あらすじ
速く、楽しく、すばらしい卒論を書く秘訣。「わからない」「慣れてない」「時間がない」ないない尽くしだから卒論はつらい。「はてなブックマーク数」歴代1位の人気サイト「やればできる卒業論文の書き方」の筆者が、「やるべきこと」「書くべきこと」から「書く順番」まで完全マニュアル化! 読めば完成への特急券が手に入ります。(ブルーバックス・2010年1月刊)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
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Posted by ブクログ
本書は、理系の大学4年生に向けての卒論の書き方を指南する本です。
著者は、卒業研究は、短距離のようなものと位置付けていて、期間があまりにも短いため、誰もが苦労するといっています。
書いた論文が、多くの人から引用されること、長期にわたって引用されることが、ゴールとしています。
自分が書いた論文が、頻繁に引用されるようになったらさぞかし、うれしいことでしょう。
文中、研究ノートを、営業ノートと読み替えてもいいですし、論文の記載箇所での詳細度は、PR資料にも言えることです。論文をどう書くかも、通常の文章の書き方と基本は一緒だと思いました。
気になったことばは以下です。
・成果がない実験をしても成果は得られない。本当は論文を書いてから、実験をするのが正しい。実験をするとどうなるかを自分の頭でシミュレートし、こうなるはずだと予測を持つことが大事です。どのような結果が、どのくらいの不確かさを持って発生するのかを数字として書ける程度に想像を固めます。データーは架空であっても、論文全体のスケッチを書いてしまうのです。
・インチキな論文は、このような予測を持たなかったために出現するのです。「実験前に架空データで論文を書くなんて、それこそ不正」と言われそうですが、実際は逆です。
・ちなみにプロの研究者は、研究費申請書を頻繁に書きます。申請書は「こうすればうまくいうはずだ。実験はまだだけど」という文書ですから、架空データによる予測論文の一種です。
・科学において残存している問題とは、下馬評が的外れで、突破口が見つかっていないものなのです。「人々と逆のことをやればだいたい正しい。世間のほとんどは間違っている」と言いましたが、まさにその通りです。
・困難につき当たったら、当初の目標に執着せず、目標を再構築することが大切です。実験はやってみると、いとも簡単に失敗します。机上の空論では想定していない要素が現実世界には充当しているからです。
・だいたい偉大な発見発明とは、怪我の功名が多いものなのです。このように当初は意図しなかった発見をつかみ取ることを、「セレンディピティ」といいます。
・複数の新しい変化を、いっぺんに試すな。という教訓があります。あれもこれもといっぺんに全部品を新型に変えると失敗するということです。部品それぞれを変えるごとに、ひとつひとつ試運転しなけれればいけません。
・研究ノートをつけよ。頭の中で考えたことはすべて書き込みます。考えるときは、ノートに書きながら考えあす。実験のデータもすべてノートに記載します。数字を手書きしたり、データシートや、グラフ、写真を張り付けたりもします。失敗した実験のデータもすべて収録します。やるべきことのリスト(TODO)もノートに書きます。計画的に仕事を勧めれば、実験を夜中にやる必要も減ります。関連論文や学会の情報、実験室の機材や資材に関するメモなども、みんなノートに張り付けておくことが大切です。要するに、研究ノートさえあれば、他の情報源がすべて消滅しても大丈夫なようにしておくべきです。
多段階の詳細度 新聞のテクニック
① 大見出し おおざっぱに説明
② 中見出し、小見出し 詳細で付帯的な情報を記載
③ リード文 より詳細な説明を述べます
④ 本文 最も詳細な情報を記載します
論説文の原則
①多段階の詳細度で説明
②1段落、1命題
③言いたいことを先に言う
④文章は単文で
⑤同じことを栗課さない、必要であれば、観点や詳細度を変えて主旨を変更する必要がある
⑥流れは一直線 余談をいれない なぜなら、混乱を招くから
⑦文字の修飾に頼らない 注目してもらいたいことは、見出し、段落1文などの目立つところに書く
⑧わかりやすく書く アリストレス「賢者のように考え、凡人のように語れ」
論文の章立て
第1章は、問題設定
第2章は、問題解決方法の選定
第3章は、解決方法の実行可能性を論証 実施方法の設計⇒実施可能性の証明⇒信頼性の検討
第4章は、証拠の提示 仮説が正しく証拠が適切であっても読者が納得しなければ学会では認められない 手順⇒結果⇒考察 わかりやすくするには、①箇条書き、②図解、③写真
第5章は、結論 ①研究の成果(わかったこと)、②成果の価値、③今後の課題
付属部分 要約、謝辞、参考文献
執筆のコツ
・書けるところから書け
・何はなくても謝辞だけは書け
・推敲 ①プリントアウトしてみる、②他人に見てもらう ③時間を置いてまた見直す ④音読してみる ⑤ポジティブチェック、よくするためのチェック ⑥ネガティブチェック、文章のあら捜しとその修正
・文字の大きさや余白、行間をゆったりめにとること
目次
はじめに
PART1 卒業研究の進め方
§01 卒業研究のスケジュール
§02 研究のネタを見つける方法
§03 孫子に学ぶ実験のコツ
§04 研究の作法
PART2 論文の書き方
§05 業務用論説文の原則
§06 卒論の標準的な目次立て
§07 第1章は「問題設定」
§08 第2章は「問題解決方法の選定」
§09 第3章は、「解決方法の実行可能性を論証」
§10 第4章は「証拠の提示」
§11 第5章は「結論」
§12 付属的部分の書き方
§13 執筆のコツ
PART3 卒論を世に出す
§14 卒論の口頭発表
§15 卒論の成果を発展させる
§16 科学とは何か、不正とは何か
ISBN:9784062576666
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:206ページ
定価:920円(本体)
発行年月日:2018年04月27日第5刷
Posted by ブクログ
【1行説明】
(タイトルのまんま)
【趣旨】
主にこれまで論文のような系統だった長い文章を書いたことのない学部生に向けて,卒業研究の着手(テーマ決定)から卒論執筆,研究発表まで気を付けるべき点や知っておくとよいことを紹介している本.
