【感想・ネタバレ】カムパネルラのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「カムパネルラ、僕たち一緒に行かうねえ」。銀河鉄道にふたり一緒に乗ればいずれどちらかが降りなくてはならなくなるから、『銀河鉄道の夜』ではジョバンニが先に列車を降りたけれど、ふたりは一緒にどこまでも行けたのでは。そんなラストでした。
メディア管理庁の言論統制と物語を使った啓蒙、物語の世界を仮想現実で創り出して人をアクセスさせて矯正・洗脳という派手なのはまだ無いだけで、これに近い「テキストを望んだ通りに“しか”読ませない」は既にあると思います。必ずしも作者の望んだ通りではないところもよくある…。
ジョバンニの味方は校倉さんだけ…鳥採りの彼も、この世界で必要な概念なんだろな。カムパネルラが概念だったように。
「銀河鉄道の夜」は既読ですが「風の又三郎」は未読なので、又三郎がどんなキャラなのかがわからずこの作品の又三郎の好戦的さがいまいちピンときませんでした。宮沢賢治作品には「毒もみの好きな署長さん」とかあるので、美しさか弱さ儚さだけではないのもわかります。
永久物語運動体。物語が永遠に未完成ならばどんな読み方も出来るし、何度でも楽しめる。それで良いんじゃないかという狭い感想に辿り着きました。

偶然にも仮想現実ものがちょっと続きました。それもまた良き。

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2022年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メデイア管理庁による思想統制が行われる日本。現代らしい。近いうちに現実になっても驚かないような…
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」第3次稿を利用して、「みんなの幸いのため」なら自己犠牲を厭わない人間を育成しようとする。

「銀河鉄道の夜」が好きすぎるので、解釈違いだったらどうしよう…と思ってたけど、大丈夫だった。第4次稿、ひいては賢治自身も、自己犠牲を良しとしていたわけではないのだ。
天気輪の柱や「45分」の使い方が上手くてなるほど〜と思った。

半分くらいまでは頭の中が?だらけで、これは一体どこに着地するの?と思っていたけど、タイムスリップではなく仮想現実だということが分かってからはするすると読めた。
あらすじがどう、というよりも、あの世界に行けるとかすごい!行きたい!という感想…
シミュレーションに多くの少年少女が参加することで物語が変容していく可能性。だから、もしかしたらカムパネルラが死なない未来があるのかも、とわくわくしたり。
カムパネルラと会話することがなくて残念。

「風野又三郎」と、鉄道の位置関係なんかが分かったらもっと楽しめるかも。

最後はちょっともの哀しい…。「ぼく」が母にしたことはそんなにも重い罪だろうか。

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2019年10月17日

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