【感想・ネタバレ】神経とシナプスの科学 現代脳研究の源流のレビュー

あらすじ

生体のニューロン回路の謎解明に挑む。18世紀末、イタリアの物理学者ガルバニによって世界で初めて生体を流れる電気信号の存在が明らかになった。電気信号が、脳や体をどうやって動かすのか、その謎を解明するのに150年以上を要した。日本人を含む偉大な研究者たちがそのメカニズムを解き明かすことで、神経とシナプスで起こる複雑な生体電気信号の実体がわかってきた。記憶や意識は脳の中でどのように生まれるのか。ニューロン同士はどのように連係し合っているのか。21世紀の脳科学は生体電気信号をより深く知ることで意識の謎を解き明かす道を切り拓くかもしれない。(ブルーバックス・2015年11月刊)

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Posted by ブクログ

筆者が冒頭に述べているように、生体電気信号の説明はほんの数行であるか、あっても難解であるかのどちらかであると思う。
その点、本書では歴史的な背景を含め生体電気信号の基本的な原理を丁寧に説明されている。標準生理学のはじめの章だけ読み飛ばしている自分のような人間には丁度よい。
ただし、206頁のMGの病態に関する記述は不正確で、MGではなくむしろLEMSではないだろうか。本書の価値には影響はしないが。
また、余程苦渋を味わったのか、最終章では今日における脳科学研究の手法の問題点や本邦の科学研究費配分の偏りに関し軽く触れられている。若手の支援の重要性で締めているところは教育者としての姿勢を感じさせる。

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2020年11月01日

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