【感想・ネタバレ】法月綸太郎の功績のレビュー

あらすじ

第5回本格ミステリ大賞への序曲。論理が漲る傑作推理集! 殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!? エラリイ・クイーンへのオマージュである、ダイイング・メッセージものの傑作「イコールYの悲劇」、第55回日本推理作家協会賞受賞作「都市伝説パズル」など、ロジカルな推理が堪能できる本格ミステリ5編を収録した、ファン待望の作品集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第5回本格ミステリ大賞への序曲
論理が漲る傑作推理集!
〈法月綸太郎シリーズ〉第9作(シリーズ第3短編集)。
2000年春から02年春までに発表された5つの短編を収録。

■イコールYの悲劇(2000.7)
殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!?
エラリイ・クイーンへのリスペクト。となればダイイング・メッセージに挑戦。
(余談ながら競作集で他の著者もみなダイイング・メッセージに取り組んでしまう笑)
メッセージに使用されたボールペンに残っていた手掛かりから意図を正しく読み取って、登場人物の裏の顔を暴く
――プロットには文句なし!なのだが……
もっと簡単にメッセージを残せるハズだという気はする。
例えばあの人物の名前を〇する、とか……しかしそうなるとダイイング・メッセージにも成り得ないので難しいところ。

■中国蝸牛の謎(2000.5,9)
作家が密室状態の場所から消失、その後階下で首つり死体となって見つかる、という事件を扱ったもの。
ある意味バカミスといえるかもしれない。
蝸牛に関する蘊蓄はすごいし、もうちょっと上手い処理もできそうなものだが……。

■都市伝説パズル(2001.9)
「電気をつけなくて命拾いしたな」
――深夜、友人宅に忘れ物を取りに行ったその少しの間、まさしく事件に居合わせていた……。
現代の怪談、都市伝説をテーマに、そのまま模倣したかのような事件が発生する。
この都市伝説を背景に真犯人は関係者の証言を上手く利用しアリバイを確保する。著者の構図の反転が見事な作品。
第55回日本推理作家協会賞受賞作。

■ABCD包囲網(2001.11)
冒頭の『イコールYの悲劇』同様の競作。
今作もクリスティ『ABC殺人事件』へのリスペクトである。
俗に言う、ミッシング・リンクの作品。
ネタバレしてしまうと連続殺人事件の中に本命を紛れ込ませる、というやつである。
再三明らかにやってもいない殺人事件で自首しに来る男。
鵜呑みにもできないが無視するわけにもいかず。
その後の調査で、4件目として男の妻が狙われていることを突き止める。
3つの事件は直線上にあり、男の家もその延長線上に存在したのだった。
そこから本作は急転直下のひねりがある。

■縊心伝心(2002.5)
OLが不倫相手に自殺を仄めかした電話をかけ、その1時間後遺体で見つかった。
不倫相手のアリバイは完璧で、遺体にも偽装の疑いが生まれたため、捜査に臨む法月警視は綸太郎に協力を仰ぐ。
カーペットの電源に見受けられた違和感から一気に脳細胞が活性化する綸太郎に注目の作品。

ミステリ  :☆☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
人物    :☆☆☆☆
文章    :☆☆☆☆

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2014年07月12日

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