【感想・ネタバレ】こんな噺家は、もう出ませんな 落語[百年の名人]論のレビュー

あらすじ

平成十年代なかば――二十一世紀に入って四、五年の頃から落語ブームといわれる現象が起きた。古今亭志ん朝の早過ぎた死への嘆きの中に発生した現象というのは皮肉の極みだが、そのブームの中でしきりに「昭和の名人」の看板が目につく。さまざまな出版刊行物にとって重宝な看板には違いないが、そこに書かれた名前が三か五ならともかく、十、二十を超えるとなると、それは志ん朝が言った「名人」とは別物だと思わざるを得ない。正真正銘の名人と看板だけの名人は違うということなのか。名人とは観光ブームの中の名所旧跡のようなものなのか。名人が簡単に量産されて「名人ブーム」になっては見分けがつかない。「名人」とは誰のことなのだ――。〈本書より〉※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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Posted by ブクログ

著者は、圓生や志ん朝の音源のCD化を手がけた名プロデューサー。題名の言葉はこの方が言ったのではなくて、4代目橘家圓喬が噺を終え講座を下りた後、見ず知らずの隣同士の人が誰彼と無くかわした言葉だそうです。 明治時代のこと。それから時代を経て、昭和の名人だとか言われるようになりましたが、はてさて名人という定義はどこにあるのか、誰が決めるのか。「えぇ、名人・・・なんという言葉がありまして・・・」と志ん朝もまくらで語っていますが、ものを作ったり、形に残るものに対しての名人はあるかもしれないが、落語となると・・・と言葉を濁しています。演じ終わった後、あまりのうまさに客席が静まりかえり、演者が引き揚げ際、どよめいて拍手喝采がおこったなどという噺を私も聴いてみたいものです。

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2012年01月17日

Posted by ブクログ

落語研究会の解説でお馴染みの京須さんの本。
10年ほど前の本。
過去の名人の話を求めた本で古さは感じない。

武士鰹 大名小路 生鰯 茶店紫 火消錦絵

五七五七七 三十一文字 これ江戸の名物。

これだけ覚えておこう。

前書きで、名人の定義を延々と書いている。
その説明の引き合いに出されたのが、江戸の名物の定義だ。
京須さんのこだわりを感じる。
立場上現役の落語家は評価しにくいのかも。

落語研究会のファンなので、京須本には関心がある。

10人の落語家の名前が列挙されている。
全員物故者で江戸の落語家だ。

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2021年04月24日

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