『小学生日記』のときも思ったけど。
片川優子にしろ、hanaeにしろ、その他の作家にしろ、若い作家の今後に期待大です☆
Posted by ブクログ
なんともまあ、くすぐったい心地良さ。こんなにも体をくねらせながら、むずむずとする感触を楽しみながら読んだのはいつ以来でしょうか。とれたての果物に皮ごと勢いよくかぶりついた感覚です。甘くてすっぱくてみずみずしくて、ちょっと苦味もあって。食べ終わって満足して元気になって、残った種に気がついて、それををみつめて、よしっ、これを育てよう。がんばろう。という気持ちになる小説でした。
Posted by ブクログ
高校生の佐伯くんは、隣の席の佐藤さんが大の苦手。
その理由は、佐藤さんに憑いている幽霊のせい。
臆病で、人付き合いが下手で、幽霊が見えてしまう佐伯くんと、
強気で言いたいことをはっきり言うくせに、学校では大人しくしていて、幽霊に憑かれやすい佐藤さんは、皮肉なことに幽霊をきっかけに親しくなり、幽霊のおかげで心の距離を縮めていく。
私の読解力不足なのかもしれませんが、時々分からない描写が…。
全体的にはすごく読みやすかったです。
人の心って、人生って、綺麗なだけじゃない。汚れもあるし、苦かったり酸っぱかったりする。いろいろな経験をして成長していく佐伯くんと佐藤さんにほっこりしました。
Posted by ブクログ
オビのアオリから連想するのは、ホラーかラヴコメ。
でも、実際は思春期の少年が、友情を支えにトラウマを克服し、恋愛を通して他者の支えになれる存在へと成長する過程を描いた佳作。
初稿は作者が中学生のときに書いたという、瑞々しい文体が、同じ年頃の子どもを持つ私には少し面映い。
しかし、一気に読ませるストーリーテリングは素晴らしい。
思春期の子どもを持つお父さん・お母さんにオススメです。
Posted by ブクログ
なんという、みずみずしくて淡い感じの小説なんでしょう?まさに青春でした。あぁ、私の青春はどこにあったのでしょう?
幽霊を見ることができる主人公と幽霊に取り憑かれやすい佐藤さん。この2人が一歩ずつ近づき、一歩ずつ壁を乗り越えていく青春ストーリーです。
Posted by ブクログ
【本の内容】
僕は、「佐藤さん」が怖い。
ナイフを持っているわけではないし、不良でもない。
ごく普通のクラスメイトの女の子を僕が怖がる理由は、彼女に憑いているアレのせい-。
気弱な高校生の僕と、佐藤さんの不思議な関係は幽霊から始まった。
青春時代のみずみずしさがあふれる第44回講談社児童文学新人賞入選作。
[ 目次 ]
[ POP ]
「佐藤さん」は、どこにでもいる。
私の友人でも2人いるし、この読書面を編集する文化部にも2人の「佐藤さん」がいる。
それをタイトルにするなんて面白い人だなと思って略歴を見たら、これは著者が中学3年の時に書いた小説で、4年前の講談社児童文学新人賞の佳作作品とあった。
む、む。
わが愚息と同世代ではないか。
直木賞作家の森絵都さんが〈至極ノリのいい筆致と、漲る生命力〉があると解説で書いていたことにも背中を押され、本文を開いた。
実にさわやかで、みずみずしい青春小説だった。
幽霊に取りつかれやすい佐藤さんと、幽霊が見えてしまう気弱な「僕」が主人公。
高校を舞台に、戸惑い、揺れ動く若者たちの姿をくっきりと描き出す。
いじめ、家庭内暴力などの問題を登場人物たちは抱えているが、落ち込む一歩手前で踏ん張り、大切な人たちを思いやる姿はすがすがしい。
今どきの若者は……なかなか、どうして、とっても素敵だ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
章ごとにエピソードが完結してサクサク読める。
幽霊に取り付かれている女子高生と、幽霊が見えてしまう男子高校生というちょっと変わったところからスタートする話で、最初から最後まで面白かった。
内容は高校生の友情と恋愛といったオーソドックスな感じ。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた片川さん。
今日ようやく手にとり読みました
期待以上。
かわいい、ふわふわしててみずみずしい。
幽霊に憑かれる佐藤さんとそれが見える僕の青春ストーリィ。
安心して読めるのがいい
中三でこんなんかけるなんてすばらしい
Posted by ブクログ
“僕はやっと声の主がわかった。……佐藤さんの後ろの幽霊がすごい勢いでしゃべっていた。
「どうしたの?」
「え、いや、それが」
≪お前聞こえてんだろ?ちょっとは反応してくれよ、俺に同情したりとかしてくれないわけ?ずっとしゃべれなかったんだよ?寂しいよー、思った以上に≫
僕はしばらく固まっていた。僕の中の処理能力を軽く超えた現実が目の前に広がっている。佐藤さんは僕には幽霊が見えることに気づいていた。佐藤さんの性格は激しかった。幽霊がしゃべった。幽霊が異常におしゃべりだった。
「ちょっと、どうしたのよ?黙ってちゃわかんないじゃん」
「ちょっと待って、考えさせて」
