【感想・ネタバレ】日本陸軍と内蒙工作 関東軍はなぜ独走したかのレビュー

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Posted by ブクログ

日本の中国侵略の一環として行われた内蒙古(内モンゴル)独立工作、いわゆる内蒙工作とは?
陸軍の「支那通」たちの状況や、軍内部での駆け引き、外務省と陸軍との確執、中国各地に設置された特務機関の活動、そして中国側の内戦の状況などが克明に描かれています。
著者は内モンゴル史の研究者で、以前にも『徳王の研究』という著作がありますが、本書は徳王が中心ではあるものの、主に日本陸軍の事情を踏まえて内蒙工作と徳王について述べられています。
そして『徳王の研究』には無かった、内モンゴルの地図が添付されており、地理関係を解りやすく認識できます。
また新しい視点として、「欧亜防共回廊」という航空路開拓の試みについても一章が割かれており、ナチスとの同盟という世界的視野の中での内蒙工作の位置付けを理解できます。
同じ講談社選書メチエの『日本陸軍と中国─「支那通」にみる夢と蹉跌』を読んでから、本書にとりかかるのがいいでしょうw
著者はまったく違いますが、内容が密接に関連しており、一方について他方の観点からの再認識が可能です(^^)v

つまるところ、当時の日本陸軍内に強力なリーダーシップが存在せず、陸軍省、参謀本部、関東軍、支那駐屯軍、各地の特務機関等がてんでバラバラに行動していたのが、関東軍や特務機関の暴走の原因でしょうね。

ニン、トン♪

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2010年10月04日

Posted by ブクログ

日中戦争で、華北分割統治工作を細かく説明した書。満州国と中国の間にはモンゴル民族がおり、彼らを懐柔しながら華北に親日政権を強引につくっていったことがわかる。また、中央アジアへのつながる欧亜連絡空路を開拓しようとし、満州から内モンゴルへと次々に触手を伸ばしていったことや、この施策は公式には関東軍軍人の「私的行動」とみなされ、満州国や東京の陸軍中央からの決裁や予算援助はなく、おそらくは頭山満らの資金工作によって賄われていたのかなと思った。その陸軍中央も、ソ連からの反共というお題目を前に、場当たり的に彼らを援助し、支配行動の拡大を促進してしまっている様子がわかる。日中戦争には最初から目指すゴールなどなく、対ソ膨張の抑制というなんとなくのゴール設定に対して、そのときそのときの政策を率いる派閥によって(皇道派による5民族融和基地の確保、統制派による中国一撃のための侵略)ずるずると進行してしまったのだろう。

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2014年03月17日

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