あらすじ
身ごもっても、心から尽くしても、やっぱりあの人は暴君だった……。
生まれ育った古城を銀行に没収されたら、私に居場所はない。亡き両親が遺した莫大な借金を前に、キアラは呆然としていた。そこへイタリア屈指の富豪ニコが現れ、城は彼の一族のもの、当然返してもらうと声高に主張して、こう付け加えた。「君がここに住み続けたければ、僕と結婚するしかない」便宜結婚さえ受け入れたら、すべては丸く収まるの?すがる思いで承諾したキアラだったが、初夜に誘惑の罠に落ち、純潔を捧げた翌朝、彼の冷酷な企みに怯えて城を逃げだした。5カ月後、彼女はウェイトレスとして働いていた。身重の体で。
■天涯孤独で生家までも失いかけているヒロイン。ヒーローの真の狙いが、後継ぎをもうけることだけだと気づくも、時すでに遅く……。スター作家アビー・グリーンが描く、激情ロマンスをお楽しみください。大スター作家ペニー・ジョーダンが好きな方は要注目です!
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Posted by ブクログ
ひと口にいえば、現代版ロミオとジュリエットといったところでしょうか。
両親の残した城を手放さなければならなくなったキアラ。
その前に現れた資産家のニコ。
キアラの先祖はその昔、不当なやり方でニコの先祖から城を奪いました。ニコの父親は幼い彼に長年の一族の恨みを伝え、いつか一族の所有である城を取り戻して欲しいと繰り返していたのです。
-この城から出ていきたくなければ、僕の妻になれ。
ニコから便宜結婚を申し込まれ、結婚と彼の跡継ぎを生むことを条件に、キアラは城を手放さずに済みました。
結婚式当夜に誘惑されたキアラは、人の心や愛情でさえビジネスや取引の道具にしてしまう彼に恐怖心をいだき、翌朝、彼の元を去ります。
しかし、既にその時、キアラは彼の子を身ごもっていて-。
ハーレクインの定番中の定番のお話ではありますが、キアラと二コ、それぞれの一族の関係から「ロミオとジュリエット」を連想させるところを興味深く感じました。
また、最後に二コが
-僕の大切なものは、ここ、この庭にある。そういう権利書にあるんじゃない。
とキアラに告げるシーンは良かったです。
長らく復讐のためにだけ生きてきた彼ですが、盲目的に価値があると信じてきた「城」より、実はやっと見つけた「愛」の方が大切だと自覚した瞬間でした。
また、二コの一族に対して自分の先祖が犯した罪を知り、素直に悔いて放置された墓の手入れをするキアラ、
そんな彼女の人柄にも好感が持てました。
二コの孤独な心が救われたのも、キアラのそんな優しさのお陰かもしれません。