【引用文3つ】
1. (p.68) やさしくシンプルに書く
文章はわかりやすくなければいけません.論文をかっこよく高尚に見せたいがために,難解な専門用語や,珍しい感じをあえて使う人もいますが,そのような「こけおどし」をしてはいけません.
2. (p.70) 学術論文が備えるべき内容
・他人のまねではない新規なアイディアがメインの主張であること
・何の問題を,なぜ解くのかが述べられている事(第一章:序論,背景)
・どのように解くのがよいのかが述べられている事(第二章:提案手法)
・その解き方はなぜ可能なのかが述べられている事(第三章:実験手順)
・十分な証拠が示されている事(第四章:実験結果)
・総括と自己評価が与えられている事(第五章:結論)
・文章の各部が,互いに分業し協力するように組織立っている事
3. (p.140) 書きやすい順に書け
文章は,書きやすいところから書くべきです.内容が決まっていてあとは書くだけのところや,レトリック上の工夫が不要で淡々と書けばよいところなどから先に着手します.(中略)書きやすい順とは,一般的には次の順になります
①謝辞
②証拠提示(実験報告)の第四章
③解決方法の可能性論証の第三章
④参考文献リスト
⑤解決方法選定の第二章
⑥問題設定(序論)の第一章
⑦結論の第五章
4.
【感想】
多くの学生にとって,卒論というのは人生で初めての論文執筆であり大変な作業になると思う.
しかるに,研究室での指導体制は整っておらず,「とりあえず書け.そしたらダメ出しするから」という状態なのではないだろうか(少なくとも私の場合はそうだった).
右も左もわからないままとりあえず論文を書くよりも,先人の知恵を借りた方が効率的であると思い,「卒論の書き方」についての本を探したが,この一冊しか見つからなかった.
しかし,この一冊でも十分なほどに卒論(もっと言えば論文全般に共通する)執筆に必要な心得を学ぶことができたと感じている.
Posted by ブクログ
〇学んだこと
1.執筆作業自体が、優れたアイデアを生む
2.学生指導の際、研究対象・勝利条件・研究方法の3つのステージを意識
3.職業としての研究者は「徴兵制」
4.「問題発見能力」と「問題解決能力」。「問題発見能力」は現場で磨く
5.実験の失敗は、想像力の欠如が問題
6.論より証拠・統計結果を結果として扱うな・逃げ腰ではいけない・専門を限定するな
7.論文の書きだしは、異論のない論点をスタート地点とする
8.アイデアの価値「先発性・明晰性・普遍性・可用性」
9.アイデアの限界「平凡さ・曖昧さ・狭さ・非実用性」
10.論文を確認する際は、ポジティブチェック⇒ネガティブチェック
11.論点の明確化・差別化されたタイトル案の検討
Posted by ブクログ
学部3~4回生にオススメします。学習と研究の大きな溝を埋めるのに役立つ本です。あなたの研究(卒論)がうまくいかないのは、あなたの頭が悪いからではなく、単に研究のやり方を知らないからかもしれません。やり方を知れば、良い卒論を書けるはず。天才になる必要はありません。
Posted by ブクログ
工学系の卒論作成術のようだ。
著者の専門領域が「情報科学、認知科学」ときて、最後に「舞踊学」とあって、おもしろい。
そういう人だけに、研究をどう進めるべきかや、どう成果を発表すべきかに考えなければならないことが多かったとのこと。
スケジュール管理から、材料探し、章立てまで、痒い所に手が届くように、そして明解に提示される。
ところどころにさしはさまれる、著名人の格言が入るのもおもしろい。
例えば、論文に添える写真の撮り方への注意を述べた節のまとめには、キャパの「下手な写真は被写体への接近が足りない」とくる。
2010年の刊行。
最後の章が研究不正の話だった。
門外漢には意外なのだが、理系の研究論文にはかなり頻繁に起こるのだとか。
防止策として、教授にまめに研究ノートを見せることを挙げてあった。
なにか、例の事件を予見していたかのよう。
Posted by ブクログ
卒論だけに限らず、物事を正しく報告、まとめるためのヒントとなった。
いろいろなフレームワークになり得ると思う。
即効かどうかは何とも言えないが、本当に卒論で切羽詰まっている学生には即効かも知れないな。
Posted by ブクログ
研究テーマを見つけるポイントや、卒論の要点を整理する際のポイントを得られました。理系に特化した部分もありますが、参考になる箇所も多かったです。所属研究室のルールを踏まえた上で活用すると良さそうな一冊でした。
Posted by ブクログ
卒論を書く4回生が一年をどの様に過ごすべきか をまとめた本。
実際は先輩や指導教授からいわゆる"虎の巻"を伝授されるべきだろうが、一般的な流れを知っておくには良いだろう。
Posted by ブクログ
卒論に取り掛かる時に読むべきだと思った.
大学学部などで卒論に取り掛かる手順がわかりやすく書かれていた.(一部数学や電気系のことが書かれている部分は流し読みしました.)
200ページ程なので,また煮詰まった時等には読みたいと思った.
Posted by ブクログ
学部4年生の、はじめて研究に取り組む学生向けの本。アカデミックライティングを説明しているだけあって、文章も明快。コンパクトにまとまっている。この本を参考にして一年間よく勉強したいと思う。