あらすじ
奄美大島の医療施設で患者と職員全員が惨殺され、隣島では魔獣が出現して多くの島民が殺されたという報せに、ラビリンスの足跡を追う二階堂蘭子も現場に到着する。現実離れした惨劇を冷静に精査し推理を組み立てていく蘭子は、ラビリンスの恐るべき野望を打ち砕けるか? 名探偵蘭子シリーズの力作長編。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
久々の、二階堂蘭子シリーズです。
いきなり、ある女性の回想から始まり、蘭子の登場する章と交互に、双面獣事件に関係した人々の証言が入ります。
これらは一見まとまりが無いように見えますが、後に、蘭子の章にぴたりとはまる事がわかります。
旧日本軍の実験の結果、ラビリンスや双面獣といった異形の者達が生まれた、という経緯が徐々に明かされて行きます。
「そんな馬鹿な」という事ばかりなのですが、私はこういう話が好きなので、ありだな、と。
少し、『多重人格探偵サイコ』の、ガクソのような感じ。
面白かったのですが、全体的に、殺し方がちぎっては投げちぎっては投げ、ばかりだったので、若干飽きると言うか…。
一夜にして、村が丸ごと消失!とかだと、もっと面白かったのになぁ…と、無茶な事を考えてしまいました。
「ラビリンス・サーガ」は四部作の予定だそうなので、次の『覇王の死』でどう終わるのか、楽しみです。
Posted by ブクログ
※真相にもろに触れています。
未読の方はご注意下さい~U・x・U
私は何度、「推理小説家は推理小説愛好家の期待を裏切らない」という固定観念に裏切られれば気が済むんでしょうか/(^o^)\
怪物が人々を蹂躙する残虐なシーンが上巻でこれでもかと記述されていたと言うのに、
「いや、これはあまりの恐怖で生存者達が錯覚したんだな、きっと」
やら、
「もしかしたら、生存者っていうのは方便で、こいつらこそ人工的に造り出された実験体なんでは⁈」
やら、とにかく「本格推理小説」たらしめようと勝手に想像を膨らませていたんですが。
双面獣の存在確定した時の、自分でびっくりするくらいのガッカリ感\(^o^)/
これは、「謎解きを楽しむ」類のものではなく、「戦争犯罪の真相究明に、異なるスタンスで挑む名探偵と殺人鬼の追走劇を楽しむ」種類の小説です。…何か、あの残虐な描写のある作品を「楽しむ」って書くのは抵抗感があるな…ま、いっか←
二階堂蘭子は結局、連続殺人鬼ラビリンスに遅れを取ったまま終わります。大逆転劇があるに違いない!最後にはラビリンスに一矢報いるに違いない!と縋る気持ちで読み進めたら、あの結末です。正直、肩透かし。ラビリンスとの対決をシリーズとして扱っているとしても、これではあまりに蘭子が不憫です。
彼女にあまり探偵としての魅力を感じない、と既読の作品の感想では述べましたが、今作は探偵としての活躍に明らかに精彩を欠いており、「謎を明らかにする探偵」ではなく「終始ラビリンスに追随した解説者」としての役割しか見出せませんでした。
名誉挽回に期待して、限りなく☆2つに近い☆3つを付けさせて頂きます。
何か、逆に応援したくなってきたぞ、蘭子!
頑張れ、蘭子!!
相次ぐ凄惨な事件の生存者達から話を聞き、事件現場に足を踏み入れた一行。ラビリンスに肉迫する彼らは、しかし相手が操る「双面獣」の対処に苦慮する。その上、ラビリンス以外の人間達の暗躍も浮き彫りとなり、事件は三つ巴の様相を呈する。
果たして二階堂蘭子はラビリンスの魔手を食い止めることができるのか?