【感想・ネタバレ】戦国誕生 中世日本が終焉するときのレビュー

あらすじ

空洞化する将軍・天皇・守護職、激化する応仁・文明の乱。激動の15世紀半ばを活写する。幕府と朝廷の体制はいかに崩壊したか。無力な青年将軍。策動をくりかえす近臣たち。「辞めたい」と口にする天皇──。応仁・文明の乱など激動する十五世紀半ば、「権威」から「権力」へと、時代の転換する様相を描き出す。(講談社現代新書)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

戦国時代の始まりっていつ? この問いへの新しい切り口での答えがこの本にあります。
「形式」から「実体」への意識の変化こそが、戦国時代の始まりという答えはとても新鮮でした。
確かに下剋上といわれる、実力でのし上がっていける時代ということを考えると、この意識が出てきたところこそが始まりと考えていいのだと思う。

戦国時代、戦国時代ともてはやされるけれど、それじゃぁそれはいつから?と応えられる人は多くないと思う。
大変面白い一冊でした。

0
2011年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メモ
戦国時代に移行する時期は15世紀中葉以降だと説明。天皇、将軍、守護の相互連関で様々な歴史的事実と研究を参考に「形式」から「実体」、「権威」から「権力」へと転換する「戦国誕生」のきっかけを追う。

将軍の資質のない足利義政(意欲的な時期もあったがかえって混乱)
将軍権力と守護・守護代・近臣・公家(三魔、畠山氏・斯波氏、浦上氏ら)
天皇の苦悩(後花園天皇、後土御門天皇、貧窮で儀式ができない朝廷)
応仁・文明の乱と分裂する幕府
守護職を求める(朝倉氏、赤松氏と浦上氏、山名氏、京極氏と尼子氏)
明応の政変(奉公衆と奉行人、六角征伐、将軍家一族、細川政元)

知っている事実が述べられているという気もしたが、合議制・将軍独裁と一貫性のない室町幕府が戦国に向かって変質、崩壊するさまがよくわかる。将軍・管領らの立場がころころ変わるのが不思議。将軍や管領家だけではなく、天皇と公家、幕府近臣、守護代の事情も説明されており面白かった。先例と儀式を重んじる公家や幕府に対して、山名宗全と細川政元は先例だけではなく現実からその場への対処、また将軍や天皇という認識があれば金をかけて儀式をする必要がないと思っていたという点に驚いた。

将軍だけでなく守護の首をすげ替える「下剋上」。僕らが思う権力への執着だけではなく、現実に生きるためであったのではないだろうか。

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2011年06月03日

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