あらすじ
ニーチェによって粗描され、ハイデガーによって継承された「反哲学」は、西洋2500年の文化形成を導いてきた「哲学」と呼ばれる知の様式を批判的に乗り越えようとする企てである。この新しい視角を得れば、哲学の歴史も自ずからこれまでとは違って見えてくる。古代ギリシアから19世紀末にいたる哲学の道筋をたどり直す「反哲学史」。講談社学術文庫『現代の哲学』の姉妹編。
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Posted by ブクログ
哲学とは何かを体系的に考えるのに大変有用な本。要は、イデアも純粋形相も神も理性もすべては一つの形而上学的(現世とは異なる理想的な世界が存在し、それに向かって世界は進んでいく的)な同じ思想形態であり、西洋哲学、西洋思想はすべてこの思想形態を中心に発展してきたということがよく分かった。実存主義はそれを真っ向から否定するものであり、哲学ではなく反哲学と呼ぶべきものということらしい。とは言っても、旧来の哲学も決して無駄だったわけではなく、人間中心主義的な考え方が現代の科学文明を発展させる礎になったのだろうし、それにより人権宣言も行われたのだろうし、社会の要請の上で成り立つ思想形態なのだと思う。今の実存主義的な考え方も将来はどうなるかわからないのだろう。