大体、幽霊ってこんなに明るくていいのだろうか。幽霊っていうのは、陰気で、白い着物なんかを着ていて、三角形のものを頭に巻きつつ、墓地にいるものであって、決して目の前にいるようなちゃらちゃらしたおしゃべりの日焼けした男ではないはずだ。
佐藤さんは僕を見ている。幽霊はしゃべり続けている。とりあえず僕は佐藤さんに状況説明をすることにした。
「幽霊が、しゃべりました」
「へえ?よかったじゃない」
僕がものすごく省略してかなり端的に状況を説明すると、佐藤さんはあっさりとそう言った。幽霊はいったんしゃべるのをやめ、佐藤さんはにんまりと笑い、僕はいやな予感がして身構えた。
「じゃあさ、成仏の手がかりができたってことだよね」”
これはすごく好み。
ぽつぽつと暖かい。
“「……なんで引いてもいないのにそんなに自信にあふれてるんだよ?」
このまま志村をシカトするのはかわいそうだったから僕は言った。僕も志村ぐらい肝試しが楽しめるほど度胸をつけたいなあと思った。
「今日は星占いが最高なんだ。こんな降ってくるんじゃないかと思えるほどたくさんの星の下、その星占いはきっと当たる」
≪こいつ結構馬鹿だな≫
「僕もそう思う」
やばいものを見る目で志村を見て言った安土さんの言葉に、僕は心の底から同意をした。すると志村がそれを聞きつけ、ぐるっと振り返った。
「なんか言ったか?」
「なんでもないよ。ほら、くじ引き男子の番だ」
霊感はゼロのくせにやけに勘が鋭い志村に内心どきどきしながら、僕は高村に向かって歩き出した。安土さんはにやっと笑い、僕はその笑顔に一抹の不安を覚えた。そして、よけいなことはしなくていいから、と言う暇は僕に残されていなかった。
「やっぱり……」
僕の目の前で志村がぐおっと叫んだとき、僕は数秒後に引いているだろう自分のくじの番号が正確にわかった。そして引いた番号は予想どおり十七番。佐藤さんとペアである。
「十八か……星占い当てになんねーし」
「それ以前に、星占いなんて見たんだ……」
「馬鹿か。持ってる奴に読みあげられただけだよ。つーかお前十七番かよ!……何座」
「牡牛」
「一緒じゃねーか!」
また志村はぐおっと叫んだ。黙って志村とくじを取り替えようと思ったとき、佐藤さんと目が合った。
「私も十七番なんだ」
(ばれてるし)
佐藤さんの言葉に僕が曖昧に笑うと、安土さんは佐藤さんの後ろで笑った。
「なんかすごい出そうなペアだよね」
佐藤さんは何か、とは言わなかった。僕は心の中でつっこむ。それってもしかしなくても佐藤さんの背中でものすごく楽しそうに笑ってる人と同じ系の人ですか?”
Posted by ブクログ
中3で書いたというからスゴい!
「僕は佐藤さんが怖い。」
その出だしに、何で?と読みすすめてしまう。(理由は読んでね)
ちょっと弱気な男の子。
もっと自信持ちなよと言われても、いじめられた過去がある人は、なかなか自信持てないもの。
勇気を出して、ちょっとずつ自信を取り戻せばいい。そう思える本でした。
Posted by ブクログ
幽霊が視える男の子と、幽霊に憑かれやすい女の子の青春の物語。
折角の設定を活かしきれていないとか、どこかで見たようなシチュエーションどこかで聞いたようなセリフとか、思う処はあります。しかしながら真っ直ぐに真っ正直に青春を描ききっているのが清々しく爽やかで、それがこの作品の魅力なんですね。作者がこの作品を書き出したのが中3の時だとか。そのタイミングでしか書き得ない作品というのがきっとあるんでしょうな。
Posted by ブクログ
作者が中学生時代に書いた作品なんだとか。若さゆえに展開や伏線の粗さもありますが、勢いとノリがとてもよくていいと思います。
佐伯くんのいいところは、守護霊の安土さんが他人のトランプの手札を頼んでないのに教えてくれたとき、それで勝つんじゃなくてわざとに負けて特製ドリンク飲むとこですねー。
Posted by ブクログ
みずみずしいものがたり。高校を舞台に繰り広げられる人間模様。ただ明るく書いているのではなく、しっかりと心の奥までを捉えようとするさまに好感を持ちました。筆者はこれを書いたの中学3年生の時とのこと。末恐ろしい。これからも読んでいきたい作家さんがまたひとり増えました。
Posted by ブクログ
面白かった。疲れない本もいい。クスッと笑いたくなるような微笑ましくてかわいい作品。安土さんのような守護霊なら、私も欲しいくらい。たまたま身近に佐藤さんという子がいるので彼女を重ねて読んだので、演劇にならないかと思いながら楽しんで読むこともできた。
Posted by ブクログ
中学生が書いたんなら、上手い。
しかし、中学生が書いたにしては、あるいは中学生だから、ちょっとありきたりなまとめ方がつまらない。
あんまり読まない中学生には面白いかもしれないが、大して面白くない。
書き出しは勢いがあってなかなかいいのだが、次々と幽霊が憑くはずの佐藤さん、物語が始まると、途端に面倒見のいい兄ちゃんみたいな霊しか憑かなくなる。そうでないと物語が進まないんだろうけど、だったら最初から兄ちゃんの霊が憑いてれば良くない?
