【感想・ネタバレ】もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら 帝国、逆襲すのレビュー

あらすじ

スター・ウォーズは、シェイクスピア時代に上演していた!?名セリフをすべて古韻文で再現し、AT-ATたちとワンパはセリフを与えられ、ヨーダはふりふりの襟をつけて5-7-5の俳句を詠み、ベイダーとルークの親子対決は美しくドラマチックなポエムに!?ニューヨークタイムズベストセラーが待望の日本語訳で登場!

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Posted by ブクログ

借りたもの。
戯曲風冒険活劇、第2幕。
映画内で言外に描写される心情や、更には台詞の無い怪獣ワンパやエグゾゴース(ミレニアム・ファルコン号が洞窟だと思って入っていた、小惑星に生息していた大きな生き物)にまで、その心境が丁寧に描かれるのは、戯曲ならではという印象。
心なしか挿絵も前巻に比べ、丁寧かつ古典風に豪華になっているような……
映画でも印象的なヨーダの元でルークが修行しているシーン、石やX-ウィングを持ち上げる所の描写は舞台らしい紐で吊った挿絵で表現され、舞台上での演出としてイマジネーションを膨らませられた。
最大の見せ場である、ルークとダース・ベイダー卿の戦いは『ハムレット』を強く意識させる。

平行して、注釈からシェイクスピアの戯曲のオマージュや、英語での掛詞を学べる。さらにはちょっと広義に、エリザベス朝演劇における、「人は役者、人生は芝居」という世界劇場(テアトル・ムンディ)という概念を知る。

翻訳を手がけた河合祥一朗氏があとがきで言っているが、修行中のヨーダの台詞が日本人に馴染み深い七五調になっていることで、詩的で、またそれによる紙面の余白から、瞑想的な雰囲気が醸しだされている。
日本人に伝わりやすい、詩歌の印象を強めた良い翻訳だと思った。

だから頷ける――“韻文(ヴァース)とともにあらんことを!”

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2016年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

素晴らしかった。その試みが。
SWが古典であることの証明だろう。

”もし、シェークスピアがスター・ウォーズを書いたら”という副題にあるように、かのシェイクスピアの文体を真似、戯曲のスタイルで書かれている。
題材となったのは当然Original Trilogyの3作品だ。内容も熟知しているので、1冊読むなら?と考えたが、そこは迷いなくEp.IV「帝国の逆襲」だろう。
 登場人物が増え、なにより独特のしゃべり方をするヨーダのセリフがいかに工夫されているかが最大の関心ごとだ。ネタバレになってもなんなので詳細は書かないが、著者もやはりヨーダの言葉をいかにするかは苦心したことがあとがきの中で触れられていた。見つけた解決策が、日本人としては嬉しくなるところだ。

 登場人物はワンパ(氷の星ホスにいる雪男タイプのクリーチャー。映画では咆哮だけしかない)でさえもセリフを与えられ、堂々の演技を披露する。舞台の袖から袖へと次々と登場人物が現われては退場していく様がユーモラスでもある。
 16世紀の雰囲気を銅版画風の挿絵も醸し出し、登場人物の衣装もレンブラントが描いた「夜警」の人びとのようないで立ちで出てくるのが実に可笑しい。

 SWモノは、ジェフリー・ブラウンの絵本にもすぐ飛びついてしまったが、このシェイクスピア・パロディも相当面白かった。
「韻文(ヴァース)の共にあらんことを」というプロモート用の一言も効いている。
とはいえ、3冊とも読むようなものではない。この1冊で十分だ。

 惜しむらくは、シェイクスピアにそれほど親しんでいないこと。もちろん原文でも読んでいない。どうやら原書のほうに登場する独特の表現なども再現(引用?)されているようで、分かっていれば抱腹絶倒なのだろうなと思うと浅学の身が恨めしい。

 誰か、「平家物語」風パロディにでもしてくれまいか? まだそのほうが大笑いできたかもしれない。

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2016年01月30日

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