そこは大目に見るとしても、高校生の恋愛ものとして、まあまあかなと思っていたら、急に虐待という問題をごく軽く、物語の整合性のために持ってくる。
他にやりようがあるでしょ。
虐待されたら霊が憑くなんて何だか不愉快。こういうところに虐待を使ってほしくない。作者は絶対に虐待を受けてないことはよくわかった。
Posted by ブクログ
さっくり読める。
個人的には『ジョナさん』が好きすぎるので、どうしても比べてしまう…
高校生のわりに登場人物が幼く感じた。
あとがきを読むと、ピュアさを出したとのことなので、まぁ納得。
実際書いたのは作者が中三のときっていうのも少しあるかも。
青春に、ひとくせふたくせあって面白い。
佐藤さんの暗い部分をもっと小出しにしてもいいのかなと感じた。
最後の展開が早い。
Posted by ブクログ
不器用で臆病で女の子が苦手な高校生・佐伯くんの初恋相手は、怖い佐藤さん。
怖い理由は何ともファンタジーだが、恋の物語はとても瑞々しい。
告白シーンである「花火にも、歓声にも、虫の声にも負けずに、この声が佐藤さんまでまっすぐに届けばいいと思った。」には、自分の歳を忘れるぐらいドキドキした。
この作品を中学生時代に書いたという作者の才能に感服する。すごい。
Posted by ブクログ
素直な文章。テンポの良い会話。
個人的には、最も苦手とする、
ファンタジー要素は強いけれど、
現実離れの限界を保ってます。
「佐藤さん」ではなく、内気で、
17歳にしてはやや純粋な男の子
が主人公というのが良いです。
Posted by ブクログ
中学生の作品そのものだった。はっきりとそれとわかるものをデビュー作として世に出すのは、これから作家としてやっていく著者にとって、児童文学や賞にとってもだが、ためにならないと思う。むろん著者の年齢が問題なのではない。
Posted by ブクログ
p.176「そして転んだとき、近くに友達や恋人がいてくれればもっといい。」
香水事件のところをもっと掘り下げて欲しかったなと。あの女子二人組をぎゃふん!と言わせて欲しかった!
Posted by ブクログ
著者:片川優子サン
中学生の頃執筆し、講談社児童文学新人賞佳作を受賞。
高校1年生で作家デビューを果たした方。
[花火にも、歓声にも、虫の声にも負けずに、この声が佐藤さんに届けばいいと思った。]
ってゆー勇気を出して告白するところ。
きゅんきゅん。
高校生の恋愛感そのものが直球で書かれてるかんぢ。
さすがに比喩とかそんなに使わないみたいだけど、ストレートに伝わってくるかんぢが好き。
かるーく読める癒し系作品でした-。
Posted by ブクログ
【第44回講談社児童文学新人賞 佳作】ああ、なんとかわいいお話だろう。”聖子泣き”とか”あみん”とかって言葉がでてくるもんだから、40歳くらいの作者がファンタジーとして書いたものかと思ってしまいました。あとがきを見てびっくり。片川さんってお若いんですね。しかもこの話を書いた理由が「こんな純朴な高校生だって、日本にはまだまだたくさんいるだろうことを、知っていただきたかったから」なんですって!ああ、ほんとに日本もまだ捨てたもんじゃないですよ。…と、おばさんはうれしく思いました。
Posted by ブクログ
中学生が書いた、ということで少し覚悟して読み始めたけど、思ったよりは普通に良かったです。ま、そういう背景を別にすれば、小説としては普通…かな。
Posted by ブクログ
幽霊が見える僕と
幽霊が憑きやすい佐藤さん
佐藤さんの守護霊の安土さん
etc
幽霊から始まった
僕と佐藤さんの
不思議な関係.
みんなが過去に
重たいものを抱えながら生きている
この作品を著者の片川さんは
中学3年に書いたらしい-∀-凄
面白いです♪